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Emy's おやすみ前に読む物語

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Jun 19, 2007
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カテゴリ:連載小説
「・・・でも、そうやって諦めていくしかないでしょう。

 ひとつずつ、少しずつ、納得させていくしかないでしょう・・。」

先生が優しい口調で悟し始める。


「その日、外出していたのも・・、誰も悪くない。」





――ママが顔を上げる。



目が、いや、顔全体が腫れて、

しゃくりあげるように息が乱れる。




ママが先生に救いを求めるような目を向ける。



「私は、悪くないの・・・?」


搾り出したような、小さな声。






先生が椅子を持ってきて、ママの隣に移動する。


「渡良瀬、ごめんね。」


と、私に一言。

意味が分からない。





先生が、ママの顔を自分の胸に・・・。

そして、抱きしめた――。




“ええっ。”








ママは驚いて、体を離そうとする。



「・・・気春さんは悪くない。悪くないし、

 よく頑張ってる。

 一人でよく頑張ってる事、みんなが知ってる。」




その言葉を聞くと、ママは再び声をあげて泣いた。



今度は先生の胸にしがみついて。




「・・・ずっと、泣きたかったんだね。


 でも、頑張らなきゃいけないから、

 泣けなかったんだよね・・・。」





先生の服の胸元の色が、涙で濡れて濃くなる。








“ねえ、ママ・・・、気づいてる?

 パパ以外の男性の胸に抱かれてる事。



 ねえ、先生は気づいてる?

 ママはパパを想って泣いている事。


 先生の胸で、先生の腕の中で、

 パパを思って泣くなんて・・・


 なんて図々しい女なの。

 ――なんてお人好しな男なの。”





もう見てられない。耐えられない。


どうしてなのか、何に対してなのか分からない。

けど、心のそこから腹が立つ。




“私だって先生の事・・・。

 どうして、ママなの・・・?“





席から立ち上がり、やっと歩いた。

《咲花》の扉まで。


ほんの数歩の距離なのに、やっとたどり着けた気がした。





もう一度振り返って2人を見る。

そして勢いよく店を飛び出した――。






        ―つづく―








!!!!!!



次回をお楽しみに~~!





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Last updated  Jun 20, 2007 12:26:34 AM
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