【嘘のようなホントの話 第八話】
いや、背中の湿疹は明らかに良くなっている。そう確信するまでさほど時間はかからなかった。カレンダーでホルモンの周期と照らし合わせてみても、湿疹が良くなっていることに間違いはない。私がこう判断する理由は別にもう一つあった。そう、膝の湿疹である。残るは背中と膝だけだったが、膝までもが良くなっていたのである!両膝の湿疹はかなりひどく、松の木肌のような、魚の鱗のような、爬虫類のような、と言いますか、膝を付いて座るなど到底できるはずもないほどに悪化していた。松の木から樹液が垂れるように黄色い汁が出てきて、プンと鼻をつく腐臭を放っていた。レギンスには大きなシミができ、ベリベリ剥がすことが非常に痛く、この上ない苦痛だった。いつだったか、あまりに耐え難いものだから、ついに血迷ってステロイドを塗ってしまった。数ヶ月間塗り続けて僅かな心身の休息を挟んだのち、ステロイドを辞めたら忽ち元に戻ったので、再び耐え忍んでいた、という状況だった。ところが、黄色い汁が突然引いた。腐臭もない。我が膝をまじまじと見る。驚きを隠しきれなかった。その数日前、ダメだやっぱりもう一度ステロイドを塗ろうと決意し、薬局でステロイドを買ったばかりだったのに。皮肉なもんである。