今月の写真誌は、両巨頭(アサヒカメラ・日本カメラ)ともかなり
有益な情報が詰まっていて、読み応えがあった。立ち読み派のエンゾーが、
珍しく両方とも買ってしまった(^_^;
特にアサカメに寄せられた、赤瀬川源平氏のコラム「デジカメと首領様」は
必見である。やっぱりこの人は凄い。
以下、抜粋。
『・・・ぼくは「自由な表現」といういまの世の甘い言葉を信用しない。
デジカメの機能は逐一自分の意志に寄り添うことになっているけれど、
そもそも自分なんてそうはすっきりしたものではない。・・・むしろ明快な
単機能的な道具に自分の方から近づいて、自分で使い方を体得した方が
人間の生理に適う。
・・・デジカメからパソコンに広がる世界では、邪魔な電柱も消せるし、
美女の鼻も一段と高くできる、極端に言って。つまりすべてを自分の
都合で進んだ結果は、周囲を自分の壁に取り囲まれる。周囲をすべて
自分のイエスマンで包み込まれた首領様状態。・・・そこがフィルムカメラと
パソコンカメラのいちばん違うところではないか。』
赤瀬川氏は今時珍しいアナログ派で、デジカメはおろかパソコンすら
使わない。意地悪な見方をすれば「食わず嫌いの屁理屈」と言うことも
出来なくはないのだけれど、そうは切り捨てられない一片の真理が、
氏の言葉には含まれている。
実際、赤瀬川氏以外のカメラマンからも、デジカメに関して「便利すぎる」
「緊張感の欠如」「必殺入魂の気持ちがなおざりに」などという
声が出ている。これらを総括して、岩田一平氏が非常にうまいことを
言っているので、これも抜粋しておく。
「・・・目は(思い通りにならない銀塩カメラという)ライバルを
失うことで、鍛えられなくなる。かつて瞬間を切り取るために駆使して
いた五感や筋肉は、あまりに簡便な装置の登場で、使われなくなるために
衰える、医学用語でいうところの廃用性萎縮を起こすのではないか・・・」
この日記でも何度も書いたけれど、やはり便利すぎる事はつまらない。
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