テーマ:社交ダンス(8621)
カテゴリ:映画のはなし
タイトルになっている『怪物』とは誰のことなのかと思いながら見ました。
同じ出来事を別の三人の視点から描いて次第に真相が明らかになっていきます。 いい人そうな人物の『怪物』の一面が表面化したり、それぞれの視点で『怪物』が入れ替わっていくサスペンスのような興味深い映画です。 麦野沙織(安藤サクラ)は、小学5年生の息子・湊(みなと)とベランダから近所の火事を眺めていました。 夫が不倫旅行中に事故で亡くなったことを隠していて、息子には普通の大人になって欲しいと女手一つで頑張っています。 しかし湊の靴が片方なくなっていたり、怪我をして帰って来たりするので、学校でいじめに遭っているのかと心配します。 しつこく問いただすと、担任が『お前の脳は豚の脳だ』と言って殴ったと言います。 シングルマザーである事で甘く見られたくない沙織は学校に抗議に出かけました。 担任の保利先生(永山瑛太))はガールズバー通いをしているらしいという噂まで聞いて黙っていられません。 事を荒立てたくない校長は無表情に謝るばかり。 担任も教頭らに言われて頭を下げますが、反省の色が全く見えないので納得がいかないまま何度も学校に押しかける沙織。 保利先生は『怪物』なのか、学校側としては逆に彼女がモンスター・ペアレントですね。 次に保利(ホリ)先生の視点で描かれます。 火事の日、保利は彼女と一緒にいました。二人を見かけた誰かが、派手ななりの彼女をガールズバーのスタッフと勘違いしたのかもしれません。 とても真面目で子供好きな、はっきり言っていい先生です。 学校に押しかけて来た母親に説明もさせてもらえず、黙って謝れというのは事を荒立てたくない校長側の指示でした。 無表情な校長(田中裕子)が、次第に怪物に見えてきます。 机に飾った孫の写真、夫が誤って轢き殺し刑務所に入っていますが、実は彼女が真犯人ではという噂も。 学校をスキャンダルから守るためなら何でもする怪物です。 保利は追い詰められ、屋上のヘリに立って音楽室から聞こえる管楽器の奇妙なメロディを聴いていました。 それを吹いていたのは校長です。罪のない先生を破滅に追いやってしまった湊もそこにいました。 湊と同じクラスに星川依里(ほしかわ より)という、いじめられっ子がいました。 家ではシングルファーザーの父親に虐待を受けていて、化け物呼ばわりされています。 湊は依里と気が合ったんですが、クラスでいじめに遭いたくないので仲がいいことは隠していました。 3つ目の視点は湊です。 ここで全てが明らかになっていきます。 『怪物』は、2023年の日本映画です。監督は是枝裕和、脚本は坂元裕二で、第76回カンヌ国際映画祭の脚本賞とクィア・パルム賞を受賞しました。 2023年3月に亡くなった坂本龍一が音楽を担当していて、これが遺作だそうです。 長編アニメ『Monster』の実写版かと思っていたんですが、全く別物でした。 面白かったです。昔『おしん』を演じて日本中を泣かせた田中裕子の演技が凄いと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/08/29 07:17:31 PM
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