ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

2007/06/04(月)05:00

「バイオレンス」の基準

育児(623)

この週末はボストンから車で一時間ほどのところに両親と出かけたのだが、たった一時間のドライブとはいえ、大人の都合で行動してしまったものだから、初日はルナが眠気やら疲れやらが重なって手のつけられないほど泣いたり暴れたりしたので、帰りはなるべくルナのペースに合わせ、しかも、レンタカーにたまたまDVDプレーヤーが付いていたので、モーテルの近くの売店で売っていた子供向けのDVDを買って、ダメもとでかけてみたら何と作戦成功。飽きてぐずぐずし始めたのは家に着く10分ほど前で、しかも、家に食べたら昼もわりにすんなり食べて、昼寝もしてくれてシメシメ。 さて、その買ったDVDというのが、ミッキーマウスの昔のアニメで、カラーではあるものの、音楽ばかりでセリフもほとんどないというもの。こうして昔のミッキーを観ていると、大きな棍棒で相手をばーんと殴ったり、ローラーに轢かれて紙切れのように薄っぺらくなったり、しょっちゅうあちこちから落ちそうになったりと、今じゃPG-13ぐらいのレーティングをされてしまいそうな内容(笑)。今朝、モーテルのケーブルテレビでもミッキーマウスの番組をやっていたのだが、これは、ミッキーたちがいろんなお助けアイテムの力を借りて難題を解決していくという、ルナが愛するDORAやLittle Einsteinsとほぼ同じ構成で非常に教育的。 しかし、トムとジェリーもそうだったけど、昔のこういう類のアニメっていうのは、改めて見直してみると、どれも似たり寄ったりの殴る蹴る落ちるのドタバタ劇で全然教育的効果なんてない(笑)。でも、私を含めて昔の子供は、こういうのを見てげらげら笑っていただけで、じゃあ、実際に友達を殴ってみようとか落としてみようなどとは考えもしなかったんじゃないだろうか。登場するキャラクターが皆動物だったから現実感がなくて、現実との距離が保たれていたからだろうか。あるいは、現実の生活がそうした暴力からは無縁だったからか。 この後、こうしたドタバタアニメの内容は子供に悪影響を与えるからという研究結果が出て、今のような非暴力で教育的効果の高い内容に変わって行ったのだろうか。それなのに、今の方が子供や若者による猟奇的で悲惨な事件が増えているのはナゼなのだろう。 一つ考えられるのは、この昔のドタバタアニメが暴力的と言っても、たとえば、弱い者の方が頭を使って強い方をやっつけるとか、あるいは、バナナの皮を道に落として誰かを滑らせてやろうと企んでいた者自身が、その皮にうっかり引っかかって滑って転んでしまったとか、その描かれる暴力(というほどのモノでなかったとしても)にはそれなりの筋が通っていて、それを子供もメッセージとして感じていたのではないのだろうか。 とは言っても、この昔のアニメを親となった今、自分の子供に積極的に見せたいかと言うとちょっと考えてしまう。今の世の中では、これを自分の体験とは全く別のものとして笑って見ていられる子供に育ってくれるのか、どうも自信がない。

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