テーマ:社交ダンス(8595)
カテゴリ:映画のはなし
映画をご覧になっていない方でも、たぶん名前くらいは聞いたことあるのではないでしょうか。アメリカの裏社会を牛耳るマフィアの抗争を描いた1972年のフランシス・コッポラ監督作品です。沢山の方々が、映画の紹介や評論を書かれているので、ここでは、映画の中のダンスに視点を定めて,紹介してみたいと思います。
物語は、暗黒街のボス、マーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネが、娘のために開いた盛大な結婚式から始まります。ここで、彼は花嫁の父として娘とワルツを踊ります。 強烈な殺人シーンが次から次へと登場し、観客は、いやでも緊張を強いられるのですが、そんななか、結婚式の華やかな場面が、光と闇のようにコントラストを強調しています。 「セント・オブ・ウーマン」で素敵なタンゴを披露したアル・パチーノは、その20年前、「ゴッドファーザー」の中でワルツを踊っています。ドン・コルレオーネの三男マイケルを演じる彼は、殺人のほとぼりをさますためにシシリーに逃げ、そこで知り合った美しい娘と結婚します。花婿と花嫁の踊るワルツです。 社交ダンスでは、スタンダード5種目のなかの2種目はワルツです。一つは「ワルツ」もう一つは「ヴェニーズ・ワルツ」とよばれています。 普通、ワルツといって、思い描くのは、「美しき青きドナウ」みたいなワルツ曲だと思いますが、これは社交ダンスの世界では、「ヴェニーズ・ワルツ(ウィーンのワルツ)」とよばれるジャンルになります。 「ズンチャッチャー」の3拍子が、1秒間に約1回のリズムです。 それに対して、社交ダンスで「ワルツ」とよばれているのは、2秒間に1回、つまり、とてもゆっくりしたリズムの3拍子なのです。とっさにうまい例題が思いつきませんが、エンヤの「ウォーターマーク」なんていう曲をご存知の方は、そのリズムだと思って下さい。 エンヤ /ウォーターマーク ダンス競技会では、級が上がって行くに連れて種目が増えていきます。「ワルツ」は6級戦から種目に入っていますが、「ヴェニーズ・ワルツ」が種目に加わるのは、A級戦からですので、私達が目にする「ヴェニーズ・ワルツ」を踊る人たちは、かなり上手な人ばかりです。 最初にゴッドファーザーを見た時は、私も社交ダンスの世界を知りませんでしたから、「ヘー、結婚式でワルツ踊るんだ。うまいなあ。」なんて漠然と見ていましたが、今、もう一度みてみると、「これって、踊ってるって言えるの?」みたいに、ちょっと感想が変わってきます。 アメリカ人がコーヒーをアメリカン・コーヒーとよばないように、オーストリア、ドイツ、イタリア、たぶんヨーロッパでイギリス以外の国では、「ワルツ」といえば、「ヴェニーズ・ワルツ」のことをさすのではないかと思います。 結婚式で踊るのは、もちろん、「ヴェニーズ・ワルツ」。花嫁が父親と踊り、そのあと花婿と踊るという習慣があるらしく、そのためだけに、ワルツを習ったりもするようです。 お話が映画から大きく外れてしまいましたが、ゴッドファーザーは3時間映画です。その後,続編が作られて、全部で三部作。みんな、それぞれ3時間の超大作です。世代がマーロン・ブランドからアル・パチーノに交代して、さらに抗争劇は続いて行きます。 私は、何かの映画祭か、イベントで、この3部作を一気に観たことがあります。朝9時に始まって、全部終わったのが夕方の6時、もう外は暗くなっていました。すっかりマフィアの世界に浸って、頭がグラグラしました。そのせいで「続き物のマフィアの夢」なんて、見てしまったのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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