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カテゴリ:ショートストーリー
「・・まだ20代の頃、チャンスが無かった訳じゃないの。
チャンスって言うのも変だけど、交際してれば、あるわよね。 でも、付き合って1ヶ月したら許したとか、3ヶ月ならとか 雑誌で見た知識とかで何だか頭でっかちになって 今まで来ちゃった。 そのうち、本当の事も言えなくなっちゃって・・・。 レイプだなんて、ごめん。 部屋には私も、そのつもりで行ったの。 ・・・でも20代って言うのは ――」 私の話の結末は、羨ましい彼女は「悪女」。 そして私は、「34歳まで身持ちが堅すぎて、 どうしようもない自分」を正当化して頑張った。 いつもは聞き上手な彼が、私の話を静かにさえぎる。 「・・・姉さん。それは、価値観の相違じゃないかな。 だって、彼女の事、何も知らないでしょ。」 ”何で彼女をかばうの。 というか、そもそも仲直りしようと思って来たのに 何で他の女の話になるの?!” 「・・帰りましょう。 友達、待ってるんでしょう。」 私は席を立ち、伝票を持った。 彼を残し、振り返らずに歩き始めた。 店を出て帰る途中、中学校の頃を思い出していた。 私がある友人を家に招いたことがあった。 友人が帰った後、母から、 「不良みたいな子とは友達にならないほうがいい」 と言われて、激怒したことがあった。 「お母さん、彼女のこと何も知らないでしょ!」 冷静になって気がついた。 彼が怒るのも十分理解できた。 私は、とんだ「おばさん」になってしまった。 彼は私を、深く心配してくれていたのに・・・。 to be continued... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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