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PENTAX MZ-3


  

     PENTAX MZ-3(Sv)

 
 (MZ-3 + FA35mmF2)
 
勝手にインプレッション
 
何を隠そう、大学で初めて初代EOS Kissを手にして以来、ずっと筋金入りのキヤノン党で通してきたエンゾーが、はじめて浮気したのがこのカメラである。

当時、大型液晶によるモード表示とボタンオペレーションが全盛期を迎える中、ペンタックスから突如発表されたMZ-5は、時代に逆行するかのようにシンプルなダイヤル式の操作系を提案して、オールドカメラファンはもちろん、うるさがたの評論家からも一定の支持を得た。
こういった試みは、ハイパーマニュアル機能を備えたフラッグシップ機・Z-1が、一般ユーザーに理解してもらえず、商業的に失敗した事と無関係ではあるまい。ツートンカラーはZ-1やZ-5ではデザインが特異すぎて板に付いていなかったが、MZ-5では不思議と良く似合った。
これに気を良くしたペンタックスは、ファンの声をもとにダイヤルの背を高くして使い勝手の向上を図り、プレビュー機能を加え、さらにシャッタースピードも1/4000まで切れるようにして、MZ-5の上位機種としてラインナップに加えた。これが、MZ-3である。

すでに贅沢な機能を満載したEOS5をメインで使っていたエンゾーにとって、MZ-3のスペックそのものは、特に何の感慨も呼び起こさない平凡なものだった。しかし、古き良き一眼レフのフォルムを髣髴とさせる、いかにもカメラ然としたシンプルでレトロなデザインと、それを引き立てるシルバーと黒のツートンカラーに、エンゾーは一目惚れしてしまった。
最初のうちは、必要のないものを欲しがっている自分の後ろめたさを払拭する為、カメラ屋さんで実機を触ってAFのトロさや精度の悪さを体感し、傷だらけになったシルバーボディを見て「いずれはこうなる運命なんだよな」と自らを納得させていた。

しかしそんな時、ペンタックスから新たに発売されたレンズ「FA24-90mmF3.5-4.5」が、某有名レンズ書評できわめて高い評価を得ていたのをきっかけに、エンゾーの中で何かが崩れ落ちた。こうなるともうダメで、猫まっしぐら。ボディはオークションで、レンズは新品で、一気に買い揃えてしまった。まあ、ようは口実を探していたわけである。

 
 (PENTAX MZ-3 + FA43mm F1.9 Limted。デザイン的に、最高に良く合う。)


さて、待望のMZ-3を手にしてみると、これが予想に反して使いやすい。2ダイヤル式のシンプルでアナログな操作系は、慣れれば直感的で分かりやすく、小型軽量なボディはエンゾーの小さな手にもしっくりと馴染んだ。
また、ペンタックスレンズの性能の高さは、それまでキヤノンしか知らなかった僕にとって目からうろこであった。勝手に「キヤノン最高!」と思い込んでいたので、逆光などの悪条件にめっぽう強いペンタのFAレンズを使い始めて、その描写性能の高さに驚き、自らの不明を恥じた。


しかし、もっともありがたかったのは、実は「システムとしてのコンパクトさ」である。ズームで横着せず、気合で単焦点レンズを数本携行したいときに、ペンタックスのシステムは、実に小さくまとめる事が出来た。キヤノンで同じ明るさのレンズを揃えようと思ったら、二回りは大きなバッグを用意しなければならない。

そういうわけで、MZ-3をメインに使い始めてから、常にカメラを携行することへのストレスが劇的に減った。写真を撮る者にとって、これは何ものにも代えがたいアドバンテージであり、立派な性能の一つだと言える。いつの間にか、AFの弱さやスペックの物足りなさなどは気にならなくなり、反対に何台も持っているEOSの出番がめっきり減ってしまった・・・。

上位機種のMZ-Sを買った今でも、全く愛着が衰えない、小さくて頼りになる相棒である。

MZ-3ダイアル
(左が露出補正、右がシャッタースピードのダイアル。とってもシンプル)

ちなみに余談だが、ペンタックスの発売しているストラップは、どれもかなりお洒落である。現在、お気に入りのカメラにはすべて、ペンタックスのストラップを付けている。
また、MZ-3は本来スクリーンの交換は出来ないことになっているが、スクリーンの型番がZ-1のものと一緒であるため、実は互換性がある。エンゾーのMZ-3には、Z-1用の方眼マットスクリーンが入れられている。構図を決める時に、とても便利である。すでに絶版アイテムで店頭には置いていないが、もしどこかで見つけたら、MZ-3ユーザーは絶対に確保しておきたいアイテムである。

【2006.3.31加筆】
日本カメラ博物館で、ペンタックス展「独創技術の玉手箱」が開催され、ついに陽の目を見なかった「幻の名機」たちが一堂に会した。本来ならMZ-3の兄貴分になるはずだった、そしてペンタックスファンが切望してやまなかったフラッグシップ機「MZ-1」のモックアップも展示された。

   

当時、趨勢は既にデジタルへと静かに傾き始めていたが、MZ-3以降、ペンタックスはしばらくMZ-Sを出したり*istを出したりと迷走を始めることになる。もはやかなわぬ夢とはいえ、名機LXの正統な後継機を見たかった気はする。


長所

○とにかくボディもレンズも、数値以上に軽くて小さい。携帯性抜群!!
○FAレンズ群は極めて高性能。過酷な条件下でも、全幅の信頼が置ける。
○中級AF一眼の中で、ピントの山の見易さではかなりいい線行っているファインダー。
○デザインがすばらしい。MZ-3だけはシルバーが似合う。

短所

●これでボディが金属だったら。それは言うまい。
●シャッターの音が大きくて、しかも歯切れが悪い・・・
●EOS Kissにも負けるAF性能。動体?ムリムリ。
●シルバーの塗装は美しいが、傷が付きやすい。

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超個人的オススメ度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆

偏愛度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆

Yahooオークション出現率(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
*なぜか黒の方が良く出てくる。

 
 
 
 



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