「思悼(サド)」を見てきました
今年の期待作とのことです。折りしも、先週は、観光通訳案内士の実務教育課程で、景福宮、昌徳宮、国立中央博物館、民族博物館、宣陵(ソンジョン王の墓)、そして水原の華城に行って来たので、とても英祖王、その孫の正祖王には、とても関心があった。そして、どうしても理解できないのが、あれだけ素晴らしい政治を行ってきたこの二人なのに、そして、儒教の教えをとても厳しく守ってきた聡明な英祖なのに、実の子を殺すとはどういうことなのか??と。。。陰謀があったとしても、どうしてそれに気付かなかったのか??がとても気になるところだった。教育をしてくださった有名な先生(建国大の有名な国史教授)が絶対この映画は見るようにとおっしゃっていて、昨日が面接と筆記試験が終わったので、さっそく今日の朝一で見てきた。朝一は割引なんですよ~~。期待以上の映画でした。それでも、セージャ(皇太子)が幼いころは、いろいろと優しく言葉をかけたり、教えたりしていたのだった。こちらが、生母のヨンビン。宮の中には、女性の世界として、先王の妃、大妃ママがおられ、英祖の正妻とこのヨンビンが仲良く微笑みながら、セージャを育てていた。ヨンビンが位が低かったので、皇太子の位置として、子のいなかった正妻の子として育てられ、幼い頃から生母と一緒に寝ることが許されず、3歳ごろから王道教育を厳しく施されていた。いわゆる毎日学者から、中国の難しい漢文を習って問答をするというもの。そのプレッシャーは計り知れないものだっただろう。大妃ママ。この人の演技、相変わらずよかった~~。映画がどれも絞まりますよね。英祖は、「トンイ」というドラマであった、あのトンイという後宮から生まれた子。それが、クーデターで担ぎ上げられて、一夜のうちに王になってしまったのだ。それまで王になることなど考えたこともなく、勉学だけに励んでいた人だった。だけど、このセージャは、そういう学問には向いていなくて、絵を描くのが好きで、弓矢を引いたり、武術を磨くのが好きだった。そういう姿を見るたびに、王として、素質がないというような言葉や、目つきで冷たく突き放される。代行政治をするようになるが、後ろに祖父である英祖が見ている前で、大勢の大官にいろんな無理難題を言われながら、詰め寄られ。。。平民の負担が少なくなる政策を打ちたて、両班(この当時の貴族)からも税を徴収するというと、ものすごい反対に合い。。。それは、クーデターで王にしたときの血判状みたいなものが証拠として、大官に握られて、それが弱みになっているから。それをうまーーく二つの派を対抗させながら均衡政治を行ってきたのが、英祖だった。だが、正直なセージャはそれができない。英祖からも激しく叱られ。どんどん自信を無くしていく。そういうところから、どんどん溝が生まれ。親子といえども、王と息子、セージャたちは、別々の住まいに住んでいるので、中々分かり合えたり、腹を割って話すというのも難しい。それに、いろんな人が絡んでくるので、どんどん誤解も生まれる。先代の王の墓参りに行くときに雨が降るのも、「お前に徳がないからだ」といわれ、帰るようにいわれる。セージャの心はどんどん凍りつき、壊れていく。そんな中、とても若い洗顔用の水を持ってくる娘を後宮に。え~~!!このとき、英祖は相当なおじいちゃん。チュンジョン(正妻)も60歳のお祝いの年なのに、そのお祝いもしてあげず。。。なんか、やっぱり人間的に好きになれんわ~~。ロリコンか?? まあ、当時の王様は、誰でも選べる立場だから。。あー、でもやだな。この位の低い女がとてもぞんざいなんですよ。。セージャの生母に対しても、ぞんざいな口の言い方。そして、叱られるのは、生母のほうで。訳分からん。この英祖。王から呼び出しを受けて、、覚悟を決めて向うセージャ。恵慶宮ホン氏。夫のセージャよりも、いつも息子の後の正祖のことばかり気にかけているようにも。