以前一度だけブログで取り上げた記憶がありますが、エンゾーは重症の立ち読み患者、別名「立ち読ミスト」です。基本、中身を知らないで買うということが出来ない人なので、どうしても読んでしまいます。
ちなみに、立ち読みに時間を割いている書籍の種別を見てみると、「内容が軽いものほど長い」という現象が起こっていることに気づきました。
立ち読み時間比較
コミック >>>>> 情報雑誌 >> 文庫本
買う回数が多い順番は次の通り。
情報雑誌 >> 文庫本 >>>>>>>>> コミック
文庫本はアマゾンの書評などを読んでネットで購入を決めたりするので、そもそも立ち読み時間が発生しないことの方が多いです。情報誌はチラ見してから買い、ガッツリ読んでも買わないのがコミックということになります。はい、これでエンゾーにヒットマンを放つのは漫画関係者に決定。
コンテンツビジネスをする人にとっては天敵のような男ですが、そんなエンゾーが、実に数年ぶりに買ってしまった隔週刊のコミック誌が、講談社の「イブニング」です。
講談社は大人向けの「モーニング」とコアな漫画ファン向けの「アフタヌーン」という手堅い路線のコミック誌を展開していますが、第三のバリエーションとして創刊されたのが「イブニング」で、アフタヌーンもしくはモーニングからの移籍組がメインの執筆者になっています。最近で言えば、ディティールの正確さで格闘技好きにはたまらない「オールラウンダー廻(メグル)」や、安定した人気を誇る交渉人サスペンス「勇午」あたりが読者を牽引しています。
しかしエンゾーがイブニングを買ってしまった理由は、その「廻」でも「勇午」でもなく、今週号からの新連載で表紙にもなっている「のりりん」に衝撃を受けたからでした。
のりりん。へんなタイトルですね。のりりんっていう子の名前か?それにも増して題字のデザインが頂けない。もう、軟弱なオタク系漫画の臭いがプンプン漂ってきます。
・・・そこだけ見たら、なんですけど。
平たく言ってしまうと、最近流行の「自転車もの」。ちょっと世の中を斜めから見ている冷めた感じの若い男が、暑苦しいロードバイクの世界にハマッていく過程を描いた漫画です(・・・の、はず(;^_^A。まだ第一回なので展開がわかりませんが)
何に衝撃を受けたかと言うと、主人公がある人物からロードに乗ることを勧められたときに口にする、それを拒否する台詞です。
『(前略)・・・すみません、はっきり言います。俺、自転車乗ってるヤツが嫌いなんです。とにかく気持ち悪いと言うか。そのナルシストっぽいところがイヤだし、日常の中で汗臭い感じがイヤだし、スポーツだか移動手段だかはっきりしないのもイヤだし、非日常を無理矢理日常の中に持ち込んでいる、そのガキっぽさがイヤだし、マゾだかサドだかはっきりしないところもイヤだし、なんだか妄信的で自分たちこそ最高みたいな感じもイヤだし、興味のない人間に強引に勧めようとするのもイヤだし』
えらい言われようですよね、自転車乗りって( ̄▽ ̄;)。
でもね、コレを読んだ瞬間、何か解ったような気がしたんです。ああ、コレはきっと、作者がロードに乗り始める前に感じていた事そのまんまなんだろうな、と。なぜなら、ほんの数年前まで、ほぼ同じようなことをエンゾーも思っていたから。ただ、そのころ感じていた心の中のわだかまりをここまで的確かつ解りやすく解説(?)されたことに、そして同じように感じている人が、他にもいたんだということに、尋常でない驚きを感じたのでした。
正確に言うと、今でも似たようなことは考えています。どんなに仲の良い相手とでも、人と長時間つるむのが非常に苦手なエンゾーにとって、集団で走行会とかは逆立ちしても無理ですし、楽しめずに気疲れしてしまうのが関の山。
上から下までビシッとヘルメット・レーシングジャージ・レーパンで固めるのも未だに抵抗があります。ローディーに対するアレルギーはとりあえず沈静化したけど、まだ皮膚の下にはその感覚が残っている。
そんなエンゾーの数年前の姿をそのまま描き起こしたみたいな主人公が、はたしてこの先、どのように変っていくのか。久しぶりに、先の見えない展開にドキドキする自転車漫画が現れました。
ちなみにタイトルの「のりりん」とは、ヒロインが主人公にロードバイクを勧める時の「乗ってごらんよ」という意味の言葉で、作者は博多弁のつもりのようですが、そんな博多弁ねーから~ヽ( ̄Д ̄*)チッ。