|
カテゴリ:カテゴリ未分類
一昨日銀座松屋にムットーニ展を観に行った。
ムットーニとは本名武藤政彦氏が創る立体カラクリ箱、動く人形ステージとでも云ったら良いのか、独自のジャンルの作品を創られている。 そもそも彼の作品を知ったのは、ブリキ玩具コレクターの北原照久氏のご自宅紹介番組だった。横浜にボートハウス付きの素敵な洋館をゲストルームにしてらしゃるのだが、そこにムットーニ氏の作品を何点かコレクションされている。人形は例えば2足歩行ロボットなどと比べたら、まったく単純な動きしかしない、回る、手を挙げる、俯く位なのだが、そのゆったりした動きが、背景となるアールデコ調のカラクリ箱の照明や舞台装置によって、見事にリアルな人間として歌い踊り、そして語りかけるのだ。 僕の好きな作品は、世田谷文学館にある萩原朔太郎の「猫町」中嶋敦の「山月記」海野十三「月世界探検記」の3つの名作文学カラクリ箱だ。 これらは、ムットーニ氏が自身のナレーションがバックに流れ、作品をさらに印象的なものにしている。 ムットーニ氏http://www.muttoni.net/about/index.htmlHP: 世田谷文学館HP:http://www.setabun.or.jp/index.php 今回の松屋には残念ながら文学作品をモチーフにしたものは展示されていなかったが、ムットーニ氏自らのギター演奏と解説があり、怪しく、どうかすると、なにやら昔の祭りの見せ物的いかがわしさすら感じてしまうような、彼の魔術に引き込まれてしまった。 その後は、前日、東京文化会館で素晴らしい稲田潤子さんのピアノを聴いた際、忘れ物をしてしまい、受け取りにまたまた上野に行ったのだが、会館の裏でハンガーマンなる、大道芸人が曲芸のパフォーマンスをしていた。 これはカラクリと違い、種も仕掛けも無い正真正銘自らの肉体表現、口上はカミカミだったけれど、特に子供達のハートはわしづかみにされてていた。 稲田潤子さんHP:http://naks.biz/inajun/ ハンガーマンHP: http://www.daidougei-yasuhara.jp/performer/08/ そういえば、昔人間ポンプという、何でも飲み込む芸人のパフォーマンスが旭川であり、父が医師として待機するという仕事に付いて行ったことがあった。刀を飲み込んだり、金魚をお腹に入れてまた吐き出したりと云う単純な物だったが、当時はそれでもけっこう楽しんだものだ。バックステージで、なんだか体の調子が悪そうな禿げ頭の人間ポンプに聴診器を当てていた父を今でも思い出す。 都会は言ってみれば毎日がお祭りのようだ。僕達が今日その祭りで体験する事は、ほとんどが一流のものだろう。それに比べると、退屈な日々が延々と続き、祭りを待ちこがれた田舎の少年時代の僕は、今思い出しても笑ってしまうような子供騙しのたくさんの見せ物を、眼を丸くして魅入り、夢の中にすら出て来た純粋さを、恥ずかしくも、どこか幸せだったと感じるのだ。 井村 重人 アーニーズ・スタジオ 〒107-0062 東京都港区南青山3-13-22 善光堂ビルB1F Tel&Fax : 03-3402-4535 HP:http://www.enries-studio.com e-mail : ernie@ruby.famille.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.09.25 15:21:59
コメント(0) | コメントを書く |