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Emy's おやすみ前に読む物語

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Mar 21, 2009
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カテゴリ:連載小説・中編
「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-6**


私はカウンターから料理を覗き込む。

チャーハン。

むきえび、チャーシュー、わけぎ、玉子、

具がたっぷり入っている。


あまりのいい香りに夕食は食べてきたのに食欲がわく。



私は家庭のキッチンで男性が料理するのを見たのは初めてだった。

私の父は家で料理をする人ではない。

――孝夫も。




三村が皿を2枚用意してチャーハンを盛る。


私の分も作ってくれた?

チャーハンを盛ったさらにスプーンをのせて、

グラスに麦茶をつぐと私に渡す。




「そっちで食べて。」


部屋の中央のテーブルを目で示す。

私は受け取るとテーブルに着く。


三村の分はカウンターに用意し、丸いすに座る。

仕事の書類を読みながら、食べ始めている。



「・・・いただきます。」

私は小さく言うと、チャーハンを一口食べる。

・・・美味しい。



あくまでついでだと思う。

でも、三村が私にチャーハンを作ってくれた事・・・

実に驚き、胸に熱くこみ上げてくる。


こういう状況は初めてなので、どうしてよいのか分からない。




三村に何か言いたい。

三村にこれ以上ない言葉。

どう表現したら・・・。


迷っているうち、三村から

「スーツ、掛けといてくれてありがとう。」

三村は書類から目を離さず、背中を向けたまま言う。


孝夫の脱いだスーツをハンガーに掛けるのは当然のこと。

お礼を言われるなんて、考えた事もない。

なのに、三村は私にお礼を言ってくれた。


”ありがとう”が心の中に深く染みてくる。

救われたような歓喜に満たされる。




私からも「チャーハン美味しい」と、料理をほめよう。

「家に帰ってまで仕事なんて大変ね。」と労をねぎらって、

「一緒に食べよう。」って甘えてみようか。


三村にも言いたい。

三村の心を満たす言葉。


「・・・チャーハン美味しい。

 私、男の人に料理作ってもらったのって初めてなの。」


少しはしゃぐように言ってみる。



「――そう。」

書類から目を離さない。


会話終了。


私は再びチャーハンをほおばる。

もう、そうするしかないから――。





静まり返った空気の中、食べ終えたお皿をキッチンで洗う。

それから一度カウンター側に出て、三村の空いた皿に手を掛ける。




「・・・ナグラさん、名前なんていうの?」


「・・・。」


「これからさ――。」


三村が書類から顔を上げる。


「これからするのに、名前も知らないのもどうかなって思って。」



・・・もうその話はナシなのかと思った。

でも確かに、チャーハンだけ食べて帰宅という事はないか。


三村はどうしてラブホじゃなくて自宅マンションに私を通したのか。

ペアカップのある、かすかに彼女の色のある部屋に。



「――あの、その前に、

 三村さん、彼女いるんじゃないですか?」


「いるよ。」


「なのに、どうして。」


「誘われたから、ナグラさんに。」


「私は――、」

思わず声が大きくなる。



今更ながら、誘ってしまったかもしれない恥ずかしさと、

本当はセックスを誘ったのではない言い訳と。




「・・・ナクラです。濁らないの。

 『ナクラ マスミ』。 字は真実の真に純粋の純。」



「俺はカヅキ。字は・・・」

近くの鉛筆をつかむと、読んでいた書類の端に書く。

「三村佳月。三村の家は男にみんな月の字を入れるんだ。

なんでだかは知らないけど。・・女みたいでしょ。」



「・・・でも、きれいな名前。」



三村の目が少し笑う―――。








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こんばんは!
東京では開花宣言が出されましたね。
桜の季節・・・私の大好きな季節です。
(これで花粉が飛ばなかったなら。。。)

三村さんのチャーハンは美味しかったようですね♪
チャーハンを上手に作るとはたいしたもんです!
男の料理はけっこうボリューム大な可能性が。。。
私はお腹が満たされると人に優しくなれる気がします。

・・・食欲と性欲って、確か反比例するんじゃなかった?
デザート(?)は、別バラかもしれませんね。
次回をお楽しみに!!






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Last updated  Mar 21, 2009 07:24:36 PM
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