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テーマ:小説書きさん!!(610)
カテゴリ:連載小説
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《皆さんのご愛読と温かいコメントに感謝を込めて・・・! (^-^)/ GWのラストに贈る「特大号」です!! いつもよりちょっと長いけど、どうぞ楽しんでくださいね♪》 ******************************************************* 「ビロードの背中」-第10章の12- 「・・・ナツホさんとは?」 ナツホとは会っていないと知っていたけど、 彼の口から聞きたかった。 「会ってないよ。 もう、来ないと思うけど。」 「どうして。」 「意地悪して、・・・泣かせたから。」 「・・・どういう事?」 「姉さんと、朝 別れたでしょ。・・・その日来ることになってたの。 始めから意地悪して、泣かせるつもりだった。」 “相変わらず、ナツホにはサディスティックなんだ。 エッチは優しいくせに・・・。聞いちゃったんだから。” 「もしかして背中の・・・、かな?」 知っていながら、聞く。 「そこまで言わせないでよ。 その話は、もう終わり。 姉さん、俺、もう一杯飲んでもいい?」 彼は友達のバーテンダーを呼ぶ。 「モスコミュール、ふたつ。」 友達が話しかける。 「お酒大丈夫?本当にテイクアウトされちゃうよ。」 「―― いいからお前、仕事しろよ。」 単純に楽しそうだった。 大人の男には程遠いふざけっこが微笑ましかった。 「前から思ってたんだけど、女性に手 早いよね。」 自分からもあるだろうが、彼ならナツホのように 女性からの誘いも少なくないだろう。 「確かに遅くはない。―― って言うか、 俺、姉さんには かなり誠実だったと思うよ。 ・・・でもなぁ。」 彼の笑顔が真顔になる。 目がお酒のせいで少し潤んで、すがるような表情になる。 “・・・この目、見たことある。 男のくせに、なんて色っぽい眼をするんだろう・・・。” 「その男、いいなぁ。・・・俺も姉さんとしたいな。」 「―― 私も。」 ・・・本音だ。 ナツホの話を聞いてから、さらに彼を知りたくなった。 彼から目が離せなかった。 時間にするとほんの数秒だと思うけど、長い時間に感じられた。 彼の真顔が笑顔になる。 「もうっ、 そんな目しないでよ。 俺、子供なんだから本気にするよ。」 “彼に 『本気よ。』 と言ったら、私たちはどうなるのだろう・・・。” 「・・・さっ、帰ろう。」 彼に言われ、時計を見た。 1:30。 家に着くのは2:00になる。 「ここ、持つよ。 最後に見栄張らせて。」 彼が支払いをしながら、友達と笑っているのが見えた。 私はガラス扉越しに彼を見ていた。 “今日で、最後 ――。” 帰り始めた道。 夜なお賑わうこの街。 金曜日という事もあり、ポツポツとではあったが、人の姿があった。 「姉さんのマンションまで、送らせて。」 送ってもらう事にする。 どちらからともなく、手をつなぐ・・・。 マンションに着く。 「部屋の前まで、送ってもいい?」 私はうなずいた。 部屋の前に着く。 「―― 鍵、開けて。」 鍵を開け、玄関に入った。 彼も入り、ドアを閉めた。 彼は玄関の壁に私を立たせて、両手で囲む。 「―― キス、しようよ。」 “どうしよう。” 彼が続ける。 「姉さん・・・飲んでる時から、 俺とキスしたいと思ってたでしょ・・・。」 彼は口唇を重ねてきた。 “―― 図星だ。” 彼の美しさと嫌味な言葉が、悔しいくらい合っている。 ・・・ もう、どうにでもなれ。 長いキスの間に、彼が何か言ったようだった。 「・・・え。」 「・・・だいすき。」 “大好きって言った?” 口唇を軽く重ねながら、 小さく “だいすき” と繰り返していた。 やがて口唇を離し、私を抱きしめると、 「――大好き。」 と小さく言って、玄関を出て行った。 私は壁に寄りかかりながら、その場に座り込んだ――。 To be continued... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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