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NO-NAMEの隠れ家

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ZARD(2)

作品レビュー…の続き

セレクションアルバム (追悼盤)
『Soffio di vento ~Best of IZUMI SAKAI Selection~
(2007.8.15)

2007年5月27日、坂井泉水さんは帰らぬ人となりました。6月26日には、関係者向けの音楽葬が開かれ、織田哲郎・大黒摩季・池森秀一・森友嵐士・浅岡雄也らが出席。また、稲葉浩志・松本孝弘・倉木麻衣や、かつて『果てしない夢を』で共演した読売巨人軍の長嶋茂雄終身名誉監督らが、追悼コメントを寄せました。翌6月27日には一般向けの音楽葬が開かれ、来場者の人数は4万人を超えました。

8月15日、追悼盤として、2枚のセレクションアルバムが同時リリース。
こちらの『Soffio di vento』は、泉水さんが生前にお気に入りとして挙げていた作品を基に選曲された一枚。アルバム曲やカップリング曲が中心となっています。
タイトルの『Soffio di vento』(ソッフィオ・ディ・ヴェント)とは、イタリア語で「風のそよぎ」という意味。
特典DVDとして、『My Baby Grand ~ぬくもりが欲しくて~』と『カナリヤ』の2曲を収録しています。

目立たなかったり、一般リスナーには馴染みのない楽曲が多く収録されています。
いや、それにしても、これ、想像以上に良いです。良質な楽曲揃い。最近のファンにとっては、『Golden Best』に続いて今回の追悼盤2作品を聴くことで、更にZARDの世界を広く知ることが出来るようになりますね。
「『Goden Best』は聴いた。全作品を集めるつもりはないけど、もっと色んな曲を聴いてみたい。」という人に最適です。
また、以前からのファンにとっても、これまであまり注目することのなかった楽曲がこうしてアルバムに取り上げられることで、楽曲の良さを再発見することが出来るのではないでしょうか。
『黄昏にMy Lonely Heart』・『遠い星を数えて』・『遠い日のNostalgia』・『来年の夏も』と、個人的にも好きな楽曲がオンパレードしている他、『ひとりが好き』・『So Together』などといった楽曲は、今作への収録で、その良さにあらためて気付かされました。

ちなみに、偶然かどうか分かりませんが、このアルバムには、ZARDの黄金時代を支えた作曲家である織田哲郎さんによる楽曲が1曲も収録されていません。それに対して、栗林誠一郎さんによる楽曲が8曲と多く収録されています。

各曲の詳しい解説は主にそれぞれの初出時の作品のところにまかせるとして、今回は簡単なコメントを付していきます。

1.あの微笑みを忘れないで ★★★☆

初出はアルバム『HOLD ME』。ベスト/セレクションアルバムにも多く収録されているこの楽曲。その爽やかさは他の追随を許さないところ。1曲目が似合います。

2.黄昏にMy Lonely Heart ★★★★

嬉しい収録。『ZARD BLEND II ~LEAF & SNOW~』に続いてのセレクション盤収録です。『きっと忘れない』のカップリングですが、ロックテイストと切なさが見事に融合した完成度の高い1曲でしょう。

3.愛が見えない ★★★☆

『Golden Best』に続いて今回も収録されました。15thシングルで、PAMELAHの小澤さんによる作曲です。キレ味鋭いロックチューン。ベスト・オリジナル含め、今まで何度もアルバムに収録されてきましたが、アルバム前半に登場するのは今回が初めて。ということで、また違った印象も受けるのではないでしょうか。

4.サヨナラは今もこの胸に居ます ★★★

こちらも『Golden Best』に続いての収録。16thシングルです。作曲を務めた栗林さん本人によるコーラスがとっても味わい深くて良いですね。可愛らしい仕上がりの1曲。

5.ひとりが好き ★★★

膨大なZARDのレパートリーからよく掘り起こしてくれました!2ndアルバム『もう探さない』からの1曲。ベスト/セレクションアルバムには今回が初収録。
ブレイク以前の楽曲もしっかりと泉水さん自身が胸に刻んでいたということが分かり、嬉しいですね。作曲は栗林誠一郎。リマスタリング効果も加わり、あらためてこの楽曲の良さを発見できると思います。

6.あなたに帰りたい ★★★

5thアルバム『OH MY LOVE』でラストを飾ったナンバー。『ZARD BLEND II ~LEAF & SNOW~』に続いてのセレクション盤収録です。今回も冒頭のクラシックギターの演奏がカットされた『ZARD BLEND II』収録バージョン。