ムン・グニョンが演じているので、とてもいい妃のように見えますが。。。実際は、英祖の2番目の若い安東金氏の正妻とこの恵慶宮ホン氏、そして、セージャ付の尚宮がスパイだったのです。この3人に殺されたとのことなんですよ。いろんな記述によると。背景には、この当時の老論派側についていた(このものたちの父親たちが、その官僚)だったので、セージャを亡き者にしていて、この女性たちが王に取り入ったり、正妻に一緒になっていたりと。。とにかく、歴史的には、この女性たちによって、セージャは四面楚歌。。誰も信じることができない状況でした。だから、この実際には、この奥さんによって死に追いやられたとも過言ではないのだそうです。ある学者さんも、この英祖の2番目の貞純王后が朝鮮王朝のなかで、2大悪女のうちの一人だと言っています。もう一人は、中宗の最後の正妻ムンジョンです。張フェービンが一番の悪女という人が多いそうですが、この二人に比べれば、比にならないそうです。なので、ここに出てくる女性たちはとても優しい人たちに描かれていますが。。。記述とはかなり違う感じだそうです。ついに、英祖の怒りが達し、セージャに自決を迫ります。結局、臣下たちの哀願もあって、自決ではなく、米びつの中に閉じ込められます。。それにしても、セージャ役のユ・アインと、ソンガンホの演技、すごかったです。セージャが死んだあとは、その子も反対勢力から、ずっと命を狙われながらも、ついに正祖は王位に。なんと、ソ・ジソブ~~~!!そういえば、ソ・ジソブといえば、千W札だったかとそっくりって話題になったことが。やっぱりそういう高貴なお顔ですねえ。日本の聖徳太子にも似てるような。。(笑)とにかく、落ち着いていて、ひっそりと悲しみをたたえた静かな様子が、ソ・ジソブの雰囲気とぴったりでした。台詞なく、その動きだけでしずかに悲しみを表す演技、ソ・ジソブはうまいです。さすが~~。そして、正祖の生母、恵慶宮洪氏の60歳のお祝い(フェーガプのお祝い)を水原の華城行宮で盛大に行います。実は、自分の父を殺した陰謀をたくらんだ一人だということが明らかになり、実の母を許すのも葛藤があったそうです。それでも、儒教の教えに基づいて、母の還暦の祝いを盛大にしてあげたというのは、すごいことなのだそうです。そして、一緒に「思悼世子」の墓にも行き。実は、死んでから一度も行っていた無かったとか。自分のしてきたことが、やはり申し訳なくていけなかったのだろうという説です。だから、子として、夫婦をしてあげたというのは、大きな役割を果たしたことになるのだとか。思悼世子の墓に倒れるようにうずくまり、「私の存在のせいで、父上が亡くなってしまった」泣き続ける正祖。なんだか、最初から最後まで、いろんな人の思いが悲しい映画でした。詳しいことは、またもっと掘り下げ無いといけないので、今日はここまで、簡単に。思悼世子のお付の大官。最後に米びつに扇子を入れてくれた人。この扇子は正祖が生まれたときに、思悼世子が夢に見た竜を描いたかみを貼って作った扇子です。この扇子を持って、最後正祖が舞を舞いますが、この扇子がもしかして、正祖がチェ・ジェゴンという側近に与えたものかも。この人の肖像画があったのですが、普通は肖像画は、顔だけ肌を出さなくてはならなくて、他の手などは全部袖で隠すんですが、この人のだけは、手が出ているんです。理由は正祖王に下肢された扇子をありがたいものとして、一緒に肖像画に残したかったからと、手を出さざるを得なかったからだといいます。歴史を彫りさげると本当に面白いです。そういういろんなエピソードを韓国人のいろんな歴史の先生に教えていただけるのも面白いです。来週の水曜は、国立中央博物館で、とある教授の講義があるので、聞きに行くつもりです。その後は、プチョンの文化センターで、ソンギュン館大の教授の歴史講座が始まるそうなので、そっちに行くつもりです。大和王朝との関わりや、百済文明のことなども学べるそうです。