2015/12/11(金)16:30
仏教を知るお奨め本(3)(Posted on 06/04/2009 by ito)
(2)の続き。
(3)
一方、『新釈尊伝』(渡辺照宏著)は、合理主義的な人間釈尊観を批判し、
超自然的な神話的仏伝の中にこそ深い宗教的真実があるとして、
パーリ語、サンスクリット語、チベット語、漢文などの膨大な資料と
内外の学術的研究成果を織り込みつつ、史実も踏まえながら、
お釈迦様の無限の教えを綴るものです。
こちらもやはりお釈迦様の真の教えに触れたような感動を覚えます。
『新釈尊伝』渡辺照宏著 ちくま学芸文庫刊
最後は『ブッダとそのダンマ』(ビームラオ・ラムジー・アンベードカル著)。著者は、不可触賤民出身で忌み嫌われながらもコロンビア大学で博士号を得てインド独立時の憲法を起草した憲法学者、ネルー内閣の法務大臣で、反カーストの立場からインド仏教復興に人生をかけました。
本書は、そのB.R.アンベードカルが、多くの仏典から編纂したインド仏教徒1億人のバイブルです。中国経由の大乗仏教とは異なる、仏教の本流である原始仏教、南伝の上座部仏教などの経典や伝承から活き活きしたブッダの生涯も描かれ、哲学的な各論も憲法学者ならではの分かりやすさで、実に論理的にお釈迦様の生涯とその教え(ダンマ=真理)を説いています。拙僧も度々引用させていただいている本です。
『ブッダとそのダンマ』
ビームラオ・ラムジー・アンベードカル著/山際素男訳 光文社新書
参考:転生~ブッダは再生を信じたか? 2005年08月27日掲載
http://plaza.rakuten.co.jp/epub777/diary/200508270000/
ブッダ、釈尊、お釈迦様。
その八十年の人生、成道されてから四十年以上に渡る布教の旅の中から
多くの伝承や教説が生まれ、人々の心に記憶され、後に文字として紙に定着されて
二千五百年の時を超えて、現代に生きる私たちに伝えられています。
その中には、今私たちが現代日本の仏教宗派の祖師となった仏弟子達が考えついたと
思い込んできた教え、例えば道元禅師の只管打坐も、親鸞上人の悪人生機説の源もそこにあります。
お釈迦様の真理の教えを、真摯な気持ちで聴くとき、口に唱え、写経するとき、
あるいは歩くときも、生活のあらゆる場面で心に思い、
善き方向に自分を振り向けて行くことに勤め、
人の幸せを願い、自分の幸せも願って、いい人生を創っていきましょうね。
*立松和平著『ブッダその人に』を読んで
(4)に続く。