仏教を知るお奨め本(5)(Posted on 06/04/2009 by Ito)
(5)密教理解のために 密教 空海と密教 密教・コスモスとマンダラ松長有慶著 頼富本宏著 松長有慶著岩波新書 PHP新書 NHKブックス『空海 般若心経の秘密を読み解く』本書は、弘法大師空海、最晩年の著作『般若心経秘鍵』の解説書です。拙僧がこれまで理解してきた顕教的な般若心経の表面的な解釈とは異なる密教的な般若心経の世界を垣間見ることができました。『般若心経秘鍵』は、般若心経そのままの解説ではなく、空海が般若心経を密教的に解釈したものです。原文は漢文ですが、読み下し文は、我が国文学、哲学、宗教史上に輝く素晴らしい名文です。本書では、これに用語訳と大意が付いていて、入門者にも分かりやすくなっています。また『般若心経秘鍵』の著作解説、研究成果を合わせて、真言密教のエッセンスが学べるように工夫されています。『般若心経秘鍵』そのものが、空海による仏教解説のインデックスのようなものなので平安仏教の真言宗のみならず、天台宗と顕教である奈良(中国)仏教についても、そのポジションが分かるようになっています。しかし当然のことながら空海寂滅後の鎌倉仏教(浄土宗系と禅宗系、日蓮宗)には言及されておりません。鎌倉時代に専門分科される以前の平安時代の総合仏教と密教、そして奈良時代の学派仏教や中国仏教、インド密教を垣間見たい人にはお奨めの本ですよ。拙僧の師匠である僧正さまからの推薦書でもあります。『空海 般若心経の秘密を読み解く』著者:松長有慶 出版社:春秋社サイズ:単行本/217p 発行年月:2006年08月空海とアインシュタインそれは不思議な対話でした。時間と空間を超えて弘法大師空海のもとに20世紀最大の物理学者アインシュタインが訪れ、東洋の宗教と、西洋の科学が出逢う。不思議なことに彼らは、きわめて類似した宇宙観を持っていました。?、ついに往っちゃったかって?ご安心あれ、連休に読んだ本の一冊の話です。都立大名誉教授、現在早稲田大学教授で素粒子物理学が専門の理学博士である広瀬立成という学者が著した本の中の話、フィクションです。本書では、空海の真言密教的宇宙観と、アインシュタインの構想した科学的宇宙観がたいへん分かりやすく解説され、その上で二人の対話を通じて、宇宙の中、大自然の中の人類の、人間のあり方が浮き彫りにされています。「空海をアインシュタインに対比させたのは、空海が宇宙の根源を神仏に求めるのではなく宇宙を統べる法則にあると考え、それゆえ科学的宇宙観とのある種の対比が可能になったからである。」と、著者は記しています。空海さんが宇宙の根源を神仏に求めず、宇宙を統べる法則にあると考えたというのは、宇宙の永遠にして普遍の真理そのものを、大日如来とした密教の考え方を表しているのです。宗教と科学という二人の宇宙観、世界観が交差する場所を見出し、そこに21世紀の人類のあり方を発掘するというのが、本書の主旨ということです。二人の議論は、始ったばかりで、本書が終わっても尽きないような気がしますが、現代を考えるきっかけにするには面白い本ですよ!『空海とアインシュタイン 宗教と科学の対話』 広瀬立成著 PHP新書(6)に続く。