ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 国立西洋美術館
ピカソの作品およそ50点とクレーやマティスの作品を中心とした展覧会。ほとんどがキュビズム以降の作品で青の時代やバラ色の時代の作品はほとんどなかったのが残念だった。ピカソのキュビズム時代の静物画は、どうにもとらえどころがなくて好きになれないが、人物像はそうではない。逆に楽しい。「アヴィニョンの娘たち」の人物が、アフリカの仮面の影響を受けているいうことを知り、興味深かった。キュビズム時代の静物は好きになれないと書いたが、1919年の「窓辺の静物、サン=ラファエル」のリリシズムあふれる作品は素敵だった。青い空と海、ピンクの室内が清々しい。目玉の「緑色のマニュキュアをつけたドラ・マール」も面白かったが、今回のいちばんのお気に入りは、1918年の「ギターを持つアルルカン」だ。赤いカーテンの前に立つ緑と黄色の迷彩服のような衣装を着けたアルルカンが伝統的な手法で描かれている。ほとんどピカソらしからぬ名品だと思った。クレーの絵が30点余り展示されているが、これらもどうも暗めの作品が多く、ストンと胸に響かない。マティスのコーナーもあるが、切り紙作品にしろ、油絵にしろ中途半端な感じがしてならなかった。ジャコメッティのブロンズ像があった意味もよく分からなかった。今回は、地下3階は使用されておらず、あっという間に出口にたどり着いてしまった。これで入場料2,100円はちとお高いなと思った。