act.2-Second- 自己紹介担任教師の紹介とともに、2時限目のLHRは始まる。レイフェルはいつの間にか消えていた。「うっし、今日のLHRについてだが、まずは自己紹介をしてもらう。そうだな……とりあえず名前とギルドランク、現在使っている武器について言ってくれればそれでいい。属性と適正武器については後ほどの検査で詳しくわかるようになる。じゃあ、一番から。」 ルイスに指名され、教室左側の最前列に座っている生徒が腰を上げる。金髪に肩辺りまで伸びた髪に、少しきつめで、青色の瞳。性別は……男のようだ。 「はい。1番、アライアン=クリフェイドです。ギルドランクはB、武器は大剣です。宜しくお願いします」 皆ギルドランクを聞き、『おおっ』っと感嘆の声を上げる。 アライアン=クリフェイド。魔法律家、アイル=クリフェイドの一人息子。上流貴族中でも上級の家系。特に低くもなく、高くもない声。実力もまぁまぁといったところだろう。 ──ギルド、およびギルドランク。 ノーツフェルト界のほぼ全ての人間が集う場所、ギルド。 アルゼス大陸東支部、西支部、南支部、北支部、そして中央本部。 1つの大陸の中に存在するギルドは5つ。 人々は己が住む地方のギルドに所属している。 そしてそのギルドの中で人々はランク付けされる。そのランクをギルドランクと称し、人々はそのランクに見合った依頼を受けている。 ギルドランクは主に6つ。上からS,A,B,C,D,Eとある。それぞれランクを上げるには、自らのもつランク中危険度3の依頼を1つ、そしてその一つ上のランク中危険度1の依頼を1つずつ受ける必要がある。その依頼をクリアしたものにのみ、ランクアップの権利が与えられる。 しかし、ギルドランクには例外があるが、殆どの者はその"例外"にたどり着くことはない。その"例外"のクラスカードを持つ者は一様に『神に選ばれし存在』と称される。 「んじゃ、次は11番よろしくー」 「リン=アンゼルシュタイン。ギルドランクはA,武器はランス」 またしても『おおっ』と、教室内がざわつく。恐らく、こちらもギルドランクに反応したのであろう。高等部1年でランクAの者は殆ど存在していないからだ。 その反応に、当の本人は面倒くさそうな顔をしつつ、自分の席へと腰を下ろした。 透き通る、しかし脳に確実な余韻を残してゆくような凛とした、言葉では表せないような声。無愛想な口調。家系はクリフェイドと同じく上流貴族の中でも上にあたる。精悍な顔立ちに薄く黒味がかった黄色の肌。その容姿は男とも取れるが、体格──主に胸部を見れば控えめながらも女と皆認識させられるだろう。 「……今、誰かに癇に障ることを言われたような気がした」 ……本人は割りとコンプレックスを抱いているのであろう。 「なんかいったか?まぁ、次12番」 「シンク=ケイオス。武器は大鎌。ギルドには所属していない」 「……珍しいな。何故、ギルドに所属しない?」 シンクの紹介に反応し、ルイスは相槌を打つ。教室にいる者も皆疑問符を頭の上に浮かべる。 「面倒だからだ」 あまりにも簡潔で、予想していない返答に今日室内はしんと静まり返る。 その空気を気にすることもなくシンクは腰を下ろし、窓の外を眺めていた。 「そ……そうか、まぁ。次、よろしく」 皆呆気に取られていたが、ルイスの言葉でまた我に返り、次の生徒に視線を移す。 しかし、シンクの前に座る生徒だけは、ずっとシンクを見ている。そして小さく、シンクにしか聴こえないような声で問いかける。 「……あんた、何者?」 その声に反応し、目線だけをリンに移して言う。 「……別に。ただの生徒だ」 「……。」 暫しの沈黙。納得していないのだろう、無愛想な顔が、さらに無愛想なものに変わる。しかし、何を聞いても無駄だと判断したのだろうか、渋々体を前に向けた。 「うっし。これで全員の紹介は終わったな。 そうだな……。次は属性検査を行うとしよう。自分の属性を知っている者もいると思うが、正確に把握できるよう、一応な。一番のクリフェイドはすぐにできるように準備しておけ」 そういい残し、ルイスは教室から出て行った。 ジャンル別一覧
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