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青春満開 気障太郎

永遠の終わりの始まり レディマイ


永遠の終わりの始まり
~なにもかもがすてき~




私、カノンノ。

私ね、この世界が大好き。

でも、私には思い出がないの。
記憶はないけれど、毎日が新鮮で楽しいと思える。
それって、とても素敵なことよ。
優しい人たちと出会えて、毎日がとても楽しいの。

…それでも、時々不安な時もあるけれど。
でも、側にいつもいてくれる貴方がいるから…いつの間にか、怖くなくなった。


いつの間にか、ガヴァダっていう所まで旅してたの。
アイリリーを開放してから随分と時間は経ったけれど、それでも私の記憶は戻らないまま。
ただ、胸騒ぎがするからこの街…ガヴァダには居たくなかった。
アウロラって言う名前も、怖くて聞きたくなかった。
だから、無理を言ってアイリリーに久しぶりに戻らせて貰ったの。
もちろん、あの人も一緒に。

あの人の名前は凪。
私と同じ記憶喪失で、世界樹の元で導かれる様にして出会ったんだ。
初めて会った時から、凪は私を守ってくれた。
それだけなら、一緒に旅なんてしなかったかもしれないけど。
同じ境遇だから親近感があったのかもしれないし、他にも理由があったのかもしれない。
でも、一番は、側に居て心地が良かったから。


まず始めに、一番私のことを心配してそうな人がいそうな宿屋さんに向かった。
凪とは今は少し別行動。
モルモも凪と一緒じゃないかな。
「…お?おー…なんだ、久しぶりじゃないか、カノンノ。いつ戻ってきたんだ?」
宿屋でいつもご飯を食べているこの人はリッド。
空を眺めるのと食べる事が趣味で、今も山盛りのオムライスと格闘中。どっちかって言うとマイペースな人かな。
「あ、久しぶりね、リッド。元気に…。」
してた?
そう続けたかったんだけどな。
見れば解るんだけどね、リッドが元気だったこと。
「…なにっ、カノンノだって!?カノンノって言っただろう、リッド!カノンノがどうし…っ、カノンノ!!」
私がリッドに挨拶をしようと思ったら割り込んで来たのは、チェスター。こんなに名前を呼ばれると少し恥ずかしいかな…。
チェスターは私のことを妹みたいに可愛がってくれて、ここにいる間は随分とお世話になった人。とてもよく面倒を見てくれたんだけど…なんて言うか、少しだけそれはお節介だったりもして。
嬉しかったんだけど、彼の妹に重ねられるのは少しだけ辛かったから。
「久しぶりね、チェスターも。元気にして…。」
「カノンノ!どこまで行ってたんだ?大変なことはなかったか?ちゃんと食事はとってるんだろうな?疲れてないか?それから、それから…。」
…あーあ、また始まっちゃった。
小さく心の中で溜め息を吐いちゃったけど、チェスターのことは嫌いじゃないの。
「大丈夫よ、食事も睡眠もちゃんととってるわ。凪も一緒に居てくれるから心配もないし…チェスターこそ無理なんてしたりしてないかなって心配してたくらいよ。元気だった?」
チェスターの前に立ちながら首を傾げて見せると、不意に店内に風が巻き起こる。
「わっ…。」
「やっほ~☆…って、あれあれ~?カノンノじゃん!なーんだ、こっち来てたなら言ってくれれば良かったのにさ。」
「あ、アーチェ。これから挨拶に行こうと思ってたんだ。アーチェも元気そうで良かった。」
ホウキに跨がって宙に浮いたまま話をしているのはアーチェ。
きっとチェスターに会いに来たんだろうな、二人は仲良しだもの。少しだけ、行き違ってる所もあるみたいだけど。
「アーチェ…お前なぁ、折角の再会の場面を邪魔してんじゃねーよ!それに、宿の中でまでホウキにのるな!」
「べっつにいいじゃ~ん。ホウキ禁止とか書いてないし。っていうか、カノンノだってあんたみたいな過保護なお兄ちゃんはお断りよね~?」
話を振られて私は少しだけ困った様に苦笑いみたいな表情になっちゃった。
チェスターは悪い人じゃないし、むしろ凄くいい人なんだけど…少しアーチェの言う通りだったから。
「変な言い掛かりつけるんじゃねぇよ、カノンノが困ってるだろう。」
「むっかー!チェスターにだけは言われたくないんだけど。いっつも世話焼き過ぎのお兄ちゃんでカノンノのこと困らせてたのは誰かしらね~?」
「なにっ、そんな奴が居たのか!カノンノ、変な奴に構われたらまず逐一俺のところに言いにこいよ、いいな。」
真面目な顔で言ってくるものだから、その覇気に押されて頷くしかなくなる。
チェスターって、本当にいい人なんだけどな。
リッドはそんな騒ぎも気にしないで、黙々と大盛りのオムライスを食べて、更におかわりまでしてた。

