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2008年03月29日
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季節は春さくら
街角の花屋でも、春らしいかわいらしい花たちが
目を楽しませてくれます。

そんな中でも、おとなしめでもかわいくて目を引くのが
スイートピーの花。



このスイートピーの花を見ていて、
ふと思い出した言葉があります。
「春は馬車に乗って、来るんだよ」
不治の病で寝ている妻に
スイートピーの花束を持たせて、ある夫が
言った言葉です。



横光利一の短編、「春は馬車に乗って」の最後の部分です。



横光利一は明治生まれ、戦前の昭和で活躍した小説家。
この「春は・・・」は彼の作品の中でも
ちょっと珍しい、せつないロマンティックな感じが漂う一遍です。
彼自身、奥さんの君子さんを病気で亡くしており、
そんな彼の実体験をちょっぴり混ぜた
フィクションになっているのかもしれません。


結婚するまでは奥さんの実家とゴタゴタ、
結婚後は奥さんと母親の嫁しゅうとの関係でゴタゴタ、
母親が亡くなったと思ったら、今度は
奥さんが胸の病にかかってしまった・・・
という、トホホな状態のご主人と、
病気で寝ている奥さんとの会話からなるお話です。

奥さんは病人とはいえ気が強く?
わがままも言うし、女らしい嫉妬心も持っている。
ご主人もひょうひょうとして奥さんの看病をしているけど
奥さんにわがままを言われれば
結構ガツンと言い返す。

でも、そんな二人の前にも悲しい現実が直面してきた。
二人はお互いの別れの日が遠くはないことを実感し、
それからはただ黙って寄り添うように日々を過ごす。


最後の部分をちょっとだけ引用します。




 彼の妻の眠っている朝は、朝ごとに、彼は海面から頭を抬げる新しい陸地の上を素足で歩いた。前夜満潮に打ち上げられた海草は冷たく彼の足にからまりついた。時には、風に吹かれたようにさ迷い出て来た海辺の童児が、生々しい緑の海苔にすべりながら岩角をよじ登っていた。
 海面にはだんだん自帆が増していった。海際の白い道が日増しに賑やかになって来た。ある日、彼のところヘ、知人から思わぬスイトピーの花束が岬を廻って届けられた。
 長らく寒風にさびれ続けた家の中に、初めて早春が匂やかに訪れて来たのである。
 彼は花粉にまみれた手で花束を捧げるように持ちながら、妻の部屋へはいっていった。
「とうとう、春がやって来た。」
「まァ、綺麗だわね。」と妻は言うと、微笑みながら痩せ衰えた手を花の方へ差し出した。
「これは実に綺麗じゃないか。」
「どこから来たの。」
「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先きに春を撒き撒きやって来たのさ。」
 妻は彼から花束を受けると両手で胸いっぱいに抱きしめた。そうして、彼女はその明るい花束の中へ蒼ざめた顔を埋めると、恍惚として眼を閉じた。




海の青、砂浜の白い道、海草の深い緑、朝のまぶしい日差し、
そしてパステルカラーのスイートピー。

こんなに色彩感が豊かで美しい光景が目に浮かぶのに、
その根底に流れているのは、やがてくるであろう別れの日を予感する
深い悲しみと、優しいあきらめ。


美しい一節だと思いますきらきら



春の馬車がスイートピーを乗せて丘の向こうから駈けてくる。
なんだか素敵な光景ですね。


↓この短編集の中の「花園の思想」は、「春は馬車に・・・」の
続編ともいうべきお話。二人の本当の別れの瞬間が
リアルに悲しく描かれています。(読んだら辛くなるのですが
それでも文章はやはり美しいのです)


日輪・春は馬車に乗って 他八篇
日輪・春は馬車に乗って


【花束】ガーベラとスイトピーの花束 【0328野球5】【ポイント5倍】【ポイント5倍!3月31日9:59まで】

 


◆スイートピー 10本 

 

 

ところで、あららら?
この前書いた記事「オペラ・ラ・ボエーム」でも
ヒロインの女の子ミミは胸の病気で
恋人ロドルフォと悲しい別れをしたわけですが・・・
偶然ですが重なりましたね。
ちょっと昔は、この病気がいかに恐れられてたか
ということと、それをモチーフにした悲恋ものが
東西を問わずよく作られて、また好まれていた
ってことかもしれないですね。






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Last updated  2008年03月30日 22時22分27秒
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