7.So Together ★★★☆

こちらは3rdアルバム『HOLD ME』でラストを飾ったナンバー。ベスト盤の類には今回が初収録。アルバムのラスト曲が、こうして中盤に置かれるとまた印象が違いますね。以前はそれほど注目していなかったのですが、こんなに良い曲だったとは…。

8.遠い星を数えて ★★★★

この曲の収録は当然でしょうね。泉水さんのお気に入りと言えば…といった感じです。
元々は、21stシングル『風が通り抜ける街へ』のカップリングとして収録されていたこの楽曲。8thアルバム『永遠』にも収録され、『ZARD BLEND II ~LEAF & SNOW~』ではシークレットトラックとして収録されました。また、あの船上ライブでも、アンコールとして歌われています。
歌詞は、よく時間をかけて書かれたのでしょう。音楽的にも、新たなZARDの可能性を感じさせる内容で、地味ですが好印象の楽曲です。

9.遠い日のNostalgia ★★★★

バラードの名曲。初出は3rdアルバム『HOLD ME』です。『ZARD BEST ~Request Memorial』に続いて2度目のベスト/セレクションアルバム収録。
泉水さんの澄んだ歌声も存分に味わうことが出来ます。今回も、『ZARD BEST ~Request Memorial』に収録されたものと同様に最後のサビの繰り返しがカットされたバージョン。

10.来年の夏も ★★★★

『ZARD BLEND ~SUN & STONE~』に続いて2度目のベスト/セレクションアルバム収録。初出は5thアルバム『OH MY LOVE』。
何度も言っていますが、僕、この曲が本当に好きなんですよね。泉水さん選曲のベスト盤にもこうして選出されるというのは嬉しいかぎりです。

11.かけがえのないもの ★★★☆

ベスト/セレクションアルバム初収録。38thシングル。2004年発売のこの曲は、今アルバムのラインナップの中でも、最も新しい楽曲です。
私達にとって「かけがえのないもの」、それは泉水さんの歌声…。今あらためて聴くと本当に染みますね。

12.Boy ★★★

『ZARD BLEND II ~LEAF & SNOW~』に続いて2度目のセレクション盤収録。11thシングルとして『この愛に泳ぎ疲れても』と共に両A面で発表された楽曲です。癒し系のナンバー。良いですね。

13.見つめていたいね ★★☆

7thアルバム『TODAY IS ANOTHER DAY』でラストを飾ったナンバー。今作でもラストに置かれました。ベスト盤の類には今回が初収録です。1通のファンレターをきっかけに作られた楽曲。「3Gのキーパー」とも天国できっと出逢うことが出来たのでしょう。

総合 ★★★★☆

(記:2007.8.27)










セレクションアルバム (追悼盤)
『Brezza di mare ~dedicated to IZUMI SAKAI~
(2007.8.15)

追悼盤のもう一枚。
こちら『Brezza di mare』は、16年間に渡って同じチーム編成で音楽制作を行ってきたZARDのレコーディングスタッフが、追悼の意をこめて選曲したというプレミアムセレクションです。『Golden Best』とは1曲も重なっていません。実際のところ、「『Goden Best』から漏れたシングル曲+主要曲集」といった感じのラインナップです。
タイトルの『Brezza di mare』(ブレッツァ・ディ・マーレ)とは、イタリア語で「海風」という意味。
特典DVDとして、『もう少し あと少し…』と『眠り』の2曲を収録しています。

こちらも、ファン以外には馴染みの薄い楽曲がほとんどかもしれません。『Goden Best』から漏れた曲ということになると、シングルは必然的にヒット期以外の楽曲が多くなるわけですからね。しかし、どの曲も、耳を傾けてみる価値は十分にあると思います。初期の『もう探さない』や、晩期の『悲しいほど貴方が好き』。ベスト未収録だった『風が通り抜ける街へ』や『世界はきっと未来の中』等々…、まだこんな楽曲が残っていたのかと驚くかもしれませんね。また、シングル以外の楽曲でも、美味しいところを持ってきています。『少女の頃に戻ったみたいに』は、本当に名バラード。
幅広い時期から楽曲が選ばれていることで、ZARDサウンドの遷り変わりを知ることもできます。並べて収録された『もう探さない』と『promised you』なんて、時期は大きく違いますが、どちらもドラマ主題歌に起用されていたりして興味深いですね。
『Soffio di vento』と同様、『Goden Best』に続いての「ZARDを更に知る一枚」として、大きな意義を持ちそうですね。

