つまずく石も縁の端くれ

2011/01/30(日)22:06

運慶展  神奈川県立金沢文庫

アート(1026)

この展覧会の目玉は、2月8日から加わる真如苑の所蔵を含めて3体の大日如来像が並ぶということらしいが、真如苑と栃木の光徳寺のものは、東博で何度も出会っているので良しとする。今回は、円成寺の国宝の大日如来が来ることだけでもスゴイ。本来だったら、東博の阿修羅展並みのビッグイベントとなってもよさそうだと思うのだが。 奈良の円成寺は、交通の不便な場所にあるし、大日如来像は新しい多宝塔の中に安置されているが、何メートルか離れたガラス越しに見るので、光が反射して見にくい。横においてある反射防止のグラスを使用してガラス越しに眺めるのだが、今回の展示のように玉眼の黒目の周囲に彩られた朱色までは見ることができない。 運慶初期の力作だが、金箔のはがれたお顔は、痛々しくも感じる。両耳の金はきれいに金が残っているのだが、正面の顔は左目の周囲などが残っているだけ。後は漆黒の肌がのぞく。この全体的に針のあるもちもち感が運慶の特色であると思っている。 なかなか、創建当時の顔が想像できないのだが、カタログで真如苑の所蔵とものと比べて、当初のお顔はどんなものだったかと想像する。たぶん現在の雰囲気とはかなり異なって感じると思う。2月からは、実物と並べ比べることができそうだ。 愛知の滝山寺からは、三つ目の帝釈天が出展されている。近世の彩色がなされているが、なるほど着物の衣文のぎざぎざも、彩色することでこんなにリアリティあふれるものになっていたのかと大いに感心した。 伊豆の願成就寺には出かけたことがあるが、神奈川の浄楽寺の運景仏を見るのは、はじめてであり、不動明王、毘沙門天像など見ることができたのが大収穫。 帝釈天、不動明王など、それぞれ、杖や武器を持っているのだが、武術的にはちょっと不自然な持ち方であると感じた。 金沢文庫所蔵の大威徳明王もはじめて見るのだが、かなり小さいのには驚いた。ポスターには青い顔で、移っているが実際にはそんな感じではなった。また肉眼では、顔の表情までよく分からなかった。双眼鏡の類が必要であった。 とにかく、円成寺の大日如来を見るだけも出掛ける価値は十分にあると思う。

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