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つまずく石も縁の端くれ

2007年05月12日
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カテゴリ:アート
鳥居清長の浮世絵がどうして江戸のヴィーナスと呼ばれるのか
疑問であったのですが、この展覧会で理由が分かりました。つ
まり、それまでの日本人の絵とは違って、すらっとした八頭身
の美人像を描き続けたところから、こう評されるようになった
のだそうです。

鳥居清長の絵は、このような特徴から欧米人に好まれ、多くが
海外に流出しているため、これだけの規模の作品が揃うのは、
とても貴重な機会であること。200枚近くの絵を見ているう
ちに、もうすっかり清長ワールドに嵌まってしまいました。

やはり、初期の小判の絵は、解説にあるとおり鈴木春信のスタ
イルに似ているのですが、大判になってからは、まさに独特の
世界を展開しています。特に2枚続き、3枚続きになると、「群
像の絵師」といわれるほど、多くの人物が伸びやかなスタイル
で描かれて、清長の面目躍如といった風情です。

(今年のテーマは浮世絵と決めて、見比べてきたせいか、
最近、それぞれの絵師の違いが、何となく分かるようになってき
たのが嬉しいです。)

 ただ、その群像図や長身の絵が、歌麿のより深い女性の感情を
表現した絵に破れて、引退していくという説にはうなずけるとこ
ろです。

 解説によると清長の特徴は次の3点だそうです。
1 すらりとした長身のスタイル
2 温和な品のある顔立ち
3 細部の質感にこだわった現実的な描写

確かに、その通りの絵がこれでもかとばかりに展示されてい
ます。また、清長は市井のあらゆる女性を描いているので、
遊女や町民、武家の子女の違いなどが、よく理解できました。

「女湯」の絵などは、きわどい・・!!です。

夜の送り.jpg

品川の遊女を描いた一連の「美南見十二候」シリーズも、当
時の品川は港町だったことが背景の湾や船の光景でよく分か
りました。「七月 夜の送り」は、暗闇の中ですれ違った女
を振り返る男の絵。この男を見送っている遊郭の女たちが、そ
の女に悋気の視線を投げかけるというドラマまでしっかり
描かれていて、楽しいです。

柱絵という細長い作品も魅力的でした。「藤下の女」も頭上
の藤の花が強い風にあおられ、おごそ頭巾の女の着物のたも
とから、見える白い足といった構図が艶かしいのです。身体
がすべて描かれているのではなく、部分的なのでよけいに想像
力をかき立てられます。この絵も摺りの色が良く残っていて、
特に背景の黄色の地が鮮やかでした。

籐下の女.jpg

小野小町、清少納言などの平安美人の絵も、魅力的でした。
長い髪に、清長には珍しく角ばった線で描かれた十二単も雅
でステキな絵でした。

後期も必見です。






最終更新日  2007年05月13日 11時36分36秒
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