カメラ道楽なんぞをやっていると、つくづく思うのだけれど、技術は
常に進歩している訳ではない。
何かが進歩するのと引き換えに、何かが失われていく。そんなものだ。
何でも電子制御で出来るようになってしまった結果、昔のメカニカルな
機械を作れる人は死滅しつつある。30年前なら誰でもやれた事が、
今はもう出来ない。
技能オリンピックと言うものがある。工業技術を競うもので、各国から
腕に自信のある技術者達が集い、決められた課題を時間内にいかに
正確にこなせるかを競う。
かつてこの技能オリンピックで、日本はあらゆるジャンルで金メダルを
独占していた。翻って現在、日本はほとんどメダルが取れない。
それに代わって躍進目覚しいのが韓国で、いまや上位はほとんどが
韓国と中国の代表で占められている。
この現状の一番大きな原因は、町工場の減少にある。
日本の技術力の底辺を支えたのは、優秀な技術力を持っていた、一介の
町工場の職人達であった。
労働力を海外に求めるのが常識となっている現代、彼らの存在意義は
風前の灯となっている。技術立国日本は、既に遠い日の花火である。
かつてバブル華やかなりし頃、12万円もしたカメラが、13年経った
今、2万円台後半で投売りされている。しかしその写りは、最新型の
カメラに勝るとも劣らない、素晴らしいものだ。多少不便な点が
なくはないが、使い方次第でカバーできる範囲だ。
前にも書いたが、便利すぎるとつまらない。それより、過去の遺産の
なかで失われつつあるものに、もっと目を向けたいものだ。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう