添乗記 インド編 1インドへは約20回ほど行っている。最高にすばらしい国である。でも、仕事で行くにはかなりハード。トラブルがあって当たり前の話。 一番自分でも最大にびっくりしたのは以下の通りです。 15日間の添乗があった。 何故か毎日順調に行き、トラブルも無く、おなか壊されるお客さんもいないかった。 後3日で日本へ帰られるし、こりゃ最高だ!と思ってた。 そんな風に思っていた夜だった。 マンゴーの木の下で夕食をとり、最高なインドチックな気分でいた一行は、これから夜行寝台列車に乗るという行程だった。 夕食を終え、バスで駅へ向かう。 外国人の観光客は1等車両へ乗るのが普通。切符もしっかり受け取り、○○さんは○番のベットでお休みになってください。と席割を行う。 さてさて、駅に到着し、見事な事に時間通りに列車が到着する(昔は本当によく遅れていた)。ただ、指定された号車が目の前に着かなかったので、発射時刻まで5分しかないため、その後に号車へ移動すればいい。という話になり、お客さんにとりあえず急いで乗って頂く。そしてスーツケースを積み込む。 その後である。号車へ移動しようとしたが私達の号車が無い! 探しても探しても見つからず、なんでだ?とふと座席表を見たら、2等車両に我々の名前が載っている。 切符があって車両がないなんて・・・・。 でも、ここで慌ててはだめ!落ち着いてみなさんにとりあえずこちらへ座って下さい。とカーテンをシャ!と開けると、インド人がごろーん私達の座席で眠ってる。そしてその床でも寝まくっている。 占領しているインド人に、「ここは私達の席だから、移動してください。」という。 しかしながらインド人はちーっとも気にしない。 「俺達はちゃんと車掌に金払って乗ってるんだ。ここは俺達の席だ!」 ムキー!なんですって! 同行しているガイドはどこか隠れてしまった車掌を探しに出る。 私は、インド人に座席票を提示し、ここはわれわれの座席だ!と何度も主張する。 でもぜんぜーん相手は気にしない。またもや眠りつづける・・・・。 こりゃどうにもならない!ユルセン!車掌をギャフンと言わせてやる!と思った私は車両と車両の間にある非常ブレーキを探す。 あ、あった!この紐をひっぱればいいのね! 高い位置にあるブレーキが届かないので、お客さんのスーツケースの上ののぼり、思い切りひっぱる。 一気に20車両以上ある電車が止まりだした。 車掌はそれでも戻ってこなかった。20分位すると、警察へ通報される様になっているらしく、錆びたライフルを持った警官が数名やってくる。 車掌が慌てて飛んできた。止めたのはいいが、ヒンディー語が全くわからない私はガイドがやってくるのを待ち、説明してもらう。 私も英語が怒るほど上手じゃないので、日本語でガンガン言いまくった。 と、同時にスソの下から300ルピー(当時約1000円弱)を手渡し、インド人をみんな移動してもらった。 やっとの事でお客さんは眠りについたが、2等車両は盗難が多いため、ガイドと私は一睡も出来なかった。 翌朝、到着してみなさんの顔を見てびっくり!2等車両は隙間が多く、埃が多いため、顔が真っ黒!ガイドも私も更に加えて目のしたがクマでいっぱい。 この事件は6年前位の話。若さの至りでしてしまったが、今じゃ多分出来ないと思う。 今でもちまたでは伝説になっている。 国鉄の電車を止めた女で。 |