また、触れておきたいのが、最後に収録された『いつかは…』。歌詞が、泉水さんの優しい歌声が…、本当に染みますね。「忘れないで ずっと あなたの中に 生き続けるわ」というフレーズで、追悼盤は幕を閉じます。

今作も、各曲に簡単なコメントを付していきます。

1.瞳閉じて ★★☆

36thシングル。ベスト/セレクションアルバム初収録。
この時期の楽曲は打ち込み色が強く、GIZA-studioの空気をそのままZARDにもってきたような雰囲気が強いですね。当時は、新曲に飢えていたこともあり、とにかく「ZARDの新曲だっ。」ってことだけで嬉しくて、それほど気にせずに聴いていたのですが。今作のように、時代がバラバラな楽曲の揃う中に置かれると、やっぱりZARDにはこういう雰囲気は合わないなぁと思いますね。特に、全盛期のバンドサウンドと比べてしまうと…。演奏が徐々に盛り上がっていくというのも、ZARDにはめずらしくないですし、ちょっとこれは凡庸な1曲といった印象。終盤に転調してゴージャスなサウンドになるところなんかは良いですけどね。いきなり苦言を呈してしまってすいません(笑)いや、でも、この曲はこのアルバムのコンセプトからいけば当然収録されるべき楽曲。

2.明日を夢見て ★★☆

35thシングル。ベスト/セレクションアルバム初収録。
この曲も、上と同じような感想。結局、90年代末あたりからのZARDは、新たな方向性をずっと模索したままだったように思えます。晩年は、アレンジャーに葉山たけしが戻ってきて、ややスタイルも見えて来つつあったかなというところでした。
それにしても、デビュー13年目にして、『明日を夢見て』なんていう直球ど真ん中のタイトルを臆することなく付けてしまうセンスには、発表当時に脱帽した記憶があります(笑)

3.風が通り抜ける街へ ★★★

21stシングル。ベスト/セレクションアルバムには意外にも初収録。ZARDがヒットチャートの女王の座から転げ落ちた楽曲として、悪名高いこのナンバーですが、今聴いてみれば、全然アリですね。徳永暁人が初めてシングル表題曲でアレンジを手掛けた作品。自分の中での評価というのも、時間とともに変わっていくものですね。

4.I’m in love ★★★☆

ベスト/セレクションアルバムには初収録です。6thアルバム『forever you』より。
キリッとしたサビも格好良いですし、’80年代のアメリカ産業ロックを思わせるような全体のイメージも、ZARDにはめずらしくて新鮮ですね。歌詞もなかなか面白いことを言っています。

5.君がいない (B-version) ★★★☆

7thシングルの『君がいない』ですが、この「B-version」は、ベスト/セレクションアルバム初収録。このバージョンの初出は、4thアルバム『揺れる想い』。
キーがシングルバージョンより半音低くなっています。そして、「何もかも~♪」の部分の歌い方も違います。

6.もう探さない ★★★☆

3rdシングル。やっとこさベスト初収録。この曲のベスト収録をずっと待ち望んでいましたからね。演奏から、泉水さんのヴォーカルから、ジャケットから…、何から何まで大人っぽい雰囲気の楽曲。

7.promised you ★★★

33rdシングル。ベスト/セレクションアルバム初収録。また、9thアルバム『時間の翼』には「with P edition」として別バージョンで収録されたため、シングルバージョン自体がアルバム初収録ということになります。
前曲の『もう探さない』と同様、ドラマ主題歌のタイアップが付きました。TVで使用されたものとはアレンジがまた少し違うようです。
作曲は栗林誠一郎。この後も晩期のオリジナルアルバム内で幾度か作曲者として名前を見かけますが、それらはいずれもストック曲だそうなので、これが事実上最後の栗林さんによる提供曲と言って良いのかな。この曲もストックだったという可能性も高いですが…。ゆったりまったりとした癒し系メロディーは泉水さんに合っていて、温かい気分になります。ただ、泉水さんの声量は全盛期と比べると明らかに落ちていますね。
編曲は倉木麻衣の作品でよく名前を見かけるCybersoundがZARDの楽曲に初登場。これもこれで良いですが、アレンジ次第でもっと素晴らしい曲になっていたかなとも思います。派手さのない淡々とした打ち込みサウンドで、ある意味この曲には合っているのですが、フックは弱いですからね。
良い曲なんですが、更に化ける可能性があっただけに、「惜しい」と感じてしまうナンバーでもあります。

