稲葉浩志稲葉浩志って…!?B'zのヴォーカリスト。1997年に全曲で作詞・作曲を手掛けたアルバム『マグマ』でソロデビュー。以降、現在までソロとしてシングル3枚、アルバム3枚を発表。どれもB'zとは違った稲葉浩志の世界観が感じ取れる作品ばかり。 レビュー掲載作品 『マグマ』 『遠くまで』 『KI』 『Wonderland』 作品レビュー 1stアルバム 『マグマ』 (1997.1.29) 1.冷血 ★★★☆ 2.くちびる ★★★ 3.そのswitchを押せ ★★★☆ 4.波 ★★★★☆ 5.眠れないのは誰のせい ★★★ 6.Soul Station ★★★★ 7.arizona ★★★ 8.風船 ★★★ 9.台風でもくりゃいい ★★★ 10.灼熱の人 ★★★☆ 11.なにもないまち ★★★ 12.Chopsticks ★★ 13.JEALOUS DOG ★★★ 14.愛なき道 ★★★☆ 15.Little Flower ★★★★ 総合 ★★★★ B'zのヴォーカリスト稲葉浩志による初のソロ作品。 ヴォーカリストがソロをやると、所属しているバンドのカラーがそのまま出てしまうということが多いのですが、この作品の世界観はB'zとはまったく別モノ。 「これが稲葉の世界だ!」と言わんばかりに、独特の雰囲気を醸し出す楽曲達。バラバラに作り、撮り溜めていたものをまとめたものとあって、曲のタイプは様々。しかし、それでいてアルバム全体に統一感があるのは、その楽曲ひとつひとつが、しっかりと稲葉の色に染まっているから。 音使いも、ハードロック色がある楽曲でも、打ち込みは控えており派手なシンセなどはまったくと言っていいほど見られません。生の感触も魅力的です。 そして、サウンドだけでなく、それ以上に耳を傾けてほしいのが、歌詞。「詩人としての稲葉」を感じられる作品集に仕上がっています。 人間の内面について、さりげない言葉で、的確に突いてくるフレーズは、さすがと言ったところ。 飛びぬけた楽曲こそないですが、粒ぞろいの15曲。 インパクトよりも、ジワジワと効いてくる魅力は、実際にその耳で確かめてもらいたいです。 B'zは嫌いという人にも聴いてもらいたい一枚。逆に、B'zとしてのイメージを期待して聴いた人は、大きく裏切られるはず。 眠れぬ夜のお供に最適。 (記:2005.9.6) 1stシングル 『遠くまで』 (1998.12.16) 1.遠くまで ★★★★☆ 2.CHAIN ★★★☆ 3.Not Too Late ★★★★ アルバム『マグマ』以来、約2年ぶりのソロ作品にして、ソロ初シングル。 『遠くまで』は、『マグマ』の世界観の完結編のような趣も。実際、これ以降のソロ作品は、ロック色が濃くなり、また新たな展開を見せますからね。弦楽器の伴奏で1コーラスまるまる通し、中盤以降のバンドサウンドを絡めた盛り上げ方は、稲葉ソロならではの手法で処理されています。後奏の盛り上がりも激しく美しいです。 『CHAIN』は、軽快なロックチューン。とっつきやすさは今作中でもナンバー1。「Na~Na~Na~♪」というコーラスや「なんなんだよ」・「YESのくせに」なんていう合いの手が楽しさを増幅させます。乾いた楽器の響きも印象的。 3曲目の『Not Too Late』がまた素晴らしい。雪崩のように激しく、それでいて温もりをもって被さってくるストリングスとバンドサウンドの共鳴が鳥肌モノ。これ、聴かないと勿体無いです。 3曲どれも見事な出来で、実際のところ稲葉さん自身もどれもA面にするかでかなり悩んだようです。ソロ次回作『志庵』の前にシングルを切らなかったのも、そうした苦悩の経験が影響しているのかもしれませんね(笑)。 (記:2008.8.1) 2ndアルバム 『志庵』 (2002.10.9) 1.O.NO.RE 2.LOVE LETTER 3.Touch 4.TRASH 5.Overture 6.Go 7.ファミレス午前3時 8.あなたを呼ぶ声は風にさらわれて 9.Here I am!! 10.炎 11.Seno de Revolution 12.とどきますように 総合 2ndシングル 『KI』 (2003.6.11) 1.AKATSUKI ★★★ 2.静かな雨 ★★★☆ 3.AKATSUKI Version S.S.S (評価なし) 4.I’m on fire ★★★★ 5.AKATSUKI Version O (評価なし) ソロ・シングルとしては2枚目の作品。自身のイニシャルである「K・I」と、「敬愛」、更にはメイン楽曲『AKATSUKI』のタイアップであった「K1」とをかけて、こうした作品名になりました。 静寂と激しさの対比がまさに闘いの場に相応しい『AKATSUKI』。この楽曲を中心に構成されており、ハードロックの側面を更に強化した『AKATSUKI Version S.S.S』、雄大なオーケストラによる『AKATSUKI Version O』というバージョン違いの歌抜き2曲と、それ以外の新曲2曲とが交互に並べられています。 そんな今作、個人的には『AKATSUKI』よりも、それ以外の歌モノ2曲のほうを推したいです。『静かな雨』は、或る雨の日の一情景を描いた小品ですが、聴き捨てるにはあまりにも惜しい味わい深い作品。心情描写と客観的な画とをバランス良く織り込んだ歌詞は、職人技と言ってもいいでしょう。ソロならではの1曲です。そして、『I’m on fire』。神聖なオーラすら感じる愛のこもったバラードです。豊かで穏やかな歌い上げ方からは、これだけ独特な声を持ちながら決して一本調子にはならないヴォーカリスト・稲葉浩志の強みに触れることができたように感じました。 (記:2008.8.1) 3rdシングル 『Wonderland』 (2004.7.14) 1.Wonderland ★★★ 2.あなたの声だけがこの胸震わす ★★★★ 3.I AM YOUR BABY ★★★☆ ソロ3枚目のシングル。表題曲『Wonderland』は、c/w『I AM YOUR BABY』と共に、2ヵ月後のアルバム『Peace Of Mind』に収録されました。シングル収録曲がアルバムに収録されるのは、ソロでは今回が初めての例。 そんな表題曲『Wonderland』は、引きこもり問題を取り上げたナンバー。しかし、説教臭い仕上がりにはなっていないので、普通に聴いている分には全く気にならないかもしれませんね。共同編曲には大賀好修を迎えました。こういうバンドサウンド、好きだなぁ。 今作中唯一アルバム未収録の『あなたの声だけがこの胸震わす』。いかにも「稲葉ソロのc/w」といった印象の渋いミディアムナンバー。じっくり耳を傾けるほど味わいが増します。イントロで聴こえる耳慣れない音は実はスカイセンサーのノイズ。 『I AM YOUR BABY』は、『Peace Of Mind』に収録されたものとはブルースハープが別テイク。ブルージーとポップを両立させた1曲です。「I am your baby 何が何でも 辿り着きたいと願う心 今夜はそれを愛と呼ばせてください」。…くーっ~、たまらねぇ(笑)。 (記:2008.8.1) ジャンル別一覧
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