メスキータ展 東京ステーションギャラリー
オランダ生まれのユダヤ人版画家。最期はナチスに捕まりアウシュビッツ強制収容所で亡くなった。エッシャーの師匠でもあり、まとまった作品が日本で紹介されるのははじめてだという。私も実は初めて名前を知った(版)画家だった。まず、美術館のチラシやポスターの絵が衝撃的。黒と白の強烈なコントラスト。鋭い線。一瞬、引いてしまうような個性の強さで、展覧会に行こうか躊躇したほど。意を決して出かけてみれば、その迫力に圧倒された。木版画の白と黒の世界、そして単純な線のみで、見るものをぐんぐんと引き込んでいく。人間を描いたものは、ちょっと不思議感が漂う作品が多かった。じっと眺めていると画面の人物に話しかけられているような気がしてきた。反対に動物や植物の版画は、リアルであり、力強かった。後半、無意識に描いたドローイングの作品群があったが、幻想的な作風が面白かった。またひとり記憶に刻み付けられた作家が増えた。