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NO-NAMEの隠れ家

NO-NAMEの隠れ家

BON JOVI(2)

作品レビュー…の続き

7thアルバム
『CRUSH』
(2000.5.17)

前作『THESE DAYS』以来、実に5年ぶりのオリジナルアルバム。
これはねぇ~、実に評価の難しい一枚ですねぇ。今だからこそ落ち着いて評価できるような気もするけど。ただそれでもやはりこのアルバムについて率直にどうこう言うのって難しいような面がありますね。意外にも賛否両論の分かれる一枚でして、で、その賛と否のどちらにも納得ができますからねぇ。他人の意見に左右されずに、自分の思ったことをいつも書いていくつもりではありますが、僕一人の意見としてもこのアルバムに対しては良い印象とそうでない印象が混在していまして、実は非常に扱いが厄介な一枚でもあります(笑)
まず、このアルバム、一聴した印象としてとても明るいイメージがあります。前作『THESE DAYS』が、あぁいったダークな印象を与えるアルバムだったので、余計に今回のアルバムを明るい印象にしているのかもしれません。5年のブランクを挟んで、前作とは印象が180度異なる作品が届けられたのです。「明るい」という言葉は、「若々しい」という言葉にも言い換えることができて、若返ったかのようにエネルギッシュな勢いを感じさせる一枚です。歌詞のテーマにしても、前作での内向的な作風から大きく方向転換し、ポジティブで、リスナーに元気を与える以前の彼ららしいものへと復活を遂げています。
象徴的なのが、先行シングルとして大ヒットした1曲目『IT’S MY LIFE』。サウンドはまさしくBON JOVIロックそのもの。パワフルなサウンドが聴くものを自然と奮い立たせるようなエネルギーに溢れています。歌詞中には、決して諦めない者の象徴として、『LIVIN’ ON A PRAYER』の歌詞に登場したトミーとジーナが再登場。そう、まさにこの『IT’S MY LIFE』という曲は、2000年代の『LIVIN’ ON A PRAYER』なのです。
この『IT’S MY LIFE』は、アメリカにおいて、MTVやラジオでも頻繁にオンエアーされBON JOVI復活を印象付け、この『CRUSH』というアルバム自体の大ヒットへとつながり、前作『THESE DAYS』で落ち込んでいた本国でのセールスを回復。再びBON JOVI旋風を巻き起こしたのです。ここ日本でもCMソングとして起用され、そのダイナミックなサウンドが一般層にも浸透。‘80年代の彼らを知らないような若い新規ファンを開拓することに多大な貢献を果たしました。今後、彼らの歴史においても大きな意味のある1曲となるでしょうね。
と、いうことで、この『CRUSH』というアルバムは『IT’S MY LIFE』あってこそのアルバム、『IT’S~』無しでは語れない一枚という印象が強いのはまぎれもない事実。
しかし、それで終わらせてしまうのはイカンだろってことで、2曲目以降も見ていきたいんですけどね。
彼らの王道とも言える『IT’S~』に続くのは、うってかわってサイケなサウンドの新境地『SAY IT ISN’T SO』。ハリウッドスターを多数起用して撮影された超豪華なPVも話題になりました。そして彼ららしい王道路線のバラード『THANK YOU FOR LOVING ME』から、ジョンのヴォーカルがセクシーな『TWO STORY TOWN』へ。この『TWO STORY TOWN』という曲、かなり好きですね。ズッシリと絡みつくようなサウンドがクセになります。
5曲目の『NEXT 100 YEARS』は、ここ日本において、稲葉浩志の日本語訳詞でJ-FRIENDSがカバーして大ヒットしました。当然ながら、「元祖」のBON JOVIによる演奏は遥かにロック色が強く、終盤にはリッチーの狂ったようなギタープレイが聴けます。
その後、いかにもBON JOVIな『JUST OLDER』から『MYSTERY TRAIN』という埃っぽいサウンドでの流れ。そしてバラードの『SAVE THE WORLD』。
