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孤独(1994)

孤独(1994)

ソファーに寝転がっている。
疲れきって、やせ細った体を横たえている。
ソファーは使い古され、クッションは酷く悪く、背中を骨組みで傷めつけられる。
苦にはならない。
疲れだけが心を支配している。
目に見える景色はいつもと同じ。
暗く雑然とし、ファンの音だけが低く響いている暗い部屋。
つもり積もった本の山。
ヤニくさい壁は元の色彩を失い、より一層暗さに拍車をかける。
灰皿から紫煙が細く立ち上っている。
カーテンのすき間から差し込む日の光が、紫煙を明るく照らし出し、飽きない模様を描く。
もうどのくらい人に会っていないのだろう。
このまま気が狂うまでここに篭っているのだろうか。
孤独は好きだが、人恋しい日もある。
文字だけの会話で唯一外界と接触しているのが不満なのでは無い。
ただ、自分の存在を肯定する存在がほしいのだ。
俺は生きていると言ってほしいのだ。
いや、こういう日は酒を飲んですべてを忘れたほうが良い。
今日はもう疲れた。
闇が来る前に逃げなければ。



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