なんとかチェスターが名残惜しそうにするのをアーチェに手伝って貰いながら振りほどくと、広場に行った。
街の人も活気を取り戻してるし、イイ感じ。
「あ、カノンノじゃない。どうしたの?今はガヴァダに居るんじゃなかったっけ。」
広場を歩いているとジーニアスに声をかけられた。側には幼馴染みだっていうロイドとリフィルさんも居る。
ジーニアスは歳の割に…って言うと怒られちゃうけど、とにかく頭がよくて少し考え方もませてる人。
「うん、ガヴァダに居たんだけど…みんな、元気かなって思って少し戻ってきたの。凪も一緒に来てくれたから。」
「よっ、カノンノ。こっちはみんな元気にしてるぜ?」
ジーニアスの後ろからこっちに駆け寄ってきたのはロイド。二刀流っていう珍しい武器の使い方をしてて、性格は猪突猛進…で、飽きっぽいのが問題だって言われてたのを聞いたことがある。
「そうそう、あれから村の人も元気だしさ、これもカノンノと凪のお陰だぜ。」
「そんなことないよ、凪はそうだけど…私なんてあの時、捕まってたくらいなんだから。」
アイリリーを開放した時のことを思い出して、ロイドが折角褒めてくれたのに首を振りながら否定しちゃった。
あの時も凪がいなかったら、どうなってたのかわからないから。
「まぁ、それでも無事にアイリリーは開放出来たのだし、貴方はちゃんと敵の尻尾を捕まえていたのだから結果的には良かったのではなくて?」
リフィルさんはみんなに勉強を教えているだけあって、すごく頭のいい人。こんな風になれたら格好いいなって思える人かな。
ジーニアスと姉弟なんだけど、二人とも頭がいいなんてちょっと羨ましいな。でも、リフィルさんの料理の腕はジーニアスには似なかったみたい。似なくて良かったんだけどね。
「そうだよ、カノンノがいなかったらまだアイリリー開放なんて出来なかったかも知れないんだし。味方を敵だって早合点しちゃうロイドよりよっぽど役に立ってるよ。」
「あっ、それはもう言わない約束だろ!クラトスにだって散々言われたんだからな…まったく、しつこい奴だなー。」
「ロイドが忘れっぽい分、僕が覚えてあげてるだけでしょ?」
二人の話って面白いんだ。幼馴染みだからなのかな、リフィルさんとの関係とは違うけど兄弟みたい。
「ほらほら、二人とも。そんなことを言ってる暇があったら請け負っている仕事のことか勉強でもしたらどう?最近どうもたるんでいるようね。」
リフィルさんを振り返ると、ちょっと怖い顔で立ってるものだから思わず私まで後退りしそうになっちゃった。
「ね、姉さん。ほら、これから仕事の話しようと思ってたんだよ!ね、ロイド?」
「え、そんな約束…あー、いや、そうだったそうだった!ちゃんと仕事しないとな!」
ジーニアスに目配せされたロイドがこくこくと頷いて誤魔化した。
「ロイドの場合は仕事だけではなくて勉強の方にも力を入れるべきだと思うのだけれど?」
「今は忙しいんだって!また仕事が終わったらやるからそれまで宿題は待ってくれよな、先生。」
「宿題の期日は決まっていますからね。いくら仕事でも変更はなくてよ。」
ロイドのお願いのポーズもリフィルさんには効かなかったみたいね。ジーニアスがそんなロイドの肩に手を置いて慰めてる。
いいな、幼馴染みって楽しそう。
私にも居たのかな、幼馴染み。