9曲目『CAPTAIN CRASH & BEAUTY QUEEN FROM MARS』は、新鮮なテイストのロックナンバー。聴き所でしょう。続く『SHE’S A MYSTERY』でのAOR風サウンドもまた、ね。それまでの彼らからは考えられもしなかったもの。
そして本編ラスト2曲は、立て続けにアップテンポの『I GOT THE GIRL』・『ONE WILD NIGHT』と来て終了。ラストに切れ味のある曲が来てピタッと終わるのが特徴的ですね。これも意外にも初めての試み。
さて、そんなわけでざっと見てみると、まず、以前からの彼ららしさを感じる王道的な楽曲(『IT’S MY LIFE』や『JUST OLDER』、バラードの『SAVE THE WORLD』などなど)が目に付きます。それらの楽曲自体が、前作『THESE DAYS』では見られなかったために久々な印象(=若返ったという印象)を与えているのも事実でしょう。もちろん、前作を通過して、それゆえこういった作品がよりスケールアップして生まれてきたのでしょうが。ただ、これを「復活」と言っていいのかというと、いささか疑問符がつくんですけれどね。前作でのセールス面での落ち込みから、内向的な作風から方向転換して、再びこういった路線に意図的に戻した結果とも言えるかも。
で、例によって新境地の楽曲も多くあって。毎回、今までになかったタイプの楽曲を収録しているのはすごいことですよね。『SHE’S A MYSTERY』など、「これがBON JOVI?」といった印象だし、彼ららしさに新たな風味を取り入れた『CAPTAIN CRASH & BEAUTY QUEEN FROM MARS』・『I GOT THE GIRL』・『ONE WILD NIGHT』なども、新鮮かつ親しみやすいものになっています。
と、いうことで、今作は「ポジティブな歌詞」・「王道サウンド」に「新境地」もブレンドされた作品になっており、若返ったという印象を持たせてくれます。
で、こっからが賛否両論の否の部分というか、マイナスのイメージの話なんだけど、やっぱり聴き心地がねぇ。アルバムのバランスとしていまひとつ。
序盤は毎度のことながら素晴らしいのですが、最初から聴いてくると、『JUST OLDER』あたりから徐々にダレてきます。で、その流れの中での『SAVE THE WORLD』はキツイよなぁ。眠くなれって言ってるようなもんです。下手な子守唄より『SAVE THE WORLD』のほうが効果絶大。今回は本編ラスト2曲にアップテンポな曲を持ってきているのですが、中盤がどうしてもね、眠くなってしまいます。『CAPTAIN CRASH & BEAUTY QUEEN FROM MARS』で目覚めたかと思いきや、その直後の『SHE’S A MYSTERY』で再び…。やっぱりやっぱ曲順おかしいよ!!(笑)
あらためて聴いてみると、意外なほど地味なんですよね、中盤って。こういった落ち着きぶりからすると、やはり1曲目の『IT’S MY LIFE』の完成度と勢いで持っているアルバムだという印象も拭いきれず…。
雑多な作風の中で、「これがBON JOVIだ。これでいいのだ。」という力強さを感じる一枚なのですが、一見してわかりやすいようで、実は前作以上に聴き込む必要のあるアルバムかもしれません。明るいようで、前作と同じくらいに地味な面も持ち合わせています。当然、楽曲一つ一つも、普通に聴いたら良い曲なんですよ。ただ、もうちょいね。なんとゆーか。惹きつけるエネルギーが欲しかったところです。問答無用のパワーというか。
新規ファンの開拓・セールス面でも復活で、BON JOVIにとって起死回生とも言える一枚となったのでしょうが、僕としては、まだまだBON JOVIはこれ以上のことをやってくれそうな気がするんですよね。って、このアルバムが出たのもだいぶ以前のことになっている現在になってから言うのもなんですが(笑)
そんだけ、期待してますから、BON JOVIさんよ。

