私が間違っておりました。

2006/05/02(火)18:48

間違い探し

その他(457)

さてさて皆さん、まずは下の画像をご覧下さい。 はい、あまりにも有名なこの作品、紀元前100年にロードスの彫刻家アゲサンドロス・ポリュドロス・アテノドロスの手で作られた「ラオコーン像」です(^-^)。ラオコーンと言えば、ギリシャ神話に登場するトロイアの神官で、トロイに運び込まれようとした木馬を計略ではないかと疑い、歓迎する市民をいさめたことからアテナの怒りを買って、自分は目を潰され、2匹の大蛇によって息子まで殺されてしまう悲運の人です。美術の教科書でしかお目にかかったことのない大理石の大作を、ヴァチカンで目の当たりにすることが出来て感動しました(T-T)   しかし… エンゾー、はたと気づきました。どうもこれ、自分の記憶にあるものと若干造形が違うような気がしたのです。確か教科書では、蛇に巻きつかれたラオコーンは右手を高く掲げ、蛇をつかんで引き剥がそうとしていたような…(-"-;)?   実はこれ、割と最近までそうだったんです。ラオコーン像がトラヤヌス朝の公衆浴場跡の地中から発見された1506年当時、右腕はまだ発見されていませんでした。修復を担当した人は、たぶん右腕は曲がっているはずだとふんだのですが、その他大勢の意見で、力強く大蛇に抵抗する様を表現するべく、天に向かって突き上げられた形に「恣意的に」修復されました。 美術の教科書に載っていたのはこちらの方で、その姿のレプリカは、今もフィレンツェのウフィッツィ美術館に展示してあります。   ところが後世になって正体不明の右腕が発掘され、やがてそれが「ラオコーンの右腕ではないか」と判明し、くっつけてみたらピッタリ一致。以後、今の姿に復元されたと言うわけです。歴史や考古学の常識というのは、常に変遷しているのですね~(^_^;自分の生きている間に、ちょっとした歴史の書き換えを目撃できて、なんだかわくわくしました。

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