それから、ロイドとジーニアスは二人で仕事の話があるって言うから私はリフィルさんと一緒にギルドに行った。
凪もそこに居るって言ってたから、クラトスさんとお話でもしてるんじゃないかな。
クラトスさんもとってもいい人よ。ただ、口数が少ないし始めは少しとっつきにくいかもしれないけど。それでも、ロイドたちが無茶しない様にいつも気にしてくれてるし、優しい人。
凪がギルドに行くことが多いのは、仕事の依頼もあるんだろうけど、やっぱりクラトスさんとお話したいからじゃないかな。
「あ、やっぱりここだったんだ、凪。モルモもここに居たんだね。それに、クラトスさんも。」
「…カノンノか。元気にしていたか?」
「はい、凪と一緒にいろんなところに行ってきました。クラトスさんは…忙しいみたいですね。」
凪とクラトスさんが話をしているのに近付くと、依頼の書類が束になっているのが見えた。
「お前が居なくなってからアドリビトムもよりいい人材を探さなくてはいけなくなったからな…少し、忙しいか。」
「ごめんなさい、私もずっとアイリリーに居られたら良かったんだけど…。」
「いや、責めるつもりなど毛頭ない。お前には大切なことがあるのだろう?」
クラトスさんに言われて、ホッとしながら頷いた。
「それに、お前たちの評判はよく聞いているからな…たまに、こうして来た時にでも手伝ってくれればいい。」
「はい!あ、それじゃあ…今日は何か急ぎのお仕事はありますか?」
首を傾げながら問い掛けると私の後ろに立って居たリフィルさんを示された。依頼の受け付けはリフィルさんだものね。
「凪、少しくらいお手伝いしていってもいいよね?」
クラトスさんと向かい合っていた凪に聞くと、微笑みながら頷いてくれた。


どんなことがあっても、私は私だって言ってくれる人がいる。
私は幸せ者だよね。
アイリリー以外にも、沢山。
沢山の人たちとの思い出が出来たから。
もう、記憶がないのなんてこわくないんだ、多分。
ただ、記憶がないのに怖いと思う事があるけれど。
きっと…きっと、凪と一緒なら大丈夫だから。

私、カノンノ。

私も貴方の思い出になれるかな。

思い出は、私の宝物だから。



―・―・―・―・―・―・―・―
言い訳みたいな後書きだったり。

今更ですが、これはカプものなのかが謎です(苦笑
一応カノンノは主人公(凪)のことが好きなような気はしないでもないのですが。

ガヴァダまで行った時点の時間軸でアイリリーに戻る暇があるかは本編的には微妙ですが、私にとってはアイリリーがホームでしたから(笑
一応アイリリーアドリビトム全員集合かと。
…これで忘れてるキャラとか居たら泣けますよね(おろおろ
リッドなんてチェスターのせいで一言しか出番がありませんが(笑
こんなチェスターを書くのは正直切なかったのですが、これでやっとこの妹病のチェスターに踏ん切りがついた気もします(苦笑
正直、色々批判も多い妹病のチェスターには私もこっそり不満があったので…

ちなみに、凪こと私の主人公がアイリリーのギルドに居座るのはいつものことです(照
それにしても、カノンノが仲間に入らないのは何故でしょうかね。
使ってみたかったんだけどなぁ。
ちなみに、カノンノ自身は特に好き嫌いなく受け入れられたキャラでした。

クラトスの出番がもっと欲しかったのは言うまでもありませんが(笑
凪の口調とかを決めていなかったのでこんな感じになりましたとさ。
ちなみに、モルモも中途半端だったので会話なしになりました(苦笑

とにかく…やっぱりアイリリーですよねーv(出た

しかも、カノンノの口調までもが微妙だったのでこの一人称小説(適当に命名)は読みにくくはないか心配です。
サモ3のマルルゥの時みたいにはいきませんねぇ(苦笑

2007/2/20


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