ボーナストラックは、どちらも本編の曲よりもヘヴィなサウンドでなかなか良いです。

1.IT’S MY LIFE ★★★☆
2.SAY IT ISN’T SO ★★★
3.THANK YOU FOR LOVING ME ★★★☆
4.TWO STORY TOWN ★★★☆
5.NEXT 100 YEARS ★★★☆
6.JUST OLDER ★★★
7.MYSTERY TRAIN ★★★
8.SAVE THE WORLD ★★★
9.CAPTAIN CRASH & BEAUTY QUEEN FROM MARS ★★★☆
10.SHE’S A MYSTERY ★★★
11.I GOT THE GIRL ★★☆
12.ONE WILD NIGHT ★★★

BONUS TRACKS

13.I COULD MAKE A LIVING OUT OF LOVIN’ YOU ★★★
14.NEUROTICA ★★★

総合 ★★★

「BON JOVI復活」?それは人それぞれ。賛否両論渦巻くアルバム。










ロックベストアルバム
『TOKYO ROAD』
(2001.3.28)

日本オンリーでリリースされたベストアルバム。今回はロックナンバーに絞った選曲となっています。
海外ではこの年5月にライブ盤がリリースされたのですが、日本盤のリリースは年末となり、代わってこのベスト盤が先にリリースされることとなりました。
彼らはロックバンドでありながら、『I’LL BE THERE FOR YOU』・『BED OF ROSES』・『ALWAYS』などバラードにも定評があり、そういったナンバーが彼らの魅力を形づくる要因のひとつだというのは事実です。そんな彼らの楽曲から、敢えてバラードを外し、ロック色の強い楽曲に拘った選曲がなされたこのベスト盤。
全16曲、立て続けにテンポの良い楽曲がどんどん演奏されていきます。もちろん、ベスト盤だけあって、「あ、この曲があったか。あ、これも来たか。」と、お馴染みの曲から、懐かしい曲・意外な曲など、次から次へと披露されるレパートリー。なかなか圧巻です。
『BLOOD ON BLOOD』・『BORN TO BE MY BABY』など、前回のベスト盤『CROSS ROAD』に入り損ねた楽曲や、この時点での最新アルバム『CRUSH』からの楽曲など、各時代から幅広く曲が選ばれていますからね。『IN THESE ARMS』が入っていないのは相変わらず不満だけど。あの曲、彼らはロックっていう認識じゃないのか!?
まぁ、それは置いといて、唯一の新曲は1曲目の『ONE WILD NIGHT 2001』。アルバム『CRUSH』の本編ラストナンバーだった楽曲ですが、曲構成を変更し、よりスマートな印象に変わっています。

しかし、ロックベストとはいえ、どの曲を聴いても思うのはメロディーの耳馴染みの良さ。ロック色の強い楽曲でありながらも、彼らの魅力のもうひとつの側面であるバラードの楽曲と同じように、メロディーの良さが際立っています。
BON JOVIの万人受けする魅力-美しいメロディーが核となった心地よいサウンド、それは現在に至るまで貫かれているということを再確認できる、そんな一枚でした。

1.ONE WILD NIGHT 2001 ★★★
2.BAD MEDICINE ★★★☆
3.LIVIN’ ON A PRAYER ★★★★★
4.YOU GIVE LOVE A BAD NAME ★★★★☆
5.KEEP THE FAITH ★★★☆
6.IT’S MY LIFE ★★★☆
7.BLOOD ON BLOOD ★★★
8.SOMETHING FOR THE PAIN ★★★☆
9.BORN TO BE MY BABY ★★★★☆
10.TOKYO ROAD ★★
11.HEY GOD ★★★
12.JUST OLDER ★★★
13.I’LL SLEEP WHEN I’M DEAD ★★★
14.RUNAWAY ★★★★
15.WILD IN THE STREETS ★★★
16.NEXT 100 YEARS ★★★☆

総合 ★★★☆

BON JOVIのロックベスト。ロックとは言っても聴きやすい一枚。










ライブアルバム
『ONE WILD NIGHT LIVE 1985-2001』
(2001.12.21)










8thアルバム
『BOUNCE』
(2002.9.11)

