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カテゴリ:連載小説
21:45 《咲花》の閉店時間が迫る。
「・・・渡良瀬、どうしたのかな。」 「さぁ・・、乙女心は分刻みで変わるので。」 「喜春さん、もうすぐ旦那さんの命日だって・・・。」 「はい。お墓参りに行くので《咲花》お休みします。」 「夏恋さんと2人で?」 「いいえ。 お盆に3人で過ごしたから。 命日は私だけが行きます。“デート”です。」 「・・お墓はどこにあるんですか?」 「C町です。」 「僕もその日から夏休みで、その先のD駅まで行って 乗り換えます。C駅まで一緒に行きませんか?」 「・・・待ち合わせはできません。 私、花を買ったり美容院に行ったりしたいので、 何時になるか分からないですから。」 「何時でもいいです。携帯に連絡下さい。」 僕は手元にあった紙ナプキンに空に書く真似をする。 「喜春さん、ボールペン貸して。」 僕に少し強い口調で言われ、 喜春さんは勢いでボールペンを渡す。 「――必ず連絡して下さい。 そうじゃないと、僕も帰省できないですから。」 財布から5000円札を出しカウンターに置くと、 逃げるように《咲花》を後にした。 家に着く。 22:00をまわって少し迷ったが、実家に連絡する。 「もしもし、おふくろ? ナオだけど、 そっちに帰るの2日遅らせるから――。」 ―つづく― いつもお読み頂きましてありがとうございます! \(^―^)人(^0^)/ 今日はいかがでしたか~? 次回をお楽しみに~! 毎日の励みに、ポチッとして頂けたら嬉しいです。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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