常緑樹12 プロのプロたる…

タイトル「プロのプロたる仕事あれこれ」
(平成14年2月号 2002/1/20)
 
えらい目にあった。
当社は年季の入ったビルの二階、しかも階下はむき出しの駐車場、すなわちすこぶる寒い。
朝の室温は二度程度。そのストーブの火が消えた。ビルの灯油が切れ空気が入ったのだろう。
折角十四、五度まで上がってきた温度は急激に下がり、コートを着込み、カイロを使っても、壁が薄いためかとにかく寒い。

外気と変わらないほどになった頃、定期的に灯油を入れる契約の販売店から人がきた。
やれやれと思ったら「私は営業なのでわからない、もうすぐ係りがきますから」とのたまう。
その次に年配の二人連れが登場、後光が差していた。
しかし、そのモタモタとした仕事ぶり、出入りを繰り返し、温度をさらに下げながら、首をひねってばかり。
しまいにはパイプが詰まっているようなので、機械がいるが持ってきていない。
おまけにサーバーの具合がよくないようだと診断し、途中で帰ってしまった。

プロならいろんな場面を想定して道具は持って動いてほしい。
いいだけ待たしてこれでは辛いし寒い。

 これと反対にある会合でプロの仕事ぶりを目の当たりにした。
レストランの通路で突然若者が倒れた。
ドーンという音がして、何かあったと気づいたとたん、我が席からまず医師、続いて看護婦、さらに消防職員が立った。
膝が汚れるのもいとわず、医師は脈をとり、呼びかける、手を血で染めながら。
看護婦は手をさすり、今にも人工呼吸の準備。
その横で消防職員が、状況を的確に説明しながら一一九番通報。
若者は倒れたときの頭の傷から血を流しながらも、少しずつ意識を取り戻す。

三人の仕事ぶりは頼もしく、手際よく、プロとして安心できるいいチームである。
若者の連れは席が遠かったため事態に気づかず、我々の席からの声でようやく駆けつける。
とりあえず私は、三人の連携の邪魔にならないよう、お店の人への状況説明とか、連れの人たちにこの三人は専門家なので安心してほしいとかの情報伝達を担当させてもらった。
大騒ぎの中、救急車が到着し、連れの一人に付き添いを依頼し病院に見送った。

彼ら三人がいなければどうなっていたかわからない。
もしかしたら大事に至っていたかもしれない。
我々だけだと、ただ興奮してワァワァいうだけで何もできなかったと思う。
プロにはなれなくても、こういうとき最低限何をなすべきかを学んでおかなければ、と痛感した。
こんな三人と同席できる幸せに感謝しながら、私も情報を伝えるプロとして早く一人前になれるよう頑張らねばと思う。

いよいよ三年目に入りました。ますますの充実をはかります。
本年もご愛読のほど、なにとぞよろしくおねがいいたします。


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