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そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

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2006年01月24日
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今から16、7年前、大ヒットした『人麻呂の暗号』という本を
ひょんなことから、最近、また拾い読み返しました。
現在でも新鮮さは変わらずおもしろいです。

万葉集第一の歌人、歌聖柿本人麻呂。
その歌は実は、学生時代に習った漢字仮名交じりの現代日本語とは
似ても似つかない、万葉仮名と呼ばれる漢字の羅列で記されています。
仮名ですから表音文字なのかと言えば、必ずしもそうとも言えず、
表意文字としても解釈しなければ、読むことができないのです。
古来、その読み方を巡って多様な解釈と読み方がされてきたようです。

問題は、その漢字の羅列である人麻呂の歌を、
同じ漢字文化圏に属する韓国人や中国人ならどう読むか。
そもそも千数百年の時代を超えて、現代語で読めるのか?

実は、これが読めちゃう、しかも雄大で美しい叙景歌が
おどろおどろしい亡霊の歌に変貌したりするのです。
もう推理小説を読むよりおもしろいこと請け合いなのですぞ。

本は残念ながら絶版のようで、楽天ブックスでは見つかりません。
古本は、楽天フリマにありました。
http://item.furima.rakuten.co.jp/item/50944664/

売れた本なので、お近くの図書館にはあるかもしれませんよ。


この本の魅力と、内容の一部は
「カフェ・ヒラカワ」さんのブログで紹介されています。
http://plaza.rakuten.co.jp/hirakawadesu/diary/200601220000/


そのページのblue hillsさんのコメントに返信のコメントを書いたのですが
コメントの文字数は全角800字以下とのことで掲載できませんでした。
やむなく、自分のブログに書くことにしました。
blue hillsさん、気に障ったらご免なさい。


blue hillsさん
>全体の文意自体に反対するわけではありませんが、
>> そこには、古代朝鮮語、古代中国語、古代日本語が
>> 混交した形で記されていたのかも知れない。
>について、『人麻呂の暗号』の如き書物を以てし
>ては斯く述べることは不可能です。

→確かにこの本では、古代朝鮮語ではなく、現代韓国語、せいぜい最近の
『李朝語辞典』によって解釈していると記されています。
また、万葉仮名として使われた漢字を、ただ表音文字としてのみ捉えずに、
『設文解字』による字源や、こちらはホンモノの中国古典の用法などと
合わせて解釈しています。

>藤村氏や、同時期に流行った李寧煕、朴炳植両氏のように、古代朝鮮語で万葉集を解読できたかのように騙る書物は時々出現しますが、そもそも万葉集の如き多量のデータの載った言語資料は、同時期に朝鮮半島で話されていたコトバについては残されていません。換言すると、現在までの言語学の業績に基づけば、古代朝鮮語は上代日本語に比べて著しくその知られているところが少なく、上述の諸氏の手になる書物において「古代朝鮮語」と称されているものも、その過半が現代朝鮮語であるというのが実態です。

→ご説の通りです。しかしこの本には確かに、現代朝鮮語で、
歌については若干の朝鮮古語も交えて読解したと記されていますので、
読者や評論家が、古代日本語に対応させて古代朝鮮語と勘違いした、
それが一人歩きしたものと思います。

>古代日本の形成に朝鮮半島及び中国大陸からの影響が大きく与っていることは今更ながら強調するまでもないことですが、そのことと万葉集が「古代朝鮮語」なるもので解読できることは、全く別の次元に属するものであると思います。
-----
→その通りかもしれません。
むしろ着目すべきは、古代の日本人、韓国・朝鮮人、中国人が、
漢字を共通文字として、頻繁なコミュニケーションしていたということです。
人麻呂など歌人(=言葉を操ることを職務にしている人)はもちろん、
政治家や官僚などのエリートたちは、渡来人も多い大和政権の中で、
現代人が英語を解する程度には、当時の中国語や朝鮮語を理解していただろうということは言えるはずです。
多くの渡来人たちはそれなりに勢力を誇っていましたし、
遣隋使や遣唐使など政府間の正式な国交と、留学制度まであったのですから。

そして、注目すべきは漢字の羅列である万葉の詩歌を、
そのままで現代の中国人は中国語で読め、
韓国人は韓国語でも意味が通る程度には、読めるという事実です。
しかも日本語の現代語訳ともリンクしていて、歌に重層構造をもたせ、
おもしろさ倍増で読めるのです。
勿論、全部の万葉歌がそうなのではなく、
ただ一人歌聖と呼ばれた人麻呂の歌が、そうなのですが。
学問的な論文ではなく、推理小説のようなものですのでお気軽にどうぞ。

この本にも書かれていますが
「従来の古典研究者に、隣接の朝鮮語や中国語への配慮がなかったことの方がよほど不思議に思えてくる。ヨーロッパの古典研究ではごく当たり前に行われている多言語的解釈が、日本ではいまだ手つかずの状態なのである。(中略)従来の研究が、やまとことば成立期の言語の流動性を顧みなかったのは、私たちにはまったく腑に落ちないことである」と。

日本文学だから、日本語や日本文化でのみ解釈すればよい、
韓国・朝鮮語などで解釈できるというのは馬鹿げているというのは、
まったく江戸末期から明治維新を経て今に続く、皇国史観に基づく偏見でしかないのだと思います。
日本が正式に鎖国したのは、たかだか江戸時代になってからであり、
古代においては、特に飛鳥、藤原、平城、平安時代の中頃まで、
日本は常に激動する東アジアの一員であり続けたことを想起すべきなのです。
拙僧は最近、鎌倉以前の仏教の勉強をしていますから、なおさらこの考えを強くしています。

『人麻呂の暗号』の如き書と馬鹿にするのは簡単です。
お読みになれば多少は評価すべきところもあるかもしれないのに。。。
所詮は、素人の学生たちと多少偏向した教師がグループでまとめた研究発表のようなものです。
しかし、この本の作者たちが持つに到った「?」を象牙の塔の方たちにぶつけてみたい気はします。
何せ、本書がヒットしたとき、彼らはガキどものとるに足らない戯れ言とせせら笑っていたのですからね。





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最終更新日  2006年01月24日 22時05分20秒
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