ケーブルテレビをつけていたらなんとなく始まった
映画「コーラス・ライン」。
実は、この映画を見るのは初めてだったのです。
原作のミュージカルは大好きで
NYのブロードウェイでも、東京の劇団四季でも
見ていましたが、映画版はあるのは知ってても
見てなかったんですね・・・。
舞台の迫力には負けるかな、なんて思って
でも、見出したら最後まで見ちゃいました。
舞台版の原作をとても大事に踏襲して
作ってるんですね。
それにさすが、ダンスも歌もうまい人たちばっかり。
すっごく迫力あります。
これはブロードウェイの劇場での
長いオーディションの一日の物語。
劇場の外には「コーラス・ライン」と呼ばれる
バックダンサーのオーディションを受けようとしている
ダンサーたちの長蛇の列。
「コーラス・ライン」というのは主役の後ろで
踊り続ける、無名の多数の役。
それでもその仕事が欲しくてむらがるダンサーたち。
厳しく繰り返されるオーディション。
予選を勝ち抜いて残ったの10数名の男女。
この中から選ばれるのは男性4人、女性4人のみ。
「GOD(神)」と呼ばれる気鋭の振付家
ザック(マイケル・ダグラス)はダンサーたちに
「君たち自身について知りたい」と言い、
ダンサーたちは戸惑いながらも
順々に口を開いていく。
貧しい生まれの者、
いい家庭で育ったけれど
父親に「出来そこない」扱いされて育った者、
子供と妻がいて、昼はウェイターをしながら
オーディションを受け続ける男、
愛情のない家庭で生まれ育ったり
容姿にコンプレックスがあったりするけれど
「バレエ」でだけは、幸せを感じてきた女性たち、
ダンスはうまいけど「顔」でオーディションに落ち続け
顔と胸とお尻を整形手術して
素敵な美人になったのよ、とカミングアウトする女性、
ゲイだということをカミングアウトする男も。
そして、そんなオーディション会場に
ザックの元恋人で有名なダンサーだったが
ハリウッドに進出して失敗し戻ってきたキャシーが
「コーラス・ラインのオーディションを受けさせて」と
現れる。
ダンスのレベルも全く上過ぎるキャシーに
「こんなバックコーラスのダンサーになりたいのか」と
首を振るザック。
そして進むオーディション。
ひとりがケガで脱落した時、ザックは皆に問いかける。
「踊れなくなったら、どうする?」
本当に、一日のオーディション風景だけを追った映画。
最後に選ばれる人、振り落とされる人。
でもみんなすがすがしい顔をしている。
それは一生懸命やったから。
自分のすべてを出し切ったから。
そして最後に、ダンサーたちはまばゆい
金色の衣裳にシルクハット、ステッキを持って
華やかに「ONE!」を歌い踊る。
中にはオーディションに落ちた人も交じってるから
これは皆の夢、なのかもしれないけれど。
この映画、ミュージカル好き、ダンス好きな人には
こたえられない魅力があるんだけど
そうじゃない人にはどうなんでしょう?
ずっと舞台で踊りっぱなしで、ほぼ劇場のステージと
楽屋裏だけでお話が進行する、
そういう意味では地味な設定ではあるし。
でも、ジャンルは違えど
「何かに一生懸命に打ち込む」姿というのは
人の心に訴えかけるものがあるんじゃないかしらと
思います。
「ザック役」のマイケル・ダグラス、ダンサーたちに
容赦ない言葉を浴びせる振付家の役、合ってます。
でもあれくらい強烈なもんです、いやもっと厳しい
先生も多いですよ
私はプロではないですが
やはり大勢の中に交じって難しい踊りを踊っているとき
振付家の先生から
「そこの〇〇さん、あなただけ振りが違う!」とか
言われて頭の中真っ白になったりとか、
足がすくんじゃったりとかいう経験はあるある。
海外のリハーサルでも(コンテンポラリー)
先生に「そこのジャパニーズ・ガール(私ひとり日本人だった)」
あなた、クラシックバレエのクセ出すぎ!
バレエのポジションになってる。
ここではバレエのクセを忘れて踊らなきゃ駄目!」って
ずーっと言われっぱなしだったりとか(汗)。
NYのオープンクラスでダンスレッスンを受けると
それがたとえ中級や初級のクラスだとしても
先生は受講者たちを、ある程度「ダンサー」の自覚がある
相手と思って話しかけてくることがあるように思います。
「いい?こういう体の向き、見せ方は大事にね。
オーディション受ける人もいると思うけど、こういう
見せ方は、選考のポイントになるんだから」
レッスン中にそんな言い方をしてくれる先生もいます
で、ミーハー観光客ビジターの私なんかは
「わーすごいー、このクラスにもオーディション受ける
人いるのかも」なんてワクワクしちゃったりね
何か大好きで打ち込むものがある人、
またどんなジャンルであれ
そういう一生懸命な人たちを見るのが
好きな人に、お薦めの映画です。
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