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昨日30年振りにF1が開催された富士スピードウェイに行って来た. 予選からの雨続きで、決勝レースが開催されるかどうか半信半疑だったがたとえ雨降りで、 おまけに屋根が無くてもひとり3万円のチケットを無駄には出来ない。約2時間かけてバスが出る新松田駅に到着、そこから徒歩30分のサーキットが契約した貸し切りバス乗り場に向かう。雨はますます強くなる、そんな車外の景色にバスの中の観客達は言葉少ない。そろそろサーキットという所で渋滞が始まる。我々の乗るバスしか入場出来ないのだが、その数が半端じゃない、なにしろ14万人からの人がほぼ全員バスのピストン輸送で運ばれるのだ。あまりの渋滞にしびれを切らした乗客がバスを降り、会場に向かって歩き出した。結局それが正解、無事スタンドに着く、しかしここまでで既に軽く7キロくらいは歩いているような気がする。しかも雨用のレインウエアーだけで傘はさしていない。なぜならスタンドで傘をさす事はエチケット違反だから、ちゃんとした傘は持参しなかったのだ。 雨は降り続くがスタート時間は迫る。普通F1は1周を全車順番に先導車について走り、全車グリッドに着いてからスタートになるのだが、悪天候のため先導車がかなりの数を周回し、安全を確認した後にスタートするローリングスタートに変更になった。 小降りに変わったその時、先導車のシルバーメルセデスが前を空け、PPのルイス・ハミルトンがフルスロットルの鞭を入れ闘いが始まった。十年ほど前に鈴鹿サーキットの仕事が縁で、今は亡きアイルトン・セナを観て以来のF1。マシンが放つ凶暴な咆哮とオイルの甘い香に、だらしなく自然と頬の筋肉が緩み、ただでさえ寒いのだが、高揚した体に何故かさらに寒気が走る。 シューマッハ引退を受けての次は間違いなくアロンソではなく、ハミルトンだと確信させる走りを感じる。もちろん各ドライバーの表情など伺い知る事は出来ない。しかし零点何コンマ秒を数百億円できざむなどという狂気の沙汰の人間達の期待に応えるには、これも死と云う恐怖の遺伝子を欠いた、ある意味天才的な狂気の集団は、ハンドルさばきとスピードをもって自己を表現するアーティストなのだと、僕達に確信させる走りを披露する。 ある評論家がF1を表現するのにこう言っていた.「金属という無機質で、それ自体生命を持たぬ物質が、人間によってマシンという生命となり3百キロ以上のスピードで疾走することに僕達は熱狂する」と。 レースはハミルトンの圧勝に終わり、年間チャンピオンに王手をかけたウィニングランを、顔こそ見えないが片手を上げながら走る褐色の肌と白い歯を感じつつスタンドを降りた。 しかし、僕達の帰路は彼に勝るとも劣らない過酷な試練が待っていた。 2時間以上も雨に打たれバスを待つ。皆口々に運営のまずさを口にし、もう2度と来ないと 怒りをあらわにしていた。 ただ、僕達はあの俊足で甘い体臭の凶暴な生き物の虜からはけして逃れられないことを知っている。きっとまたここへ来るのだろう、今度は真白き富士を眺めながら、日の丸がセンターポールに上がる事を期待したい! 井村 重人 アーニーズ・スタジオ 〒107-0062 東京都港区南青山3-13-22 善光堂ビルB1F Tel&Fax : 03-3402-4535 HP:http://www.enries-studio.com e-mail : ernie@ruby.famille.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.10.01 19:03:52
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