テーマ:社交ダンス(8311)
カテゴリ:下町人情物語
植物と同じで、年を取ると人間も枯れて行くものなんですね。
今日から夏期休暇に入った私は、以前から約束していた通りブルーベーリーをお土産に実家に遊びに行きました。 平日の都内は車より電車で行く方が時間が読めるので、久しぶりに電車とバスを乗り継ぎ2時間かけて帰省です。 私の実家は東京下町の寅さんで有名な葛飾柴又の近所。 最寄り駅はJR総武線の新小岩というところです。 ゴロゴロ鞄にブルーベリーをいっぱい詰め込んで駅を出ると、見慣れた風景が一変していました。 『バス停がない!』 駅前が再開発されていたんです。東京オリンピックと関係あるんでしょうかね。 バス利用者は多いはずだから無くなるはずはないので、きっと移動したんだろうとほぼ真昼の炎天下、バス停探して歩きましたよ。 ようやく見つけて、そこに列んでいた奥さんに聞いてみました。 『いつごろ変わったんですか?』 今年になってからだそうです。 安全地帯のような場所にあった想い出のバス停が撤去され道幅を広くしただけでなく、私が物心ついた頃からあった陸橋は取り払われ、タクシーも整然と客待ちする場所ができてとってもすっきりしましたね。 工事してる期間を全く知らないということは、この駅に降り立つのが相当久しぶりだということのようです。 実家では暑いのにエアコン入れてませんでした。 年取ると温度感覚が鈍るんでしょうね。 父親の運転で近所の和風ファミレスに行き、ランチを食べながら話して感じたのが冒頭に述べた『年取ることは枯れて行くこと』ということです。 以前は天丼やハンバーグ定食をがつがつ食べていた父が、すっかり食が細くなって今は干物のように痩せています。 なんと私より体重が軽いんです。自分が重すぎるせいもありますが。 水分が抜けて旨味が凝縮されて行くように、大らかな父はより大らかに、おしゃべりな母はよりおしゃべりに性格が強調されてきた感じです。 父の手を触ったらとても冷たいんです。 『なんでこんなに冷たいの?』 でっかい動脈瘤が見つかってハンデ3のシングルプレーヤーだったゴルフもやめてしまい、鉄棒で大車輪を見せてくれた頃の筋肉質の身体も今はありません。 大好きだった木が枯れて行くのを見るようで寂しい気持ちになりました。 そんな私の気持ちを察してか、父が笑って言いました。 『心が温かいからさ。』 そうか! そうだよね。父はいつも私の救世主だった。 心があったかいのが一番。 泣きそうになりながら私も一緒に笑いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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