恒産なければ因って恒心なし
恒産なければ因って恒心なし「無恒産、因無恒心」 『孟子』「恒産」とは、生活を支えるに足るだけの安定した収入、資産。「恒心」とは、どんなに困っても悪に走らない心。不動心と言ってよいかもしれない。『孟子』のこのくだりを紹介すると、つぎのようになっている。「恒産なくして恒心あるは、ただ士のみよくすとなす。民のごときは則ち恒産なければ因って恒心なし」恒産などなくても恒心を持ち続けるのが理想である。だがそれは志操堅固な人物(士)にして初めて可能なことだ。一般の人々にそれを期待してもムリである。だから一般の人々に対しては、何をおいてもまず生活の安定をはかってやらなければない。それが為政者のつとめであると『孟子』は主張した。たしかに、恒産なくして恒心を持ち続けるのは、むずかしい。恒心を持ち続けるためには、その前提として、しっかりした生活設計が必要になるということだ。中国古典一日一言 守屋洋先生著より中国古典一日一言【電子書籍】[ 守屋洋 ]価格:620円 (2022/1/7時点)楽天で購入