常緑樹22 ブラック・ジャック…

タイトル「ブラック・ジャックって、本当にいるの?」
(平成14年10月号 2003/9/20)

「ブラックジャックによろしく」「医龍」「Dr.コトー診療所」って聞いたこと、ありますか?

今、医療漫画が大流行り、バカ売れだそうだ。
たかが漫画と侮ってはいけない。
テレビドラマにもなった。
理想と現実との挟間で、悩みながら一人前になっていく研修医、医局をへとも思わない天才外科医、離島で孤軍奮闘の医師、いゃー、これがどれもこれも実に面白い。

医局という封建社会の閉鎖性、医療ミス、研修医の実態、医療過疎地での医療のあり方など、舞台はいろいろあるが、人の生命を商いにする医者という職業の本質、これまでほとんど語られなかった医療の現場、そんな私たちが日頃あまり知る機会の無い部分をリアル(と思っているが)に描く。
手塚治虫作ブラックジャックの後輩たちが髪振り乱して活躍する。

なぜこのような漫画が流行るのか。
大袈裟すぎて本職にはチャンチャラおかしいのかもしれないが、医療費負担が増え、冗談じゃないぞーっと酒を煽り愚痴を言うしかない一般人が、あんたらだって特別じゃないんだよと溜飲を下げたり、いつも高みにいる医師が、裏側を暴露され、慌てふためく姿に快感を得られるからかもしれない。

正に高齢時代、健康こそ全てと思い込んでる今、医療のあり方が問われる。
キチンとした医療を受けたい私たちも、もっと真面目に勉強しなければいけない。
私たちの生命に関わることなのだから。

現実の世の中でも実際、漫画以上に漫画みたいな出来事が続出。名義貸し、斡旋、顧問料・・・。医者ってのは、どもならんな、と思ってしまう。
しかしこれは単に医師個人が悪徳なだけではないような気もする。
地方へ行きたがらない医師たちを育てた教育。その現実をどうにもしようとしない行政。

幼少の頃から偏差値が高いので、「あんたは優秀、医学部だね」、といわれた人間が、崇高な理念があったわけでも、人の生命を助けたかったわけでもないまま選んだ道かもしれない。
そういえば、医学部の学生(これはまとも)から、同級生に、相手の目を見て話さない学生ばかりいると聞いたが、これって、怖くない?

「ブラックジャックによろしく」の主人公研修医斉藤英二郎は叫ぶ。
「医者って一体何なんだ……?」
こんな医師がもっと増えてほしいけど無理かなぁ、人を診るのではなく、人を臓器の固まりとしかみない医師が増えているらしいから。

非常に近いところにありながら、非常に遠い医療という世界。
特に医師法というのが良くわからない。
そこで来る十月三日、第2回「医療のあり方を考える市民フォーラム」を開催する。(詳細は三〇ページ参照)
今回のテーマは「医師法の不思議を考える」。
本誌「医療の現場から」の松原泉医師の歯科医師研修裁判を題材にして、医師法の様々な不思議を考える。
ぜひ多数の方にご来場いただきたい。


「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰作・講談社)
「医龍」(乃木坂太郎作、原案:永井明・小学館)
「Dr.コトー診療所」(山田貴敏作・小学館)
「ブラックジャック」(手塚治虫作・秋田書店)


© Rakuten Group, Inc.