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おばさんが作った死語ブログ。人生いろいろに語ります。

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December 22, 2002
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 「なまこ」と読む。この世で初めてこの生物が食に耐えうるものだと試した人はホント勇気のある人だったろう。ましてや、その単純明快な「わた」を引っ張り出し、これが珍味、美味であると説いた人には「ゲテモノ好み」以上に脱帽である。
 何せ、おばさんは「海鼠」を包丁で切る時、なんだかムラムラと変な気分になる。うぉっほっほ・・・・まだ若いのぅ。まるで・・・その・・・・じぃさんのぺ●スみたいじゃからなぁ・・・実物を手にとって見たわけじゃぁないが、男もあんなになっちゃったらさぞかしクタクタだろうに・・・などと想像するのだ。楽しいキッチンである。あるいは、気分によっては、阿部定の如く、思いつめたような顔をしながら海鼠に包丁を入れるのだ。あぁ、それでもやっぱり楽しいキッチン♪

 おばさんの配偶者はこの海鼠が大の好物である。これをつまみに酒を飲み、この上ない贅沢な気分に浸れるらしい。おばさんは海の生まれではないので、イマイチ理解に苦しむのだが、おばさんの生まれたこの地域でも、「へぼ」と呼ばれる地蜂を甘露煮にして食べたり、成虫の蜂や幼虫を味ごはんにして「美味」「珍味」として食べる習慣があるので、配偶者を「ゲテモノ」扱いするわけにもいかないが・・・・。いや、いや、あの「へぼ飯」うまいんだよ。みなさん食べた事ありますか?幼虫はパッと見るとまるで便所に湧く「蛆」みたい。でも違うんですよ~ん。
 熊蜂の幼虫なんか最高!口の中でプチッとはじけて中から甘い蜜が出てくるんです。外側の皮は口に残りますが、品のいい木綿豆腐の食感・・・・熊蜂の成虫も食べますがあれは硬くて困りますね・・・・などとおばさんは「ゲテモノ」談義をするために、楽天から日記更新の催促メールを受けると言う屈辱に耐えながらこうしてキーボード叩いてるのではない。
 今日は「海鼠」の話。

 今冬は海鼠が安価である。これが小泉政策の効果かと苦笑いするが、もしかしたら、今時はやりの、「Made in China」抗生物質投与済み、かも知れない。そう思いながらも今まで手が出なかった赤海鼠を購入し、料理する。
 おばさんは冷蔵庫を開け、ゴソゴソとふたつき容器を取り出そうとする。今晩辺り味も落ち着いただろう。配偶者の奴、喜ぶだろうなぁ・・・うっひっひ。
 と、上段から取り出そうと容器を掴んだ手がスルッと滑った。
 「あっ」
 おばさんは小さな悲鳴を上げる。冷蔵庫上段からまっさかさまに容器が落ち、ひっくり返ってフタが飛んだ。いや、もともと固定式のフタではなかったので、落ちながらフタが取れ、中身の海鼠とそれが浸かっていた酢の液体が散らばりながら下に落ちた。
 自分の目でその惨状を確認するのだが、予想以上の散らばりようだ。酢は野菜室ドアをしたたり落ち、ぽたぽたと効果音も甚だ耳障りである。肝心のスライスカット状態の海鼠たちもとても海鼠とは思えないグロテスクな散らばりようで、春先にどうしようもなく異常発生した芋虫たちが行くところを失い、冷蔵庫にちらばり戯れている、という感じか?
 おばさんは姿勢も直さず、呆然とする。
 まず、拭かなきゃ・・・・食品を入れる冷蔵庫なので、長男のお漏らし雑巾を使うわけにもいかない。きれいなタオルを数枚用意する。そこで初めて自分の顔や腕にも酢が飛び散り、何個かの海鼠が張り付いている事に気付く。小さい頃、川岸の日陰になっている所で遊んでいた時、友人の足首に何かゴミみたいなものがくっついていた。「葉っぱが足に付いとるよ~」言われて友人は足首にねっとりとくっつき離れないナメクジがぺちゃんこになったような「ヒル」を目にする。半狂乱した友人は大きな尻餅を付きながらもその手でヒルを剥がし、泣きながら家に帰った。
 「ヒル」ほど大きくはない。既に酢漬けにされ、小さくなってしまっている。服や顔、はたまた冷蔵庫の内部から側面、あるいは床にしたたる酢とは裏腹でペッタリとネッタリとくっ付いている海鼠。
 幼児たちはお昼寝中である。起きる前に何とか片付けなくては。使命感に燃えるおばさん。何ということはない、「おかあさん、何してんの?」と問われる事が鬱陶しいのだ。
 おばさんは必死で海鼠を拾い集め、元の容器に放り込む。そうこうしていると、酢が床にどんどんと広がっていく。これを拭くのが先か。いやなんでもいい。とにかく、片付けなくちゃ。
 床にこぼれおちた海鼠を拾う。ついでに床に落ちていたゴミやら埃も一緒にくっ付いてくる。海鼠に髪の毛がくっ付いたものをひろっていると、なんだか人殺しをして、バラバラにし、その肉片でも拾い集めているようなイヤ~な気分になる。
 とにかく元の容器に埃も髪の毛も海鼠も一緒になって放り込む。・・・この時点でお気づきの読者もいらっしゃると思うが、おばさんは既にこの海鼠たちを、ゴミ箱に放り込む気はさらさらなかったのである。そうだ。また洗って酢漬けにしなおそう。と心に決めていたのだ。これを世間では「ケチ」とか「せこい」と表現する。
 酢を拭き取り、海鼠も拾い集め、ここでやっと安堵の気持ちが湧いたのか庫内の掃除なんかもついでにやったりするが、訳もなく、フフフフ・・・と独り笑いをする。立ち込める酢酸の臭気の中で「お酢もしたたる、よかおばしゃん」になっている自分がなんとも滑稽で仕方がなかった。

 さて、その晩、配偶者は例の赤海鼠のつまみで晩酌をし、「やっぱこの季節はこれだよな~。最高!」と至福の表情でご満悦であった。
 めでたし、めでたし。
  





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Last updated  December 22, 2002 04:10:36 PM
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