カテゴリ:アート
北脇昇という画家を知ったのは、この東京国立近代美術館で、今回 も展示されている「クォ・ヴァディス」を見た時です。 山高帽子によれよれの背広を着た男が、ズタ袋を背負って歩いてい く姿。足元には道しるべがあり、二手に分かれています。遠方に見 えるのは、一方は、赤旗を抱えて歩く隊列。もう一方は、暗雲立ち 込める街並み。たいとるの「クォバディス=どこへ行くのですか?」 の意味するとおり、ひょうひょうとした男はいったいどちらの道を 歩むのだろうかというドラマチックな絵です。戦後すぐの時代背景 を感じます。見る人に深く考えさせる絵としてとても印象に残りま した。 その後、戦時中、北脇昇がシュルリアリズムの絵を描いていること も知り、ずっと興味深くこの画家の絵を眺めてきていました。 その一端がこれも今回展示されている「空港」や「空の決別」です。 カエデの趣旨が飛行機に見立てられ、とくに後者は戦時中の戦闘機 撃墜事件をきっかけに描かれたとのことです。戦時中の不穏な雰囲 気が漂ってきます。 数学の定理や易学をモチーフにし、絵の中で森羅万象を表現しよう とした北脇昇は、51歳という若さで亡くなりましたが、その足跡を 辿る素敵な企画でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年02月19日 00時15分25秒
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