BON JOVI通算8作目となるオリジナルアルバム。前作の『CRUSH』からは2年3ヶ月。更に昨年にはロックトラックばかりを収録したベストアルバム『TOKYO ROAD』・初のライブアルバム『ONE WILD NIGHT』のリリースもあったため、今作の発表は非常に短いインターバルに感じました。

1曲目『UNDIVIDED』のイントロでいきなりダウンチューニングしたヘヴィなギターリフが轟きます。以前より更にスケールアップした迫力のサウンドで攻め立てるオープニングには驚かされました。続く2曲目は、アルバムからの第1弾シングルとなった『EVERYDAY』。耳に残るメロディと迫力のサウンドに、これまでにはなかったクラブミュージックの要素をも取り入れた意欲的な楽曲。
音圧の太いガチガチに固めた硬質なサウンドといった印象の冒頭2曲は、非常にテンションが高く圧倒されます。もちろんメロディー自体は、彼ららしく耳に馴染みやすいものに作られています。
3曲目から6曲目あたりは、従来の彼らの持ち味である埃っぽい匂いの感じられるナンバーが続きます。『THE DISTANCE』・『JOEY』・『MISUNDERSTOOD』などは、完全に彼らの手の内といった感じで、リスナーも安心して聴けます。そしてそこに、決してマンネリになり得ない「新しさ」を少なからずミックスしているのがさすがですね。
この流れで、バラード『ALL ABOUT LOVIN’ YOU』。バラードに飢えていたファンも納得の楽曲ではないでしょうか。中盤のジョンの叫びに近い歌声は胸にくるものがありました。
アルバム後半は、再びヘヴィなリフが耳に残る『HOOK ME UP』から始まり、ザラついた生音で壮大な『LOVE ME BACK TO LIFE』や、『IT’S MY LIFE』からの流れを汲むタイトルトラック『BOUNCE』などのパワフルな楽曲と、バラード『RIGHT SIDE OF WRONG』、アコースティックな『YOU HAD ME FROM HELLO』などがバランスよく収められており、どちらかの色合いに偏ることもなくアルバムは『OPEN ALL NIGHT』で静かに幕を閉じます。

「9.11」テロの影響を少なからず受けている作品であり、歌詞もメッセージ性の強いものが多くなっています。ただ、アルバム『THESE DAYS』の頃ようなダークさというよりも、痛みや悲しみ・苦しみからの「立ち直り」を打ち出したものが中心になっています。
バラードが多いですが、アルバム全体の佇まいは、味があって良いです。曲順もこのアルバムではベストな配置になっているのではないでしょうか。(タイトルトラック『BOUNCE』が一番微妙ですが。)
一聴して地味な印象でも、聴き込むほどに良くなるアルバムです。その点、前作『CRUSH』とは性質が違うようにも思えます。個人的には『CRUSH』より遥かに長く聴けました。
『THESE DAYS』と『NEW JERSEY』に次いで好きなアルバムかな。

1.UNDIVIDED ★★★★
2.EVERYDAY ★★★☆
3.THE DISTANCE ★★★☆
4.JOEY ★★★☆
5.MISUNDERSTOOD ★★★☆
6.ALL ABOUT LOVIN’ YOU ★★★☆
7.HOOK ME UP ★★★
8.RIGHT SIDE OF WRONG ★★★
9.LOVE ME BACK TO LIFE ★★★
10.YOU HAD ME FROM HELLO ★★★
11.BOUNCE ★★☆
12.OPEN ALL NIGHT ★★★

BONUS TRACKS

13.NO REGRETS (DEMO) ★★☆
14.POSTCARDS FROM THE WASTELAND (DEMO) ★★☆

総合 ★★★★

メッセージ性の強い楽曲が多いアルバム。落ち着いた中に、新たなBON JOVIを感じさせる要素もある一枚。
(記:2007.1.2)










セルフカバーアルバム
『THIS LEFT FEELS RIGHT』
(2003.10.31)

9thアルバム
『HAVE A NICE DAY』
(2005.9.14)

10thアルバム
『LOST HIGHWAY』
(2007.6.13)


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