TOKYO☆Passenger

今日は雨だったので映画鑑賞。
ちまたで噂の「世界の中心で愛を叫ぶ」を
見てきました。同行者の強いオススメです。
いやあ、会場内、みんな泣きまくってましたよ。
CM通りデスネ。「泣き」のシーン、があって、
観てるとそこが、よくわかりました。
「おおお、ここだな」って。

・・・・。私、泣けなかったんですよ。
もちろん、観る体勢からして良くなかった、てのもある。
でも、あれだけみんなが大泣きしてる映画で、
「このシチュエーションは美味しすぎだろ？」とか
「ここでこのカッコウはやりすぎでしょ？」とか
「ここできっとこーゆう台詞が出るぞ」とか、
そういう風に思ってしまうのは、やはりひねくれ者、
なのかもしれない、と映画を見ながら冷静に自己分析
をしてしまってました。
私は小説を読んでいませんが、ストーリーの大筋は
コミックでちょろっとたどったので、オリジナル
ストーリーを覗いては、おおよそのエピソードの
知識は入ってた。その時から、ちょびっと批判的な
目線でとらえてた、てのもあると思うんですけどね。

一番イケナイのは、あれですよ、ほら、CM。
「私泣きました」「絶対泣けます」って観客の
涙ぼろぼろ流しながらおススメしてるCM。
「観ないと、一生後悔します」とかね。
私はあまのじゃくだから、どうしても、
「見ず知らずの人にそんな絶対、とか言われたくない」
て思ってしまうんですよね。「じゃあ絶対泣くもんか」
とか思ってしまうし。
だから、そのあまのじゃく精神を超越するくらい
ぼろぼろ感動する映画に出会った時は、感服します。
素直に自分のあまのじゃくを反省するんですよ。で、
「この映画はほんとうにヤバい。嘘じゃなかった！」
て思うんですよ。感動も数倍、のような気がします。

思うに、あのテのCMは、かえってヘンな先入観を
与えてしまうだけのような気がするんデスヨ。
「世界の中心～」も「泣ける映画」っていう
宣伝だけで、本当に良いのでしょうか？
私、この映画はいい映画だと思います。
（泣けなかったとさんざん言いましたけどね）
「泣ける」要素を宣言されずに観ると、
８０年代後半の高校生、なんだかせつなかったり
もどかしかったりする不器用な恋愛、恋愛感情、
だけで片付けられないような、「好き」って気持ちを
媒体に封じ込めるところ、そして時を経て、
その時の「空気」までもが蘇る感じ、
を美しい映像とともに魅せる「シーン」は、本当に
良いです。ぎゅ、っと封じ込められた宝物みたいな
写真、昔のウォークマン、寂れた街、全てが、
せつなく愛しいピースのように、映画にかちっと
嵌るところはすごくイイんですよ。泣けるとも思う。
こういうのって、台詞だけじゃなく、空気感とか、
ちょっとした光のかげんとかも含めて、なんだか
「涙が出ちゃうかも」って思うものでは？

私はこの映画の「空気」が好きでした。
涙を流す、とこまではいきませんが。
「感動」は感動的な台詞、衝撃的な展開だけで味わうもの
ではないですよ。木枯らし一つだけのシーンでも良いんです。
もちろん、「泣き」のシーンも大切ですが、
そこばっかフューチャーしてしまうと、映画の楽しみ方を
なんだか狭めてしまっているようなところは、
やはり歓迎できません。

ちなみに、「あまのじゃく」が覆されることは、
この作品ではなかったわけですが、
覆された作品を挙げると、
「ライフイズビューティフル」「戦場のピアニスト」
あたりです。（あんだけ言っときながらベタか？笑）
自分の想像以上に、受け止めるべきコトが大きすぎて、
もう、ひたすら涙が出てきてしまった感じ。
共感、とかじゃないんですよね。あまりにもな、
その時代の歯がゆさが、悔しくて、ただせつなくて、
なのかもしれませんね。