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N郎♪音汰。(楽天ブログ)

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N郎♪

N郎♪

2006/09/08
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渋谷についてはセンター街について書いたことがあり、他の場所も折を見て書こうと思っていた。が、まさか次に円山町を書くことになろうとは・・・・。

円山町といえば、ラブホテル街で、周辺1Km以内には約100軒ものラブホテルがひしめきあっているという。もともとこの街は大正時代から花街として栄え、粋な芸者の街であったのだが、花街産業の衰退とともに、古くからの料亭や芸妓置屋は数を減らし、現在のようなラブホテル街となった。

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三善英史の『円山・花町・母の町』、そして花街についての歴史はリンクしてあるサイトを参照いただきたい。

●関連リンク:渋谷文化 円山町の芸者・喜利家鈴子さんインタビュー
●関連リンク:三善英史と母「円山・花町・母の町」
●関連リンク:渋谷の考現学 円山町の光と影

佐野眞一のノンフィクション『東電OL殺人事件』によると、円山町が花街から連れ込み旅館街へ変貌する先鞭となったのは、奥飛騨のダム建設により、その補償金を受けて地域を離れてきた人たちだったという。

円山町を取り上げているのは他でもない、その小説にはまってしまったからだ。

1997年3月、円山町にある京王井の頭線・神泉駅前のアパートの一室で、一人の女性が殺された。被害者は30代後半で、東京電力の管理職であり、そしてまたこの円山町で数年間、「立ちんぼ」の売春を続けていた女性でもあった。メディアとプライバシーの問題、そして冤罪事件でも有名な、世に言う「東電OL殺人事件」のことだ。

事件をきっかけに彼女の日常生活が知られるにつれ、彼女が退社後に毎日終電まで活動の場としていたこの円山町は、都市伝説の舞台として、日本、そして世界に報道されることとなった。

一日に四人というノルマを自らに課したかのように、雨の日も風の日も、来る日も来る日も彼女が「立ちんぼ」をして客を探していたという道玄坂地蔵の前がここだ。

maru02.JPG

彼女は何故そんな生活を何年も続けていたのか・・・その謎は現代日本の病理の象徴として海外のメディアにも報道され、このお地蔵様は事件の象徴として紹介された。

小説を読んでいる間、そして読んだ後も、彼女のことが頭にあり続けた。何を思い、どんな気持ちでこの街を徘徊し続けたのか、それをどう解釈したらよいのか・・・あまりの深さに、人間というもの、そして「心の闇」というべきか、そんなことについてもう一度考え直さずにはいられなかった。

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小説を読んでから数回、この道玄坂地蔵前を訪れたのだが、来るたびに熱心にお祈りをする女性と居合わせた。円山町の守り神として地域の人々に親しまれているようであり、そしてお地蔵さまには今でも口紅がしてあった。

夜に来るのは今回はじめてだったが、ラブホテルのネオンが夜の街を鮮やかに装飾し、昼間とはまた違った顔をみせ、お祭りの夜店にでも来ているような気分になった。赤・青・ピンク・・・色取り取りのネオンの通りを歩いていると、なんだかほのぼのした気分になって、彼女が毎晩円山町に来ていた気持ちも少しだけわかったような気がした。

この街は彼女の「孤独」の舞台であり、そしてまた「癒し」の舞台であったのかもしれない。事件のこと、そして彼女の生きた軌跡を知るにつれ、一過性の事件の舞台から、深みある街へとその印象は変わっていった。


道玄坂地蔵を離れ、写真を撮るために路地を歩いていると、40代とおぼしきカップルとすれちがった。どういう関係かは定かではないが、男性も女性も大人で、どのホテルを選ぼうかと相談しながら、うれしそうな表情をしていたのが印象に残った。

カップルとすれ違った直後、誰もいなくなった通りの写真を写し終え、ふと振り返ってみると、そこにはもう二人の姿はなく、誰もいない路地だけが残されていた・・・・。

(この話、つづく)


●関連リンク:花信風No.97 『東電OL』をめぐって


●自ブログリンク:渋谷・センター街






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Last updated  2006/09/09 01:31:53 PM
コメント(8) | コメントを書く


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丸山町   ローズ薫 さん
こんばんは。。

今夜は小説を読んでいるみたい・・・
自分がこの場所に立っている、そんな場面が浮かびます。
決して「お兄さん遊んでいかない?」ではありませんよ。。笑

人も街も裏と表がありますからね。
そんな街の雰囲気が伝わります。。

写真の灯り・・・とても魅了的。 (2006/09/09 09:04:17 PM)

Re:渋谷・円山町(09/08)   CanCam的ナースのにちじょぅ さん
渋谷は買い物&カラオケのイメージしか
ありませんでした~
町にもいろんな顔がありますね~。
話には聞いてたけど
読んでいて、リアルにイメージできました^^; (2006/09/09 11:51:27 PM)

Re:丸山町(09/08)   N郎♪ さん
ローズ薫さんお世話さまです(笑)


>人も街も裏と表がありますからね。

うまい表現ですね(笑)確かに街って人の反映ですからそうなんでしょうね。

>写真の灯り・・・とても魅了的。

そうなんですよ。自分でも意表を突かれました。夜になって息を吹きかえすような、そんな街で、今回たまたま夜になってしまったんですが、逆に夜に行ってよかったって思いました。 (2006/09/10 02:50:24 AM)

