065555 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

わたしのブログ

わたしのブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ernie2000_

ernie2000_

カレンダー

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

はっぴーおじさん@ Re:ステキです!(10/07) ひとりぼっちさん >私は、48歳です。Y…
ひとりぼっち@ ステキです! 私は、48歳です。Yさんの写真を見て素直…
お猿@ やっちまったなぁ! http://feti.findeath.net/w475u3f/ ちょ…
痴女と痴男@ どこでもしゃぶるのな^^ うおっぷ!!!エレベーターでフ ェ ラし…
AT@ オートマすぎるwwwww http://daisuki.twwitta.net/6djhaj7/ こ…

フリーページ

ニューストピックス

2007.10.09
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
夕焼け小焼け.jpg
 

 昨日、僕が撮影したご家族のお子さんが亡くなって1年が経ち、鎌倉のお宅に行ってご焼香をさせて頂いた.彼の名は光君、2歳の時に川崎病に患り、心臓に影響が出たため、ご両親が大事に細心の注意をしながら育てた。5歳の撮影の後1ヶ月後無事手術も終わったのだが、残念ながら昨年9月7日朝、亡くなってしまった。光君とお父様の写真は僕もお気に入りで、HPに載せさせて頂いている。知らせを聞いたときは、単なるお客様と写真家いうだけではなく、特に光君がお母様のお腹にいたときからのお付き合いだったので、悲しさでしばらくため息が止まらなかった。

 「老少不定」人は老いてから死ぬとは限らない、そんな事は解っていながら、幼い子が死んでしまうという現実は、いつも実感できない。お宅に伺い、ご焼香を済ませ、無邪気に遊ぶ光君の弟を交え、ひとしきり思い出話をさせて頂く。まるでドラマの登場人物のように優しいご両親なのだ。だからと言うわけではないが、この1年涙を流さない日は無かっただろうと容易に想像がつく。救いは、彼がいつまでも愛くるしく、汚れの無い姿でご家族の記憶にとどまる事が出来るという事だ。家族という制度が崩壊し続ける日本の現実を見る時、このご家族が光君と永遠の家族愛を持ち続けられるという事は、ある意味幸せな事のかもしれないと、気休めにすぎないが思ってしまった。

 このお宅のすぐ近所に、前田侯爵別邸を改装した鎌倉文学館という素敵な所がある。たまたま最近気になっていた中原中也展をやっていたので、お宅を辞して向かった。中也も長男を2歳の時に亡くしている。彼はその出来事に精神を病み、1年後に没した。その想いを綴る原稿が美しいペン字で書かれていた。

 子のいない僕には子供との生活の喜びや大変さ、ましてその最愛の子供を亡くした親の気持ちなど、想像しようにもしきれないが、偶然二つの家族の悲しい出来事を目前にし、それぞれの想いが深く澱のように僕の体に沁みたようだった。

鎌倉文学館HP:http://search.jword.jp/cns.dll?type=lk&fm=101&agent=1&partner=Excite&name=%B3%F9%C1%D2%CA%B8%B3%D8%B4%DB&lang=euc&prop=500&bypass=0&dispconfig=
 

 文学館を出て、次に茅ヶ崎の開高健記念館に向かう、彼は僕の好きな作家の一人だ、訪れる前に、「破れた繭」「夏の闇」「珠玉」を読み返してみた。慌ただしい時間だったが、彼の自宅を改装した資料館を覗く。
 開高健は寿屋(現サントリー)のコピーライターとして、それ以前、研究員として勤めていた妻の推薦により入社し才能を発揮する.
「破れた繭」に結婚までのいきさつが出ているが、その世話になった妻を
まるで、騙されて結婚したかのように表現しているのにはあきれる。
 その後小説家、従軍記者、エッセイストとして活躍し、芥川賞を得て後、アウトドア、特に釣りにのめり込み、公開されている彼の書斎は、数々の戦利品の巨大な魚の剥製とルアーが所狭しと飾ってあった。

 彼は美食、酒、女性、旅行、 冒険、 文章、博識、どれを取っても男としての欲望をとことん食い尽くした、羨ましい生き方をした作家だと思う.
自宅の周りの玄関から庭までの小さな敷石を弾いた小道を「哲学の小径」などと洒落、日々作家活動をしていた姿を想像するだけで、震えるような嫉妬を覚えてしまった。

開高健記念館HP:http://kaiko.jp/kinenkan/

 鎌倉で夕食をとるべく海岸沿いを走ると、今朝からの涙雨は見事な夕日変わっていた。胸に今まで何となく棘のように引っかかっていた、光君との別れを無事済ませ、空と海に褒めてもらっているような、壮大で透明な美しさだった。

 鎌倉に着き駐車場を出ると、1軒の見覚えのある小さな看板の店があった。IZAという鎌倉では老舗のジャズを聴かせる店の看板だった。鎌倉名物シラスの釜揚げ丼を食した後、その店に入る。急な階段を登ると、A4の紙に手書きのお知らせが貼ってあった。「今月27日をもってビル再開発の為、36年間続いた店を閉めます、、、、云々」黒いドアを開けると、店にはこざっぱりしたシャツにネクタイのマスターが独り水割りや珈琲を作っていた。「もう70ですよ、この歳で朝4時まで働くのは限界ですね」と笑って閉店のいきさつを話して下さった。
 IZAと言う店名の由来は「いざ、鎌倉!」から付けたそうだが、加えて「いざ、さらば!」とも言えると笑った。マッキンのアンプとA7という黄金の組み合わせのシステムに、3000枚のレコードが36年の歴史を物語っている。後からいらした奥様に「長い間お疲れさまでした!」と初対面ながらご挨拶をして車に戻ると、満天の星だった。

IZA HP:http://www011.upp.so-net.ne.jp/h2d/amusement_shop/jazz_spot_iza/
 
 短い鎌倉の旅、最初から最後まで、別れがお供のセンチメンタルジャーニーだった。帰宅後、一日を思い出し開高健を気取って飲んだスコッチがやけに美味かった。

井村 重人

アーニーズ・スタジオ

〒107-0062
東京都港区南青山3-13-22
善光堂ビルB1F

Tel&Fax : 03-3402-4535

HP:http://www.enries-studio.com
e-mail : ernie@ruby.famille.ne.jp


 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007.10.09 16:26:23
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.