英国民謡好きの戯言

2006/11/03(金)18:00

レビュー#373 ANDY IRVINE & DAVY SPILLANE 《EASTWIND》 92年アイルランド

90年代男性グループ(92)

Chetvorno Horo The Bear’s Rock Dance Of Suleiman Illyrian Dawn Pride Of Macedonia Antice Two Steps Toe The Bar Kadana Hard On The Heels Andy Irvine bouzouki, hurdy gurdy Davy Spillane uilleann pipes, low whistle Nikola Parov gadulka, kaval, gaida, bouzouki Bill Whelan key, p Micheal O’Suilleabhain p Anthony Drennan g Tony Molloy b Paul Moran, Noel Eccles per Mairtin O’Connor accordion Carl Graghty, Kenneth Edge sax John Seahan fiddle Marta Sebestyen vo Rita Connolly backing-vo  スウィーニーズ・メン~プランクシティ~パトリック・ストリートと渡り歩いてきたアンディ・アーヴァインと、アーヴァインより17歳ほど年下でムーヴィング・ハーツに在籍していたデイヴィ・スピラーンによる連名作。  収められた9曲はバルカン半島の伝統音楽をモチーフにしている。若い頃にギリシャやトルコ等を放浪したアーヴァインの経験が全面的に出てきた形だ。  これまでも数曲をバルカン民謡にしたりとか、バルカン風の曲を書いたりはしていたものの、収録曲のすべてがバルカン音楽で占められているのは本作が初めてである。  だから、録音参加メンバーのほとんどがアイルランド人でも大々的にケルト臭を発散させているわけではない。  イーリアンパイプの音色にしても普段よく感じる懐かしく切ない郷愁よりはどこか不可思議でエキゾチックな何かの含有率のほうがずっと高いことに気が付く。  使われている楽器はおなじみのものが多いが、展開されているのはアイルランド音楽ではないのである。  バルカンの音楽は熱気がある一方で荒涼さも備え、力強い曲調は情熱的にしなやかに踊るイメージ。  あまり触れる機会のない音楽だが、奏者に知った名前が多いせいかとっつきにくさはなかった。こういう作品を経由して本格的なバルカン音楽を聴くのもいいんじゃないだろうか。  ゲストのうち2人は非アイルランド人。  故国ブルガリアの民俗楽器(ガドゥルカ=弦、カヴァル=笛、ガイダ=バグパイプ)とブズーキを操るニコラ・パロフはミュージカル「リバーダンス」の演奏メンバーとして、またモザイクの一員としても活躍。  もう1人のマールタ・シェベスチェーンはハンガリー人女性歌手で、2と8で芯の通った美声を披露。ドーナル・ラニーのクールフィンでも逞しい喉を見せていた。  プロデューサーはそのリバーダンスの首領ビル・ウィーラン(リバーダンス参加者はパロフ以外にもアンソニー・ドレナン、ノエル・エクルスなどがいる)、ジャケットはドクター・ストレンジリー・ストレンジのティム・グールディングが描いている。 人気blogランキングへ

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