357567 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

NO-NAMEの隠れ家

NO-NAMEの隠れ家

黒沢健一

作品レビュー

1stアルバム
『first』
(1998.9.18)

L⇔R活動休止の翌年、ヴォーカリスト黒沢健一が放った初のソロアルバム。
楽曲は、更に黒沢健一の飾らない芯の部分をあらわにしながらも、振れ幅ををつけて展開します。トータル40分弱とは思えないほどの充実した楽曲。全体的に軽やかで、L⇔Rという服を取り払ったことでの身軽さがサウンド面からも感じ取れるようです。それでいてL⇔R時代のファンも納得するだけの優れたポップソングメーカーぶりが十分に発揮されています。いやぁ、この人はすごいですよ。

1曲目『Oh Why』は眠たくなりそうな力の抜けたナンバー。列車に揺られているようなリズムが心地よいです。続く先行シングル『Rock’n Roll』がすごい。「ロックンロール」なんてタイトルに騙されてはならない。変拍子の黒沢流プログレッシブなナンバーで、止める間もなくなだれ込むピアノ音の粒子が凄まじい。黒沢健一の天才ぶりをまざまざと見せつけられたあと、イントロなしで始まる『Round Wound』は、彼らしい心地よいメロディーがグルーヴィーなバンドサウンドにのって展開されるノリノリのナンバー。健一さんのヴォーカルも相当ハイな状態で気分爽快。L⇔R時代にも見せていたロックンロール調ですが歪んだ打ち込みサウンドが異彩を放つ『Love Love』、シリアスな『Mad Man Across The Water』に続き、全歌詞英語のUKロック『Easy Romance』は、ポリ時代からのファンなら垂涎モノ。『Morning Sun』は息抜き的な小品ですが、ここでもメロディーの質の高さは文句なし。ソロデビューシングル『Wondering』は、ソングライターとしての黒沢健一を、あたかも気ままな旅人のように描き出したポップナンバーで、メロディーが溢れ出てくるよう。特にAメロからBメロへの流れは絶品。『FAR EAST NETWORK』はサビの突き抜け方はどこか懐かしくもあり気持ちいい。『Really I Wanna Know』はボサノヴァっぽいふわふわしたナンバー。ラストは『Rock’n Roll』の別バージョンで終わる、という、流れ。
レベルの高いポップチューンが11曲。サクッと聴くことができました。
黒沢健一というアーティストの資質の高さをまざまざと見せつけられた一枚。

1.Oh Why ★★★
2.Rock’n Roll ★★★☆
3.Round Wound ★★★☆
4.Love Love ★★★
5.Mad Man Across The Water ★★★
6.Easy Romance ★★★☆
7.Morning Sun ★★★
8.Wondering ★★★
9.FAR EAST NETWORK ★★★
10.Really I Wanna Know ★★★
11.Rock’n Roll (reprise) ★★★☆

総合 ★★★☆

(記:2006.1.23)










3rdシングル
『This Song』
(1999.6.2)

1.This Song ★★★★
2.Free Bird ★★★
3.This Song (Loud Cut) ★★★★

アルバム『first』の翌年にリリースされた3rdシングル。全曲アルバム未収録。
ストリングスとシンプルなバンドサウンドの絡みによって生み出されるエバーグリーンな世界観とじわりと滲む切なさは、L⇔R時代の名曲『HELLO, IT’S ME』や『ブルーを撃ち抜いて』を思わせたりもします。なにより、彼の歌声の透明感と訴求力が素晴らしい。
ファンキーな『Free Bird』、マニア心をくすぐる『This Song (Loud Cut)』も聴き逃せません。
(記:2009.2.5)










2ndアルバム
『B』
(2001.3.14)

2作目のソロ・アルバム。収録シングル楽曲はゼロ。
相変わらず、ポール・マッカートニーの継承者である(と僕が勝手に思ってる)彼らしい、ポップで時にひねくれた良質なサウンドは、どの楽曲でも認められます。
今回の特徴として、アレンジメントがアルバムを通して生音のバンドロックで固定されています。ただ、それらの画一的なアレンジメントは、曲によっては良さが活かしきれていないというのもまた事実に思えます。どの曲も聴き込めばそれなりに良かったりするのですが、なんか「とりあえず」このアレンジ形態でやってみてそのまま収録したっていう印象が拭えない…。デモ・テープみたいです。健一さんのメロディーメーカーぶりは衰えていないんですけどね。アレンジでもっと聴かせてほしかった!
ベスト・トラックは結局これかよって感じですが、健一さんのアコギ1本で唄われる1曲目の『リトル・ソング』。ほのぼのとした明るいメロディーのロックミディアムナンバー『遠くまで』もいいですね。
『トーキング・ブルース』・『Do-Bee-Do』には、L⇔Rから木下さんも参加しています。

1.リトル・ソング ★★★☆
2.スピードを上げてく ★★★
3.トーキング・ブルース ★★☆
4.バラード ★★☆
5.遠くまで ★★★
6.スリー・コード ★★★
7.What You Want ★★☆
8.Good To Me ★★★
9.Do-Bee-Do ★★★
10.視点 ★★★
11.どこかにある場所 ★★★

総合 ★★☆

(記:2007.4.28)


© Rakuten Group, Inc.