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2006年08月28日
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拒否できない日本

 

『拒否できない日本~アメリカの日本改造が進んでいる』

       関岡英之著 文春新書


タイトルが気になって読んでしまいました。一言で言えば日本政府がいまや米国政府の政策執行機関になっているという話です。石原慎太郎氏激賞という帯に記されたキャッチコピーもそそります。何やら陰謀史観めいていて、いいかげんな本かもしれないと思いつつ読み始めました。しかし、頁が進むうちにがてんが行くことばかりです。

本書では、米国政府や議会、通商代表部などの公的機関のWEBサイトでの公表資料と、日本政府や機関の動き、国会の立法課程を時系列で追いながら検証していきます。WTOの実体がどういうものか、あの耐震偽装で物議を湧かせた建築基準法の大改正の本質、日本をアングロ・サクソンの楽園にする日本的経営の破壊、日本を米国型訴訟社会にする司法制度改革、キョーソーという名の民俗宗教に囚われた米国の世界や我が国に対する悪影響等々、次々に事例をあげて問題の本質を暴露していきます。

日本政府はかつて日米貿易戦争のとき、外務省や通産省が連携して国益をギリギリ守るためによく戦いました。最近は日米間の貿易摩擦の声を余り聞きませんが、それは米国の対日戦略が対処療法から根本療法の構造変革路線に変わったからだということなのです。対する縦割り組織の日本政府は、省別の対処療法には対抗できましたが、全般的な構造変革要求には対抗できません。

内閣が一致団結すれば対抗可能かもしれませんが、レーガン大統領とのロンヤス関係を築いた中曽根内閣以降歴代内閣は皆親米派、橋本首相がちょっと反抗の気配を見せましたが、すぐにその地位を失っています。そして小泉首相にいたっては米国の国益を最優先しています。我が国の構造改革は、我が国の国益や財界、国民の利益にも寄与するということで、マスコミも反論はおろか疑問すら提起することがありません。しかし事実は異なり、構造改革を推進する日本政府は、毎年10月米国政府より通告される「年次改革要望書」に則って、次年度以降の政策や関係法令の改正と制度改革を進め、グローバルスタンダードという名の米国化を図っているというのです。

今年の「年次改革要望書」によって、来年再来年の日本政府の動きがピタリと当てることができるとまで言われています。何故なら1989年の日米構造協議に始まるこの要望書、英文タイトルはクリントン政権下では Submission (服従という意味)、ブッシュ政権下では Recommendations(勧告)となっているそうですが、中味はほぼ同じ、日本政府に内政干渉そのものといえる要求を突きつけ、しかもその進捗具合を監督する場まで設けられているのです。そもそも構造協議という名称自体が日本側の意図的な誤訳であり、英文では Structural Impediments Initiative 、正確に訳せば構造障壁イニシアティブであり、イニシアティブに協議の語義はなく、主導権を持つということなのです。米国は、日本の国益や財界、国民のためではなく、米国の国益と財界の利益のために植民地政府と化した日本政府に、内政干渉の命令を発して日本を米国化していくのだというのです。米国政府や通商代表部は、毎年議会でその成果、いかに米国の国益に貢献したかを誇らしげに報告しています。

勿論、財界の首脳たちも政府の役人も気付いています。ああ、軍事占領はもう遠い昔に終わったが、今や経済的に占領されているのだと、くやしさを内に秘めざるを得ないのです。圧倒的な米国の圧力やお馬鹿なマスコミ対策のうまさに手も足も出せずに無力感を感じているということです。いやはや恐ろしい話ですが、脳天気な一民間人としても手も足も出せずというところですが、次の首相選挙や参議院選挙、総選挙ではよくよく人を見て、政策の本質を見極めて、判断しようではありませんか。ご興味のある方はご一読を。

 






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最終更新日  2006年08月31日 13時01分44秒
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