Re[1]:渋谷・円山町(09/08)   N郎♪ さん
CanCam的ナースのにちじょぅさんこんばんわ

>渋谷は買い物&カラオケのイメージしか
>ありませんでした~
>町にもいろんな顔がありますね~。

俺も円山町のことは全然知らなくて、渋谷といえば道玄坂が有名だとばっかり思ってたんですが、道玄坂の百軒店方面から入って、道玄坂ラブホテル街のその更に奥に、円山町の一体があるって知った時はちょっとびっくりしました。初めて行った時は迷路のようで、道玄坂地蔵を見つけるのにちょっと手間取りました。東急百貨店本店側から入っていけばそうでもないんでしょうが、ここは不思議な一帯ですね。 (2006/09/10 02:59:28 AM)

渋谷にこんなところが   mocota さん
あったんですか。。。凄く賑やかなイメージしかなかった。それにラブホ街っていったら凄く煌びやかな先入観があるけど、こういうところもあったんですね。N郎♪さんも書かれていた、
>>彼女にとってここが「孤独」の舞台であり、そしてまた「癒し」の舞台<<
って、わかる気がします。彼女の深層心理まで深く入り込んで、しかもN郎♪さんの撮られた写真付きで、記事を読んでいると、、、
『東電OL殺人事件』
の本とは別に、N郎♪さん著者の、『東電OL殺人事件』の解読本がブログで仕上がりそうですね。続き、わくわくしてます。このようなDeepな記事もまた良いですね~それに秋口に入る今の時期には丁度良い記事かもしれません。なんとなく雰囲気が合っているような感じが。 (2006/09/11 02:26:41 AM)

Re:渋谷・円山町(09/08)   haruharu318 さん
N朗さん、ついにこのテーマ書かれたんですね。
おめでとうございます。っていうのも変でしょうか。

思い入れがあるテーマは軽い気持ちではなかなか書けないので、じっくり腰をすえる余裕が必要ですし、書き終えたら、達成感と充実感がすごいでしょうね。

全体的に引込まれました。画像といい、文体といい、プロの作品のようでした。

彼女は、簡単に推し量ることはできませんが、渋谷にたつことで、バランスをとっていたのでしょうね。

渋谷ってこういうの多いですよね。昔、渋谷で今の夫を待っているときに、水商売とまちがえられて、声をかけられたことがありました。円山町ではなかったけれど、夜の渋谷は新宿よりもこわいです。 (2006/09/11 06:22:40 PM)

Re:渋谷にこんなところが(09/08)   N郎♪ さん
mocotaちゃんこんばんわ

>『東電OL殺人事件』の本とは別に、
>N郎♪さん著者の、『東電OL殺人事件』の解読本

これね~、本当難解なのよ。いろいろな説があったようだけれど本当のところは・・・・本人じゃなきゃわからないだろうし、本人も自分のことをどれだけわかっていたのか・・・。例えば自分のことを振り返ってみて、なんらかの行動をしたとする場合、その行動を何故するのかと問われれば、それなりの答えは言うんだろうけれど、でも本当にそうなのか?とか、それだけではなく他にも動機があるんじゃないかとか、深層心理ではもっと根源的な理由が隠れてるんじゃないかとか・・・人の行動の根拠を説明付けるって一見単純なようで、要因が複雑に絡み合っているからとても難しいことだと思うんだよね。逆にだから多くの人が彼女にひき付けられるんだと思う。その謎に対して。結局残された者は勝手に想像してうんちくをたれるしかないんだよね。

ただ一つ言えることは、きっと女性のほうが彼女の気持ちに近づけるんじゃないかってこと。男性は彼女に対して性別を問わない部分では共感できる部分があるとしても、女性にしかわからないことを想像し確信を持つって無理だと思うんです。難しいよ~。 (2006/09/12 02:21:45 AM)

Re[1]:渋谷・円山町(09/08)   N郎♪ さん
haruちゃんこんばんわ

>思い入れがあるテーマは軽い気持ちではなかなか
>書けないので、じっくり腰をすえる余裕が必要
>ですし、書き終えたら、達成感と充実感がすごい
>でしょうね。

そういうこともあるんでしょうけれど、この事件に関しては底知れぬ闇がさらに深まっていくという感じだと思います。まるで後味の悪い事件を解決した金田一耕助のようなことを言っていますが、現実の世界というのは必ずしもハッピーエンドが来るわけではなく、むしろ理不尽なことがより理不尽となって朽ち果てるとか、マジレンジャーのようには行かないんですよ。でも、それでも人って生きていかなきゃならないから、彼女の生きた軌跡からきっと何かしらを感じ取りたいって思うんでしょうね。

>彼女は、簡単に推し量ることはできませんが、
>渋谷にたつことで、バランスをとっていたのでしょうね。

それはあると思います。他者のプライバシーを詮索することは気が引けますが、佐野さんが彼女のことを肉親と思えるって書いていたように、まるで彼女が自分の兄弟でもあるかのように、どんな気持ちでいたんだろうって考えざるおえず、職場と家と円山町を中心とした売春生活とその3つでバランスが取れていたっていうのは、アンバランスな中でのバランスという意味で、当たっていると思います。 (2006/09/12 02:39:40 AM)

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