以前にもご紹介したお江戸日本橋亭という寄席で、昨晩開かれた「第五回無限落語」の会に菊地さんと行きました。カフェ・ヒラカワ店主軽薄の平川社長と行くはずだった「柳家喜多八の落語指南」を苦渋の選択の末にスッポカした結果です。平川社長にも喜多八師匠にも大変申し訳ないことですが、いや~~~面白かったです。さすがに落語の無限の可能性に挑戦する無限落語だけのことはありました。
無限落語は三遊亭圓丈師匠、柳家小ゑん師匠が主催するネタ下ろしの会です。拙僧は今回が3回目だったか記憶にありません。毎回ユニークな出演者を揃えるのですが、今回の出演は東京落語界で最も勢いと人気のある柳家喬太郎師匠と春風亭昇太師匠が出演するということで、お江戸日本橋亭始まって以来の大入り満員、しかも客層がぐぐっと若返って若い女性が沢山押しかけ始まる前から熱気むんむんでした。
落語を取り巻く業界には、第3次落語ブームが来ているという認識が高まっています。ただ戦後最高・最長の景気拡大と言われても生活実感が追いつかない世間の景気と同様に、全ての落語家に恩恵が行き渡っているわけでもなさそうです。笑いを求める人々と各々の落語家との間のコミュニケーションが絶対的に不足しているということでしょう。例えば笑点などTVによく出演している昇太師匠の知名度は全国区で高いのに、対して寄席では大人気の喬太郎師匠を知っている方はよほどの落語ファンでありましょうね。万人受けを狙うTVなどマスメディアの現状とニッチな寄席演芸の間に相容れないギャップがあることも原因と思います。それを補うのにインターネットや多チャンネル化したケーブルTVは最適なメディアだと思います。
さて、肝心の演目ですが、ネタ下ろし新作(あるいはそれに近い)?なので演題が分かりません。喬太郎得意の抱腹絶倒艶笑落語は、もてない男が友だちのアドバイスで突然もて出すという噺、寄席でしか聴けない18才未満お断りネタでした。昇太は、拾った携帯電話の持ち主が自分と同姓であり、しかも自分と違う理想的な人物であったことから起こる心の葛藤を描いた心理学的現代落語。小ゑん師匠は団塊世代のノスタルジー、歌声喫茶ならぬ感動話のお話し喫茶で、独特なシュールな世界を創っていました。
とりをとった圓丈師匠ですが、郊外のニュータウンに引っ越してきたヘビースモーカーが市役所に届けに行くと、そこは絶対禁煙の街だったというシチュエーションから、いつもながら滑るか滑らないか微妙なところを狙った?、最後はハチャメチャの、しかしこれぞ圓丈ワールドというような噺でした。分からねえって?そうでしょう、そうでしょう。聴いてた拙僧にも修行が足りんで。。。 もっとも、まくらで面白い話をされました。落語家の思考・創作方法についてです。
(1)昇太はA4たった一枚にストーリーの展開を書いたフローチャートをつくり
後は登場人物が喋りながら話を創っていく。さすが~、システマチック!
(2)喬太郎の新作づくりは台本もつくらず、ぶっつけで喋りながら創っていく。これぞ天才!
(3)ところが(当代新作第一人者であるはずの)自分は、びっしりと何十頁もの台本を
1週間前には仕上げ、弟子や仲間など多くの人の意見を聞きつつ推敲に推敲を重ね、
ぎりぎりまでしっかり覚えて、後は歳のせいか半減期時間当たり1/2という
凄まじい記憶力と戦いながら演ずるのだということでした。まさに新作落語の鬼才!
小ゑん師匠の創作法については言及がなかったのですが、おそらくは圓丈型で悩みに悩みつつ話を創ってゆくことは間違いないでしょう。シニア向けに共感を呼ぶような噺をどんどん創って欲しいと思いました。
いや~、落語家さんって大変ですねえ。
落語は免疫力を向上させて健康にいい、ボケ防止にも効果がある。
しかしそれを創ったり演じたりする落語家さんの健康、特に精神衛生上は良くなさそう。。。
でも拙僧は聴く人だもんね。落語ってほんとうにおもしろいですねえ!!!