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つまずく石も縁の端くれ

2006年09月02日
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カテゴリ:アート
大原美術館に行ったのはもう20年近く昔で、どんな絵を見た
か、記憶が定かではありません。そこで、めったに見ることの
できない大原美術館の名品の数々を楽しめる展覧会だなぁと、
お気楽に考えて出かけたのですが、さらにもっと深い意味があ
る展示コンセプトになっていて戸惑いました。事前に他の方々
のブログで研究していけばよかったと思いました。

副題にある東西名画の饗宴というのは、竹橋と大原そして、日
本と西洋の双方の東西を引っかけているというところまでは
簡単に分かるのですが、この展覧会全体で意図した目的~「現
代の楽園」とは何ぞやという所まではたどり着けませんでした。
思いのほか抽象絵画の作品が多かったこともありました。

まぁ、今回は大原所有の絵画が東京で見ることができて嬉しい
という単純な目標が達成できたことだけで良しとします。展覧
会全体を貫くコンセプトについては次回、また考えることにし
ます。

さて、大原でいちばん見たいと思っていたエルグレコの「受胎
告知」が、今回出展されないのが少々残念でしたが、セガンテ
ィーニの「アルプスの真昼」を見ることができてうれしい。今
年はBunkamuraのスイス・スピリッツ展で別バージョンを見
たので、2度もセガンティーのアルプスに出会えました。

アルプスの真昼.jpg

パレットで色を混ぜあわせない筆触分割の作品。一本一本の筆
致が畳の目のようだ。それでいて、絵の表面は変にデコボコで
はなく、プレスされたように平らに見えます。モデルの女性の
顔をよく見ると、口だけ明るい光が当たって、目は暗く不気味
なマスクをつけた人物のようにも思えます。アルプスの清浄な
光のシャワーを体感できます。

かぐわしき大地.jpg

ゴーギャンの「かぐわしき大地」。空飛ぶトカゲがいたりして、
鳥や動物の鳴き声など、ジャングルの音が聞こえてくるようで
す。トカゲがヘビ、花がりんごを現しており、楽園のイブを描
いたもの。大らかです。横に比較展示されている萬鉄五郎「裸
体美人」も同様。どちらも豊満な肉体なんだけれども、エロス
を感じられず、逆に生命力の強さを感じさせられます。

信仰の悲しみ.jpg

日本の絵画では、関根正二の「信仰の悲しみ」。美術の教科書で
見たときから印象に残る絵。関根の幻視体験から描いた絵とい
うこと。先頭の白い衣装の女性の強い意思を持った表情と中央
の何かに打ちひしがれたような赤い衣装の女性の表情の対比が
興味深い。教科書で見て以来、どんなドラマを想定して描いた
のかずっと気になっていた作品です。

深海の情景.jpg

お気に入りの古賀春江の「深海の情景」がありました。真っ暗
な深海に猫顔の女性の裸体像。古河の描くヴィーナスをやっと
見ることができました。

頭蓋骨を持つ自画像.jpg

エル・グレコは来ませんでしたが、自分としてはそれに匹敵す
る作品に出合えました。中村彝の「頭蓋骨を持てる自画像」で
す。ブリジストンにある自信溢れる自画像に比べ、窪んだ眼窩
にやせ細った弱々しい自画像。死の象徴である髑髏を抱えて、
迫り来る死を受容しつつ、その向こうを見つめていこうとする
ような意志を感じました。

10月15日までやっているので、再挑戦です。






最終更新日  2006年09月02日 08時38分40秒
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