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Emy's おやすみ前に読む物語

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May 7, 2006
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カテゴリ:連載小説
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《皆さんのご愛読と温かいコメントに感謝を込めて・・・!
(^-^)/ GWのラストに贈る「特大号」です!!
 いつもよりちょっと長いけど、どうぞ楽しんでくださいね♪》

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「ビロードの背中」-第10章の12-





「・・・ナツホさんとは?」


ナツホとは会っていないと知っていたけど、
彼の口から聞きたかった。


「会ってないよ。 もう、来ないと思うけど。」

「どうして。」

「意地悪して、・・・泣かせたから。」

「・・・どういう事?」



「姉さんと、朝 別れたでしょ。・・・その日来ることになってたの。
 始めから意地悪して、泣かせるつもりだった。」




“相変わらず、ナツホにはサディスティックなんだ。

 エッチは優しいくせに・・・。聞いちゃったんだから。”





「もしかして背中の・・・、かな?」

 知っていながら、聞く。

「そこまで言わせないでよ。 その話は、もう終わり。

 姉さん、俺、もう一杯飲んでもいい?」




彼は友達のバーテンダーを呼ぶ。

「モスコミュール、ふたつ。」



友達が話しかける。

「お酒大丈夫?本当にテイクアウトされちゃうよ。」


「―― いいからお前、仕事しろよ。」


単純に楽しそうだった。

大人の男には程遠いふざけっこが微笑ましかった。






「前から思ってたんだけど、女性に手 早いよね。」



自分からもあるだろうが、彼ならナツホのように
女性からの誘いも少なくないだろう。




「確かに遅くはない。―― って言うか、
俺、姉さんには かなり誠実だったと思うよ。 ・・・でもなぁ。」


彼の笑顔が真顔になる。

目がお酒のせいで少し潤んで、すがるような表情になる。



“・・・この目、見たことある。
男のくせに、なんて色っぽい眼をするんだろう・・・。”



「その男、いいなぁ。・・・俺も姉さんとしたいな。」


「―― 私も。」

・・・本音だ。



ナツホの話を聞いてから、さらに彼を知りたくなった。

彼から目が離せなかった。
時間にするとほんの数秒だと思うけど、長い時間に感じられた。


彼の真顔が笑顔になる。

「もうっ、 そんな目しないでよ。
 俺、子供なんだから本気にするよ。」

 

“彼に 『本気よ。』 と言ったら、私たちはどうなるのだろう・・・。”










「・・・さっ、帰ろう。」

彼に言われ、時計を見た。 1:30。 
 
家に着くのは2:00になる。


「ここ、持つよ。 最後に見栄張らせて。」



彼が支払いをしながら、友達と笑っているのが見えた。

私はガラス扉越しに彼を見ていた。




“今日で、最後 ――。”















帰り始めた道。 夜なお賑わうこの街。

金曜日という事もあり、ポツポツとではあったが、人の姿があった。



「姉さんのマンションまで、送らせて。」

送ってもらう事にする。

どちらからともなく、手をつなぐ・・・。







マンションに着く。


「部屋の前まで、送ってもいい?」

私はうなずいた。





部屋の前に着く。

「―― 鍵、開けて。」





鍵を開け、玄関に入った。

彼も入り、ドアを閉めた。









彼は玄関の壁に私を立たせて、両手で囲む。


「―― キス、しようよ。」



“どうしよう。”



彼が続ける。




「姉さん・・・飲んでる時から、

 俺とキスしたいと思ってたでしょ・・・。」



彼は口唇を重ねてきた。



“―― 図星だ。”

彼の美しさと嫌味な言葉が、悔しいくらい合っている。



・・・ もう、どうにでもなれ。









長いキスの間に、彼が何か言ったようだった。


「・・・え。」



「・・・だいすき。」





“大好きって言った?”




口唇を軽く重ねながら、

小さく “だいすき” と繰り返していた。









やがて口唇を離し、私を抱きしめると、


「――大好き。」


と小さく言って、玄関を出て行った。









私は壁に寄りかかりながら、その場に座り込んだ――。








To be continued...


















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Last updated  May 7, 2006 09:30:47 AM
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