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カテゴリ:読書/映画・TV鑑賞
神田神保町の岩波ホールで、川本喜八郎の人形アニメーション映画 「死者の書」を見ました。 自発的ではなく、映画関係の友人から前売り券を押し売りされていたのですが、そろそろ上映期間が迫ってきたのではと、行ってきました。 5年ほど前にNPOのイベントで長野県飯田市に行ったとき、たまたま飯田市美術博物館で開催されていた川本喜八郎人形展を見ていたことも思い出しました。 劉備、諸葛亮、曹操、関羽、張飛など三国志の登場人物たち、源頼朝、弁慶、木曾義仲、平清盛など平家物語の面々が、それぞれのキャラクターを良く反映して活き活きと迫力がある人形たちでした。 切符を買ってからしばらくして、Shin0808さんのブログ「あーよかった」で 紹介されているのを発見。 原作は、民俗学者・国文学者で、歌人、小説家でもあった折口信夫博士が、当麻寺に伝わっている「蓮糸伝説」を元に、仏教が華やかに日本人の心に染みこんでいった奈良時代の雅なイメージを織り込んで、人間の“執心”をテーマに描いた小説「死者の書」です。 もう30年以上も前に私も読んだことがありました。チベットの「死者の書」やエジプトの「死者の書」と勘違いして買ったのですが、日本の古代、墓の中の死者の心の怨念のようなものを描いていたくらいの記憶しかありませんでした。きっと当時の拙僧には、よく理解できなかったのだと思います。 押し売りされた前売り券、飯田市美術博物館で見た人形たち、30年前に読んでよく理解できなかった小説「死者の書」の三つの時空が異なるバラバラな記憶が、Shin0808さんのブログ記事で初めて繋がり、初めて映画も見たいと思ったのでした。 物語は、藤原家の名門の聡明で美しいお姫様が、春分の日に称讃浄土仏摂受経の千部手写しの発願をして写経をしていくうちに、遠い山の端に沈む太陽を見る。目を疑うほど鮮やかなその山は、奈良の南西方の二上山である。その二つの峰の間にありありと荘厳な人の面影が瞬間現れて消えた。秋分の日でそれはさらに鮮明となり、次の春分の日、千巻の写経を完成した姫は、嵐の中、当麻寺へと向かう。 春分の日と秋分の日は、昼と夜の時間が等しくなる境の日、今は亡き人々の霊と生ける者たちが心を通わせることができる日でもあります。お墓参りをするのはそのためですが、これは本来の仏教とは無縁の我が国固有の習俗が、仏教と習合したものと言われています。 日本古来の死生観と仏教の死生観を習合させた日本人の宗教観の原点をベースとして、乙女心と現世への執心を残している死者の心とが、奈良の都と死者の住む異界である二上山との境にある当麻寺で出逢う。 天皇位を巡る無実の罪で命を奪われた怨霊と、浄土信仰・阿弥陀仏とが重なってに美しい姫君の心は、蓮糸から美しい布を織りだし、そこに荘厳な曼荼羅を描いて、悟りの世界に消えていく。 何かおもしろそうでしょう。 人形浄瑠璃が発達した伝統を持つ我が国だからこそかもしれませんが、 人形にこんな微妙な心理描写が演じさせられるとは、 人形作家であり監督でもある川本喜八郎は凄いですね。 詳しくは、下記をご覧ください。 川本喜八郎オフィシャルページ 映画の予告編も見ることができます。 http://www.kihachiro.com/ Shin0808さんのブログ「あーよかった」の記事はこちら http://plaza.rakuten.co.jp/kanshin/diary/200602150000/ 原作の文庫版は「死者の書・身毒丸」です。 川本喜八郎作品集 南無阿弥陀仏 おんあみりたていせいからうん 合掌 観学院称徳 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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