8.悲しいほど貴方が好き ★★★

最後のシングルとなった『ハートに火をつけて』の一つ手前の41stシングル。ベスト/オリジナル通じて、アルバム初収録。きっと新たなオリジナルアルバムが出ていれば、そこに入ったんでしょうね。メロディーラインは美しく、葉山たけしによるアレンジメントも流石なもの。葉山さんの復帰はファンも嬉しいものでしたね。
ただ、前作の『星のかがやきよ/夏を待つセイル(帆)のように』から売り上げは半減。敢えて言えば、グッと惹きつける魅力がもうひとつ欠けたかな。

9.君がいたから (di mare version) ★★★

ベスト/セレクションアルバム初収録。元々はFIELD OF VIEWの1stシングルだったこの曲、泉水さんが歌詞を提供していたということもあり、ZARDによるセルフカバーという形で7thアルバム『TODAY IS ANOTHER DAY』に収録されました。今回は、「di mare version」として、新たなバージョンでの収録。
FIELD OF VIEWの歌という印象がやはり強いですが、あらためてその歌詞の良さに気付かされますね。

10.止まっていた時計が今動き出した ★★★☆

10thアルバム『止まっていた時計が今動き出した』表題曲。ベスト/セレクションアルバム初収録です。
ZARDレパートリーの中で唯一、GARNET CROWのヴォーカル・中村由利による作曲のナンバー。GARNET CROWも、GIZAを代表するアーティストですが、中村さんは1990年代前半~中盤のBeing黄金期を彷彿とさせる曲を書いてくれました!素晴らしい!そして、徳永暁人によるアレンジもすごいぞ!
振り返ってみると、オリジナルアルバムの表題曲って、名曲が多いですね。ZARDに限らず、タイトルトラックはみんな気合の入った楽曲で勝負してくるんでしょうけど、ZARDは、『Oh my love』・『Forever you』・『Today is another day』、そしてこの曲…、良質な楽曲揃いです。あ、例外があった。『時間の翼』は……(苦笑)
話を戻して、これは本当にメロディーもアレンジも、Beingファンは垂涎モノです。特にサビ以上に哀愁漂うAメロ・Bメロは見事。

11.さわやかな君の気持ち ★★★☆

34thシングル。当時、1年半のブランクを置いての久々のシングルでした。ベスト/セレクションアルバムには今回が初収録。また、10thアルバム『止まっていた時計が動き出した』には「Album Ver.」として収録されているため、シングルバージョンは全アルバム通じて初収録ということになります。
この曲は個人的にはシングルバージョンの方が良いと思いますし、嬉しい収録です。リマスタリング効果もあって、タイトル通りの爽やかなサウンドが広がります。ただ、ヴォーカルが…。泉水さんが体調を崩し、復帰後の初シングルなんですが、だいぶ声量が落ちたなぁというのが聴いていて分かってしまうんですよね…。2番のサビとか、聴いていると可哀想になってきます。曲はすごく良いんですけどね。

12.少女の頃に戻ったみたいに ★★★★

初出は、25thシングル『運命のルーレット廻して』のカップリング。「これがカップリングかよ!」というような、素晴らしいバラード。その後、8thアルバム『永遠』にも収録されました。ベスト/セレクションアルバムには今回が初収録。
映画『名探偵コナン 14番目の標的』主題歌にもなったので、聴き覚えのある方もいるでしょう。
まだ作曲家デビューしたての大野愛果が初めてZARDに提供した楽曲。やがて大野はGIZAの主力作家となり、数年後のZARDは彼女のペンによる楽曲ばかりになるんですよね。しみじみ…。

13.世界はきっと未来の中 (di mare version) ★★★☆

29thシングル。シングル曲ですが、知名度は低いかな?300万枚のセールスを記録した『ZARD BEST The Single Collection ~軌跡~』と、それに続くベストアルバムとしてリリースされた『ZARD BEST ~Request Memorial~』の間の時期に発売されたシングルです。ベスト/セレクションアルバム初収録。
これほど爽快感のある曲もなかなかないですね。もっとZARDのアーティスト・パワーが強い時期だったら、大きなヒットとなったことでしょう。
作曲は、当時New Cinema 蜥蜴で、現・三枝夕夏 IN dbの岩井勇一郎。織田・栗林の両氏が離れ、新たな作家陣がどんどん現れ始めていた時期です。
この爽快チューンが、やっと注目を浴びることになったことは嬉しいですね。ただ、この曲、9thアルバム『時間の翼』には「~another style 21~」と銘打った別バージョンで収録され、今回も「di mare version」という新たなバージョンでの収録のため、シングルバージョンはいまだに8cmシングルでしか聴けないという状況になっています。

