カテゴリ:アート
鏑木清方に開眼した。 前期のブログにも書いたのだが、今まで、どうも清方の 描く女性像にピンとこなかった。特に昭和に入ってから の美人画の顔は、浮世絵のようにフォーカスのあった はっきりとした顔でなく、どうもうすぼんやりしている ように思えてならなかった。 ところが、今回、前期、後期とまとまった清方を見て いるうちに、このどこか儚げな顔の美しさに、夢中に なっているのに気がついた。頭の中で、ひとたび、 回路ができてしまうと、あとは次々と登場する美人画に うっとりするのみ。 そういえば高校のとき、音楽の教師が、分からないと 思ったレコードも我慢して5回聴くと好きになると 言ってたことを思い出した。 さて、清方は東京の神田佐久間町の生まれ。ここは、 私の祖父母が暮らしていた町だ。(実際に清方の 生家は佐久間町のどこだかは分からないので、 調べてみようと思っている。) 朝夕安居は、そんな佐久間町の明治のころの夏の光景を 描いたもの。後期は、水浴びする女性や、台の上で くつろぐ男たちの姿。 明治風俗十二カ月も関東大震災と第二次世界大戦で 東京の姿がまるで変わってしまう以前の光景。 草花の種類で十二カ月図をみるのもいいが、人々の 暮らしで眺めると、ほんと四季の移ろいがよく分かる。 佐久間町が震災では焼け残ったのは、近所のお稲荷 さんのおかげだと思っていたが、戦争では焼け野原に なってしまい、お稲荷さんの御利益は無かったと 祖母が語っていたことを思い出す。 そんなわけで今回のお気に入りは「神田祭」。白地の 着物に鳳凰の模様が鮮やかに映える。 参考作品として、多くの浮世絵が出展されている。北斎、 春信、栄之、清長など見応えあり。特に勝川春章の浮世絵。 重要文化財「婦女風俗十二カ月図」の4月は、贅沢に絵の 具を使った肉筆画。これだけでも見る価値大である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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私も清方が描く美人画はそれほど好きでは
ありませんでしたが『たけくらべ』の挿絵 を観てから好きになりました。 この人の美人画は、その「美人」の 物語を知るといいみたいですねぇ。 やっぱり東京の下町風情があって、 この美人画なんですよね。 いつだったか、人形作家の寿三郎さんが 「美人は風景だ」とおっしゃって いたことを思い出しました。 (2009年12月31日 18時47分25秒)
歌舞伎とか物語の登場人物をテーマにした
美人画は、その背景を知っているかどうかで まったく感じ方が異なるんですよね。 浮世絵を見ていてもそう思うことが多く、 そんな知識も身につけなくてはなぁと常々、 思っています。 (2010年01月01日 05時27分26秒)
こんばんは
随分昔から清方ファンなので、何を見てもどれを見てもドキドキするばかりで、賞賛しか挙げられません。 特に文芸性が活きる作品にはもぉ惚れ惚れと見蕩れるばかりです。 わたしは浮世絵から歌舞伎を見るようになりましたが、清方の描く物語や芝居絵はこちらも最初から好きなものばかりなので、勝手に相思相愛だとニコニコしています。 一村雨さんが開眼されて嬉しい限りです。 (2010年01月02日 18時31分43秒)
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