今日の一冊
ふとしたきっかけから次に読む小説を決めることが多い。作家の訃報だとか、今年は生誕又は没後何年だとか、映画の原作だとか。そういうきっかけがまったくない時や勘が働かない時は、図書館のHPのお気に入りに入れている中から、もし明日死ぬとしたら最後にどれを読みたいか、という私なりのこだわりで選び出すことにしている。さて、先日、戸田奈津子さんのインタビュー記事をたまたま見つけた。私は戸田さんの才能溢れるユーモアや考え方や生き方が好きなので、そこで紹介されていた小説をさっそく読んでみた。ヘンリー・ジェイムズの「ある婦人の肖像」(1881)。画策に嵌り、子持ち男と結婚したものの、その生活は不幸そのものだった。だが、自分の行為の責任は自分で取らなくてはと言い切って毅然と生きる強いうら若き婦人、というような内容。文庫本で3巻の長編小説だったが、まるで戸田さんの人生の信念と苦楽をまざまざとそこに写し出しているかのようで、戸田さんのことをより深く知ることができた気がした。