14.いつかは… ★★★

2ndアルバム『もう探さない』からの選曲。こうしてベスト/セレクションアルバムに引っ張ってくるのは初めて。数少ない泉水さん作曲のナンバーです。
この曲が、こうして追悼盤のラストに置かれるということには、リスナーがそれぞれ何かを感じずにはいられないと思います。
ZARDは、泉水さんの歌声は、ずっと私達の中に生き続けるのですね。

総合 ★★★☆

(記:2007.8.31)










43rdシングル
『グロリアス マインド』
(2007.12.12)

1.グロリアス マインド ★★★☆
2.探しに行こうよ (2007 version) (評価なし)
3.愛を信じていたい (2007 version) (評価なし)

泉水さんの死後、「坂井泉水が生涯最後にレコーディングした曲」としてリリースされた43rdシングル。サビ以外の歌詞は全て英語詞になっているのは、未完成だったためでしょうが、泉水さんが常に仮歌段階で英語詞を使用していたかどうかということは、僕はよく知りません。
大野愛果による物悲しげなメロディーラインに、泉水さんのヴォーカルが相性抜群。『揺れる想い』・『マイ フレンド』に代表されるような煌びやかなイメージの一方で、泉水さんの歌声は最後までこういった暗めの楽曲において魅力を存分に放っていました。葉山たけしによるアレンジも磐石。『名探偵コナン』主題歌という指定席も含めて、最後まで「ZARDらしく」あった今作は、有終のラスト・ナンバーと言えるのではないでしょうか。
2・3曲目には、「過去のシングルのc/w」かつ「アルバム未収録」というファン以外には馴染みのない楽曲のリアレンジ・バージョンを収録。こちらは機会があったらレビューします。
(記:2008.10.20)










44thシングル
『翼を広げて/愛は暗闇の中で』
(2008.4.9)

1.翼を広げて ★★★
2.愛は暗闇の中で ★★

『グロリアス マインド』と、それに続く二枚組リクエストベスト『ZARD Request Best ~beautiful memory~』という流れで泉水さん没後の一連の追悼リリースは終了したかと思いきや、4月になって両A面シングルの今作のリリース。ちょっとここまでくると、Beingの商業体質に対して首を傾げざるを得ない面もあり。泉水さんの死を、過度に商売に利用するのは、死者に鞭打つ行為にほかならないと思います。「いやいや、そんなことないよ」と言うかもしれませんが、このタイミングでの今作のリリースは、やはり泉水さん死後の「追悼」と銘打っての作品が乱発されている印象に拍車をかけてしまいかねないわけで、僕としては発売経緯自体にあまり納得がいっていないシングルです。
『翼を広げて』は、DEENへの提供曲のセルフカバー音源。泉水さんが他アーティストに歌詞を提供した楽曲は、既にZARDとして多くがカバーされてきていたのですが、この曲に関してはこれまで発表されておらず、ファンの間では「おそらく音源は眠らせてあるだろう」と予測されていたのですが、どうやら真実だったようで、今回掘り起こしての収録となりました。明石昌夫アレンジで、昔ながらのZARDサウンド、安心仕様。
『愛は暗闇の中で』は、デビュー・シングルのカップリングとして発表された楽曲で、それがこのたびアレンジを変更して新お目見えしました(泉水さんのヴォーカルは原曲のまま)。HR風のアレンジを手掛けたのは若手の森下志音。あまり馴染みのない名前ですね。また、一部が上木彩矢によって歌われていますが、流して聴いている分には気付かないほどに自然ですね。ただ、この曲をリアレンジした意図がイマイチわかりません。上木サイドしか喜んでいない気が。楽曲としての面白みにも欠けますね。「もしZARDがロック志向でいっていれば…」という妄想へのアンサー・ソングにはなるでしょうか。
もう今作でZARDの新譜はしばし凍結でいいでしょう。
(記:2008.11.28)





-----OTHERS-----
ここまでで紹介できなかった曲をレビューしていきます。

5thシングル 『IN MY ARMS TONIGHT』 c/w (1992.9.9)
汗の中でCRY

12thシングル 『こんなにそばに居るのに』 c/w (1994.8.6)
あなたのせいじゃない

15thシングル 『愛が見えない』 c/w (1995.6.5)
Teenage dream

17thシングル 『マイフレンド』 c/w (1996.1.8)
目覚めた朝は…

19thシングル 『Don't you see!』 c/w (1997.1.6)
帰らぬ時間の中で


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